2023年1月26日木曜日

トマトの次にイタリア料理に必要なのはフォークでした。

トマトソースは、たぶんイタリアの一番有名なソース。
トマトソースのことを調べていると、逆にトマトを使わないイタリア料理のソースが気になりました。

『グランデ・エンチクロペディア』

によると、
トマトが入らないイタリア料理のソースの代表的なもの、ペースト pestoは、
リグーリアや地中海料理を象徴するソース。ペースト・ジェノヘーゼはリビエラ・ポネンテ地方のソース。リビエラ・レバンテのペーストはにんにくなどが控えめなのが特徴。

ペースト・ジェノベーゼ。

ペーストの材料のベースは、バジリコ、にんにく、ペコリーノ・サルド、パルミジャーノ、松の実、粗塩、EVオリーブオイルで、地方によっては多少のバリエーションがあります。
ペーストと組み合わせる典型的なパスタは、トレネッテやトロフィエなど、リグーリアの伝統パスタのソースとしても知られています。他に、じゃがいものニョッキ、コルゼッティ、パンソーティなど、様々なパスタがあります。
実際、リグーリア、特に大きな港のあるジェノバは、ナポリ、シチリアに次ぐイタリアのパスタ生産の中心地です。

スローフードのパスタの地方料理の本、パスタ・フォルメ・デル・グラノ
によると、リグーリアやナポリがイタリアのパスタの中心地だった時代のパスタは、
トマトはまだ普及しておらす、おろしチーズをかけただけで、フォークもないので手で食べました。ピエトロ・バリラがパン屋を開くためにボローニャからパルマに移住したのは1877年のことです。
フィリィッポ・デ・チェッコがキエーティのファラ・サン・マルティーノでパスタ生産の活動を始めたのは1887年。ブイトーニがアレッツォのサンセポルクロで誕生したのは1827年。アントニオ・アマートは1868年にサレルノで誕生します。バーリのフラテッリ・ディヴェラは1868年創業。グラニャーノのガロファロは1935年。
イタリアのパスタの大手は、この時代に生まれていたんですね。
にしてもトマトソースの熱々のパスタを手づかみで食べるのは、想像できませんねー。

フォークが登場するのはビザンツ皇帝の孫がベネチアで行われた結婚式のために2本刃の金のフォークを伝えた1004年だそうです。この結婚式は、イタリア料理史上の大イベントだったんですね。
そしてお馴染みのカテリーナ・デ・メディチがフランスのアンリ2世との結婚によってにフランスにォークを伝えたのは1533年のこと。

イタリア移民とアイルランド移民の若者の姿を描いた映画、『ブルックリン』のスプーンを使ってパスタを食べるシーンは、イタリア人がアメリカ人のパスタの食べ方をからかう時の定番。こどもがスプーン使ってると無邪気に指摘すると、大人は、見ないふり、聞こえないふりをします。
ブルックリン:トレーラー。

ピクサーのアニメ、『ルーカ・エ・アルベルト』にはペーストのトレネッテを手づかみで食べるシーンが。さすがにトマトソースだと見た目がやばいことになるもんね。

トマトソースを手づかみで食べるシーンが有名なのはこの映画『Miseria e Nobilità』

リグーリアにはトマトが入らない伝統的パスタソースがほかにもあります。
代表的なのはくるみのソースですsalsa di noci。


材料/
くるみ・・400g
にんにく・・1かけ
硬くなったパンのクラム・・200g
牛乳・・200g
おろしたパルミジャーノ・・75g
マジョラム(魚、肉、野菜に合うマジョラムはリグーリアのシンボル的ハーブ)
塩、EVオリーブオイル

・パンを角切りにして牛乳に浸し、崩してクリーム状にする。
・くるみを殻から出す。
・にんにくを乳鉢で潰す。クルミを加えて粗く潰す。パンとマジョラム、オイルを加える。
・パルミジャーノと塩一つまみを加える。
ミキサーで作ってもよい。


くるみや乳製品の油脂がトマトの代わりになりました。


=====================================
イタリアの料理月刊誌の日本語解説『(CIRクチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)
[creapasso.comへ戻る]
===================================

0 件のコメント:

コウイカは墨だけじゃなく、ラッテ(卵)もある。

コウイカの卵について、全然知らなかったのですが、調べていくうちに、とても興味深いものだということが分かってきました。コウイカseppiaはアドリア海の産物でベネチアの名物。 という訳で、ベネチア料理のお薦め本、『 クチーナ・ディ・ベネチア・エ・ラグーナ 』 を見てみました。すると...