パスタの話、続きます。
ダイスを使うようになって、パスタには様々な形が創り出されましたが、どんな形でも共通しているのが、パスタはそのままでは食べられず、火を通す必要があり、さらに味をつける必要がある、ということ。
そこでパスタとソースの切っても切れない関係が生まれます。
という訳で、今日のお題はソースです。
ソースはイタリア語ではサルサsalsa。
切っても切れない関係とは言え、その進化の過程ははっきり分かれています。
パスタは工業化や機械化が進み、一方ソースは家庭で主婦が手作りするものとして長い間家庭で受け継がれてきました。
イタリア料理の百科事典、『グランデ・エンチクロペディア・イッルストラータ・デッラ・ガストロノミア』によると、サルサsalsaは、
「半液体で、肉や魚などに添えて料理の味を豊かにするもの。調理の過程で出た煮汁や焼き汁をつないだもの」とあります。
その語源はラテン語のsalsus(salato)、つまり塩がベースの味付けをした食物。もともとはシンプルな調味料で、古代ローマ人のガルムgarum(魚醤)やナルドnardo(カノコソウの精油)がルーツ。このソースの概念は、中世からルネサンスの間は変わらず、ブロードがベースのシンプルな味やアロマを料理に追加するもので、ワインや蜂蜜の甘味、酢などの酸味、スパイス、トーストしたパン粉などからなるものでした。
17、18世紀のフランスで、次第にモダンなソースが生まれます。
バターと小麦粉がベースのルー、ベシャメル、マヨネーズなどです。
なるほど、サルサのベースは、塩なんですね。
塩→コラトゥーラ→アンチョビ→と塩に旨味が重なり合っていきます。
チェターラのリストランテ・コンベントのコラトゥーラのスパゲットーネ。
加熱しないのがポイント。
・イタリアンパセリとにんにくのみじん切り、オイル、コラトゥーラ(少量ずつ加える)を混ぜる。塩を加えていない湯を加えて乳化させる。
・アルデンテにゆでたパスタを加えてマンテカーレする。
・巻いてレモンを添えて幅広のネスト形に皿に盛り付け、ソースをかけてイタリアンパセリで飾る。
リグーリアのモンテ・ロッソもアンチョビの塩漬けで有名。
ベネトのビゴリ・イン・サルサは塩漬けアンチョビのパスタ。
リチェッタは今月の(CIRP.41にあります。)
・玉ねぎ、塩と骨を取ったアンチョビをオイルとワインでソッフリットにしてソースにし、塩を加えます。
・アルデンテにゆでたビコリを加えてマンテカーレし、皿に盛り付けてソースをかけます。
アンチョビは塩漬けにして保存するのに最適の魚でした。魚の保存食ならアンチョビの塩漬けやオイル漬け、肉ならサルシッチャや生ハムやパンチェッタ。
パスタのサルサにも、パンチェッタやサルシッチャが次々に登場します。
塩味の他に、ワインの酸味、ビネガーの酸味、蜂蜜の甘味などがソースに使われるようになります。
そしてついにトマトが登場します。
トマトソースの話は次回に。
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