2023年1月14日土曜日

ティンバロのバリエーション、今どきのティンバロは四角い型も使う。


今日はティンバロの続きです。
ティンバロとは、古いフランス語でタンバル(ティンパニー)という意味。この料理に使う型の形を言い表しています。
今月のリチェッタの一品ですが(P.5)、
今月の(CIR)の記事にもある通り(P.32)、丸い型をパスタや米やパイ生地で覆い、肉や野菜やパスタの具をベシャメルやラグーであえて重ね、パスタや米、生地で包んで閉じ、オーブンで焼いたもの。南の料理には珍しく豪華で貴族的で、バロック的とも形容される派手な料理。貴族料理であると同時にパーティー料理でもあります。
伝統的には丸い型を使いますが、今どきのティンバロは、(CIR)P.35にもある通り、四角い型を使うこともできます。
さらにP.34のティンバロのように、イカスミ入りスパゲッティを使えば黒いティンバロになります。P.32のパッケリのティンバロは、パスタを生地で包むのではなく、具を詰めたパスタを重ねるという、モダンなアレンジ。
シチリアのティンバロが目指すのは、シチリア貴族の末裔、ランペドゥーサの小説『山猫』に登場するティンバロ。それをミラノの貴族の末裔ヴィスコンティ監督が映画化した豪華で美しい傑作『山猫』の名シーンも加わって、この料理は他にない形で世界中に広まった特殊な料理。アレンジもたくさんされたが、今回の記事のリチェッタは、もっともアバンギャルドなもの。

山猫のティンバロ

基本のティンバロ、トマトソースのスパゲッティのティンバロ。

・ゆでたスパゲッティ350gをトマトのパッサータ450gとバジリコのトマトソースとパルミジャーノ、スカモルツァ100gであえて油を塗った型に詰め、パルミジャーノを散らす。
・180℃のオーブンで20分焼く。

小型のパスタアネッレッティを使うのがパレルモ風。ロングパスタより型に詰めやすいけど崩れやすいのが欠点。それもスライスして挙げたナスで覆えば解決。パスタはトマトのパッサータじゃなくラグーであえるとワンランクアップ。

《ラグーを造る》
・香味野菜のみじん切りを油でソッフリットにし、子牛と豚の挽肉500gを加えて数分炒める。
・塩、白か赤ワインを加えてアルコール分を飛ばす。
・トマトペースト150gと水500mlを加えて中〜弱火で1時間30分煮る。砂糖大さじ1/2を加える。
・ナスの皮をピーラーで縦に数本むき、縦に厚さ1cmに5〜6枚スライスする。あら塩をまぶして1時間置き、アクを出す。残りのなすは小角切りにする。
・卵2個をゆでる。
・ラグーを30分煮たらグリーンピース、こしょう、ナツメグを加える。
・ナスの水気を拭き取り、2〜3分油で揚げて油を切る。
・小角切りのなすも揚げて油をシートで切り、ラグーに加える。
・直径24cmの丸い型にバターを塗ってパン粉をまぶす。スライスしたなすで覆う。
・パスタをゆでてラグーであえる。小角切りのなすとおろしたカチョカバッロ大さじ3 を加える。パスタを型の半分まで詰めてラグーで覆う。ゆで卵の輪切り、モッツァレラ、スカモルツァで覆い、残りのパスタを押しながら型一杯に詰めてラグーをかける。
・表面にパン粉とバターの小片を散らし、200℃のオーブンで20分焼く。
・15分休ませて皿にあける。

 仔牛肉と豚肉のラグーで和えたパスタも美味しそうですが、今月のリチェッタのイカ墨のスパゲッティのティンバロは、オマールエビのラグー・ディ・マーレ(P.34)、シーフードのラグーであえてオーブンで焼き、リモンチェッロ入りのザバイオーネをかけます。

アドリア海の魚のラグー・ディ・マーレ。
魚のラグーは言い換えれば魚のズッパ。下の動画は甲殻類のグアッゼットのパッケリPaccheri con guazzetto di crostacei。

材料/
パッケリ・・400g
スカンピ・・小10尾
オマール・・500g
エビ・・8尾
ホールトマト・・500g
セロリ・・1
にんにく・・1かけ
唐辛子・・好みで1本
イタリアンパセリ
EVオリーブオイル・・大さじ4、塩

・オマールを熱湯で4〜5分ゆでる。
《グアッゼットを作る》
・セロリ、イタリアンパセリの茎、にんにくを軽く押して平らにしたスカンピを油でソッフリットにする。ホールトマトを潰しながら加える。塩、唐辛子を加える。
・オマールの身を殻から出し、殻はグアッゼットに加える。
・スーゴの具を取り出して潰す。
・オマールをゆでた湯でパッケリをゆでる。
・口の広いフライパンに油を熱し、エビを焼く。オマールのハサミも加える。ハサミを取り出し、オマールの汁を加える。ゆで上がる2〜3分前のパッケリとオマールの身を加えて完全に火を通す。
・皿に盛り付けてエビとオマールを添え、イタリアンパセリのみじん切りを散らす。
・これを型に詰めてオーブンで焼けばティンバロに。小さな型で焼けばティンバリー二。
パイ生地で包んでマフィン型で焼くと惣菜サイズに。



=====================================
イタリアの料理月刊誌の日本語解説『(CIRクチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)
[creapasso.comへ戻る]
===================================

0 件のコメント:

ブッラータはプーリア以外の地方の定番料理にもよく合います。コクとフレッシュさが同時にあるこのチーズは、成功するマーケティングを研究した魔法使いが生み出したようなチーズ。

今月の(CIR/クチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)の食材の記事は、“ブッラータとモッツァレラ”。 リチェッタも数品紹介されています。 1品目はブッラータのジェラート。 純白のジェラートで、見た目はとても美しいのですが、残念ながらブッラータのジェラートの動画は見つからなかったの...