2023年1月23日月曜日

パスタの基本は麺とサルサ。サルサの語源はラテン語のサラートsalato、つまり塩がベース。

パスタの話、続きます。
ダイスを使うようになって、パスタには様々な形が創り出されましたが、どんな形でも共通しているのが、パスタはそのままでは食べられず、火を通す必要があり、さらに味をつける必要がある、ということ。
そこでパスタとソースの切っても切れない関係が生まれます。
という訳で、今日のお題はソースです。
ソースはイタリア語ではサルサsalsa。
切っても切れない関係とは言え、その進化の過程ははっきり分かれています。
パスタは工業化や機械化が進み、一方ソースは家庭で主婦が手作りするものとして長い間家庭で受け継がれてきました。
イタリア料理の百科事典、『グランデ・エンチクロペディア・イッルストラータ・デッラ・ガストロノミア
によると、サルサsalsaは、
「半液体で、肉や魚などに添えて料理の味を豊かにするもの。調理の過程で出た煮汁や焼き汁をつないだもの」とあります。
その語源はラテン語のsalsus(salato)、つまり塩がベースの味付けをした食物。もともとはシンプルな調味料で、古代ローマ人のガルムgarum(魚醤)やナルドnardo(カノコソウの精油)がルーツ。このソースの概念は、中世からルネサンスの間は変わらず、ブロードがベースのシンプルな味やアロマを料理に追加するもので、ワインや蜂蜜の甘味、酢などの酸味、スパイス、トーストしたパン粉などからなるものでした。
17、18世紀のフランスで、次第にモダンなソースが生まれます。
バターと小麦粉がベースのルー、ベシャメル、マヨネーズなどです。

なるほど、サルサのベースは、塩なんですね。

塩→コラトゥーラ→アンチョビ→と塩に旨味が重なり合っていきます。

アマルフィのチェターラのコラトゥーラ。アンチョビを6~18ヵ月重石をのせて塩漬けにして発酵させます。この間に抽出した汁がコラトゥーラ、アミノ酸を豊富に含む魚醤です。

チェターラのリストランテ・コンベントのコラトゥーラのスパゲットーネ。
加熱しないのがポイント。

・イタリアンパセリとにんにくのみじん切り、オイル、コラトゥーラ(少量ずつ加える)を混ぜる。塩を加えていない湯を加えて乳化させる。
・アルデンテにゆでたパスタを加えてマンテカーレする。
・巻いてレモンを添えて幅広のネスト形に皿に盛り付け、ソースをかけてイタリアンパセリで飾る。

リグーリアのモンテ・ロッソもアンチョビの塩漬けで有名。

ベネトのビゴリ・イン・サルサは塩漬けアンチョビのパスタ。
リチェッタは今月の(CIRP.41にあります。)

・玉ねぎ、塩と骨を取ったアンチョビをオイルとワインでソッフリットにしてソースにし、塩を加えます。
・アルデンテにゆでたビコリを加えてマンテカーレし、皿に盛り付けてソースをかけます。

下の動画はアンチョビの名産地として知られるカンタブリア海の塩漬けアンチョビ。上の動画のアンチョビもカンタブリア産。

アンチョビは塩漬けにして保存するのに最適の魚でした。魚の保存食ならアンチョビの塩漬けやオイル漬け、肉ならサルシッチャや生ハムやパンチェッタ。
パスタのサルサにも、パンチェッタやサルシッチャが次々に登場します。
塩味の他に、ワインの酸味、ビネガーの酸味、蜂蜜の甘味などがソースに使われるようになります。
そしてついにトマトが登場します。

トマトソースの話は次回に。



=====================================
イタリアの料理月刊誌の日本語解説『(CIRクチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)
[creapasso.comへ戻る]
===================================

0 件のコメント:

ブッラータはプーリア以外の地方の定番料理にもよく合います。コクとフレッシュさが同時にあるこのチーズは、成功するマーケティングを研究した魔法使いが生み出したようなチーズ。

今月の(CIR/クチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)の食材の記事は、“ブッラータとモッツァレラ”。 リチェッタも数品紹介されています。 1品目はブッラータのジェラート。 純白のジェラートで、見た目はとても美しいのですが、残念ながらブッラータのジェラートの動画は見つからなかったの...