今日は、今月の(CIR)からトレビーゾ料理の話。
というか、ベネト料理の話です。
リチェッタは(CIR1月号)P.41にあります。
1品目はビゴリ・イン・サルサ。
ビゴリはベネトを代表するパスタです。ブロンズ製の“ビゴラーロbigolaro”と呼ぶトルキオで生地を細長い麺状に押し出します。うどんみたいなパスタなら想像つくけど、穴あきパスタですよ。
穴あき麺の製法って、謎だ~。
モダンなパスタマシンはテフロンのダイスをゆっくり通す。ディチェコでは1分間に2mだって。
マカロニは穴あき麺。
ブロンズのダイスを通して作るビゴリは表面がざらざらで、ソースがよく絡んだ。
これがビゴリの特徴。
ダイスは穴あきパスタには欠かせない道具。
ダイスがない時代には1本ずつ棒に巻き付けて作ってた。
フジッリ作り。
そういえば、そもそも穴あきパスタはソースがよく絡むようにするために作られたのでは・・。そばやうどんの文化には、ソースの概念がなかったのかも・・・。さらに、トルキオで麺を押し出すという作業は、パスタが家庭で手打ちする食べ物だった時代の名残りで、工場で大量生産される産業革命後の世界には、ビゴリは生き残れなかっただろうなと、想像はできます。実際、職人が手作りする小さなパスタ工房はどんどん消えていきました。
そして反動がきます。家庭で麺を手打ちできる主婦がいなくなり、上質パスタや小麦粉の知識が広まり、最高峰の高価な手打ちパスタが世界的に望まれ、小さなパスタ工房の製品が世界的な市場に登場するようになりました。
イタリアのアルティジャナーレな製品は、常にこの繰り返しです。
現在望まれているのは、手打ちと機械の両方の良いところを取り入れた製品です。
ビゴリに話を戻します。ビゴリのソースは塩漬けアンチョビのビゴリ・イン・サルサと、クリスマスや復活祭のご馳走で鴨肉のブロードでゆでて鴨肉のスーゴをかけるビゴリ・アル・スーゴ・ディ・アナトラの2種類が代表的。ビゴリ・イン・サルサはソースの概念を理解するのにいいかも。
でも、ソースの概念というのが案外難しいかも。
この話、次回に続きます。
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