2021年9月6日月曜日

代々受け継がれてきたカンパーニアのイブの料理、スカローラのピッツァ。

今日のお題は、今月の(CIR)から、クリスマス・イブのディナーの地方料理(リチェッタはP.21)です。
イブの料理というと、必ず登場するのがカンパーニア料理のスカローラのピッツァです。
記事ではイブの最初に食べる料理として紹介していますが、その後に料理が続いても大丈夫な軽めの1品。
スカローラはイタリアではおなじみの野菜、チコーリアの一種でエンダイブの仲間ですが、もっと柔らかい葉で、エンダイブとレタスの中間のような野菜。
スカローラのピッツァはいつか食べてみたいと思っているのですが、日本ではお目にかかれないので、ナポリに行ったら探してみたい1品。
一般的にはピッツァというより具入りのフォカッチャの一種。
イタリアを代表するピッツァイオーロ、フランコ・ぺぺが作るスカローラのピッツァは↓
ピッツァ感が強め。生のスカローラを使うのも特徴。
Pizza di scarolaスカローラのピッツァ
材料/
0か00番の小麦粉・・700g
水・・500ml
生イースト・・4g
海塩・・20g
《具》
スカローラ・・100g
EVオリーブオイル・・10ml+少々
ガエータの種抜き黒オリーブ・・60g
塩抜きしたケッパー・・20g
チェターラのアンチョビ・・10g

・イーストを少量の水で溶く。
・小麦粉の30%に水を加えてその水で塩を溶く。木製のマディア(こねおけ)はプラスチックのボールと比べて生地の温度を一定に保つ効果がある。
・残りの小麦粉を加えながら混ぜる。
・小麦粉の約50%を混ぜ込んだら溶いたイーストを加え、生地が適度な固さになるまで残りの小麦粉を加える(10〜15分こねる)。
・なめらかな生地になったらまとめてマディアに入れ、軽く湿らせた布巾で覆って急激な温度の変化がない場所で室温で最低4時間休ませる。
・生地を2つに分けて打ち粉をして均一に伸ばす。
・1枚に洗って小さく切ったエンダイブ、オリーブ、アンチョビ、ケッパーをのせて油を回しかける。もう1枚の生地をかぶせて具の周囲を抑えて閉じ、余分な生地を切り落とす。
・エンダイブが生地に穴を開けないように注意して天板に移し、表面に油を刷毛で塗る。
・最高温に熱したオーブンで12〜15分焼く。

各家庭に自慢のリチェッタがあって、それが受け継がれています。

“グイド・トンマージ”の地方料理シリーズの中でも、2020年グルマン・ワールドクックブック賞のイタリア部門で優勝した傑作、『クチーナ・ディ・ナポリ

には、ノンノ・ミケーレという、ある老医師のスカローラのピッツァの物語が語られています。貧しい人々の病だけでなく人生の相談も受けていた老医師は、地元の人から慕われ、尊敬されていましたが、妻が病に倒れ、引退して妻の看病に専念するようになりました。その時、友人だった大勢の元患者たちは、医師を支えました。その中の一人、エルビラは、毎年イブには薪のオーブンで焼いたスカローラのピッツァを作りました。
医師はこれが大好きで、私の墓にそなえて欲しいと口癖のように言っていました。
エルビラは医師が亡くなった後も、医師の子供や孫たちのためにもスカローラのピッツァを作り続けました。やがてエルビラも亡くなります。
ある年のクリスマスのバカンスの最後の日、ミラノ行きの電車で、医師の孫とエルビラの子供が偶然出会いました。それまでお互いに会ったことはなく、どうやって互いに出会ったのかわからないと言っています。それ以来、エルビラの娘のティティーナが作ったスカローラのピッツァは、再び毎年イブになると医師の家に迎えられるようになったのです。
そしてこれがリチェッタです・・・。
この後、本にはエルビラのスカローラのピッツァというタイトルでリチェッタが続きます。
リチェッタは(CIR)のものに似ていてゆでたスカローラの具です。

カフェ・ソスペーゾのような助け合いの精神に満ちているナポリの下町ならではの話ですね。
こうやって、次の世代にスカローラのピッツァは伝わっていったのですね。
リチェッタによってかなり違うスカローラのピッツァ↓


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