2022年6月14日火曜日

サルデーニャの長寿の村は、過疎と高齢化に悩んで、空き家を1ユーロで売り出した。

今月の地方料理はピッツードスpitzudosです。
とは言ったものの、この発音でいいのか自信はありません。まあ、ドスで終わる名前なんて珍しい名前は、いかにもサルデーニャ料理ですが・・・。

(CIR)の記事P.41によると、この料理のふるさとは、サルデーニャの魂がある場所、文字通りサルデーニャの中央部分、バルバージャbarbagia。

昨日までミラノの話をしていて、頭を切り替えるのがちょっと大変だけど、どちらもイタリアの姿。

バルバージャの羊飼いは、一年の大部分を放牧の旅に出ているので、畑を耕すとか、パンを焼くといった村の暮らしは残された女性たちが切り盛りしています。
上の動画は、1958年のバルバージャの女性たちを、イタリアの映画監督、ビットリオ・デ・セタが(『自転車泥棒』のデ・シーカじゃない。イタリアの最も貧しい労働者に焦点を当てたドキュメンタリーで知られる監督)もの。
バルバージャ・ディ・オッロライbarbagia di ollolai地方のオヴォッダOvodda村は、長寿で有名で、別名パンの村とも呼ばれるところ。

2016年のオッロライ。標高1000mの静かな水源の村。



2021年のオヴォッダ。

オッロライは世界中のテレワーカーが一番住みたい町に選ばれたんだって。
オッロライは過疎と高齢化に悩む村。前市長は、購入者が家を修復する、という条件で、20軒のぼろぼろの空き家を1ユーロで売り出しました。
国の内外から約40軒の問い合わせがあったようです。
どこもこの問題にはかなり困ってますね。
サルデーニャは多くの移民を出した地。そこに戻ってこようとする人もいるようです。



オッロライはヤギの放牧だけでなく、ロバの飼育も盛ん。昔はヤギのミルクを運ぶために飼っていたんだって。最近ではロバのレースも盛んになってきたそうです。

アルバのロバのパリオ。去年は中止だったけど、今年は再開された。

ピッツードスの話、次回に続きます。


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イタリアの料理月刊誌の日本語解説『(CIRクチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)
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2022年6月13日月曜日

マルケージの弟子でミラノに店を持つオルダーニシェフの金箔と白いサフランのリゾットは、リチェッタを知らないとタイトル回収できない。

最近のリゾットのお題の始まりは、ダビデ・オルダーニシェフでした。
今月の(CIR)で特集されているシェフですが(P.18)、ミラノ出身でミラノに店を持つ彼の、ミラノ風リゾットの動画を見て、サフランに対する思い入れの強さを知り、彼の天才ぶりも知りました。
(CIR)には超個性的な彼の料理の写真を数点載せましたが、リチェッタはなかったので、難解なシェフの料理のリチェッタを動画でどうぞ。

サフランの使い方が天才的なサフランのリゾット。サフランは北イタリアで初めて栽培に成功したロンバルディア産のもの。オルター二シェフ御用達で有名になった。


下の動画はミラノやイタリアを代表するシェフでオルダーニシェフの師匠でもあるグアルティエロ・マルケージの傑作に軽いを加えた1品です。

金箔と白いサフランのリゾットzafferano bianco,riso e oro

材料/40人分
金箔・・40g
サフランを浸した水・・1ℓ
ビネガー・・1ℓ
ブッロ・ドルチェ・・1.5㎏
18か月熟成のカルナローリ米・・3㎏
塩・・1㎏
27か月熟成のグラナ・パダーノ・・1.5㎏

・何も入れていない鍋に米を入れて軽く炒めて米の香りを立てる。
・軽く塩を加えた湯をレードル1杯ずつかけてリゾットに煮る。カルナローリのゆで時間は16~18分。
・火から下して20~30秒休ませ、バター少々とビネガー少々、おろしたグラナ・パダーノ大さじ数杯を加えてマンテカーレする。塩味を整える。最後にサフラン水を加える。
クラシックなリゾットよりサフランの風味を味わうことを意識したリチェッタ。
・リゾットを皿に盛り付けて平らに広げ、金箔をのせる。

リチェッタを知って初めて料理の名前の意味が分かりました。
難解だけど、意味が分かるとめっちゃ楽しい。

シェフの店、リストランテ・ドーは、ミラノでシェフが子供時代を過ごした公園の前にある。

な、なんてオサレな先割れスプーン。

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2022年6月12日日曜日

リゾットは、米にブロードを吸わせてでんぷんが溶け出るようにゆっくり煮る。

今日の料理はゴルゴンゾーラのリゾットrisotto al gorgonzola


リチェッタの基本はリゾット。
盆栽が趣味のシェフがマスクをして登場し、今まで15年レストランをやってきて店を閉めたことなど一度もなかったけれど、今はみんな家で家族と一緒にいます、と悔しそうに語っています。

ゴルゴンゾーラのリゾットは、リゾットを作って仕上げにゴルゴンゾーラでマンテカーレします。
リゾットの作り方さえマスターしていれば、あとはほんのちょっとのアレンジでできます。
米はベネトならビアローネ・ナノで、ロンバルディアやピエモンテならカルナローリ。

材料/
カルナローリ米
黒コショウ
EVオリーブオイル、バター
玉ねぎ・・1個
ゴルゴンゾーラ
白ワイン(グレコ・ディ・トゥーフォ)・・1カップ

・鍋ににんじん、セロリ、玉ねぎを入れてブロードを作る。
・ゴルゴンゾーラのリゾットの場合、玉ねぎを加えない人もいるが、私は好きなので加える。普通のリゾットの場合は玉ねぎを細かく切って加えるが、ゴルゴンゾーラのリゾットの場合はとてもクリーミーな料理なので歯ごたえが欲しくて、いつもよりやや粗く刻む。玉ねぎをバターとEVオリーブオイル少々(バターの温度を下げるために加える)でソッフリットにし(リゾットをクリーミーにするために生クリームを加える人もいる)、玉ねぎが半透明になったらカルナローリ米を加える。量は1人前で2握り。1人前の時は鍋用に1握りで計2握り加える。米の外側が透き通って米の中央に白い芯ができたら白ワイン1カップをかけてアルコール分を飛ばす。ここにブロードをかけて米の表面より1、2㎝上まで覆う。1、2分ごとにレードル1杯のブロードをかけてかき混ぜながら2、3分煮る。さらにブロードを米を覆うようにかけながらリゾットに煮る。チーズに塩気があるので、塩味は味見をして最後に調える。米はスポンジのようにブロードを吸い、絞ると泡が出るが、急いで一度に加えると水気を吸わないし泡も出ない。米がブロードを吸ってでんぷんを外に出せるようにゆっくり煮る。一般的にリゾットにするには18~20分かかる。
・仕上げにブロードをかけて2分煮詰める。レードル1杯のブロードを加えて混ぜ、2分煮詰める。計15分煮たら、最初のゴルゴンゾーラ一塊を加えて溶かす。ブロード少々とゴルゴンゾーラを加えて溶かしながら煮て、数分休ませる。
その間にセロリにのせたゴルゴンゾーラをかじって「マンマミーア」と言ってますねえ。
こういうタイミングであの言葉を言うんですねえ。ごついシェフが言うとギャップ萌え~。
しかも、最後に煮上がる1分前に残りの“ゾーラ”を加える。と言ってます。
ゾーラはロンバルディアの人のゴルゴンゾーラの呼び方。なんかかっこいい。
最後のゴルゴンゾーラを加えたら火を止めてバターとゴルゴンゾーラを加えて強く混ぜ、空気を混ぜ込む。1分休ませて皿に盛り付ける。
確かにリゾットはかなりクリーミーに煮上がってます。玉ねぎの歯ごたえが欲しくなりそう。

おまけの動画はパルミジャーノのリゾット。
パルミジャーノの皮にリゾットを盛り付けるのはよくあるけど、下のリゾットはパルミジャーノのチャルダで造った器にリゾットを盛り付けています。器は食べることができるから、最後に食べるのが楽しみ。


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2022年6月11日土曜日

イタリアのチーズは南はモッツァレラなどのパスタ・フィラータ、北はパルミジャーノなどグラナに大別される。ゴルゴンゾーラはドッピオ・パスタと呼ばれる製法。

きのうイカスミのリゾットの動画を色々見ましたが、無数にあるのにどれも全然リチェッタが違うのです。
主にリゾットの作り方の違いでした。
リゾットは、米の産地、ロンバルディアでは人気の料理、でも、ロンバルディアには海がない。
イカ墨のリゾットは、ミラノ料理じゃないなあ。やっぱりコウイカが採れるベネチアの料理。イカスミ料理に関しては、未だに後悔しているのが、ベネチアでイカ墨のリゾットじゃなくてイカ墨のスパゲッティを食べちゃったこと。
スパゲッティは硬質小麦粉の産地、つまり南イタリアの料理。ベネトは硬質小麦は育たなくても米は育ちました。むしろ、ポー河と潟地方があったベネトは、豊富な水が必要な稲作に適していました。デンプンの含有量が多くてリゾットに適したビアローネ・ナノという品種が知られています。
ミラノでは、ビアローネ・ナノとレンチーノという品種のハイブリッド米、カルナローリが1945年に生まれました。料理人からも支持されている米で、ミラノ風リゾットを始めとする様々なリゾットに使われています。
イカ墨のリゾットは、ミラノじゃなくてベネチアで食べるべきでした。
では、ミラノならではのリゾットとは。
ミラノの名物の一つはチーズです。ゴルゴンゾーラのリゾットなんてどうでしょう。

ゴルゴンゾーラ。

ミラノでは、大企業が大量生産するチーズは、外国産ミルクや粉末のミルクが使われている、と敬遠されがちで、地元の小さな造り手のチーズが人気。

最近は南イタリアのチーズの動画をよく見ていましたが、南イタリアのチーズはモッツァレラに代表されるパスタ・フィラータpasta filataのチーズです。一方、北イタリアのチーズはグラナgranaと呼びます。パルミジャーノに代表される硬質チーズです。粒状の生地がその名前の由来ですが、ゴルゴンゾーラはそのどちらでもなく、ストラッキーノチーズがベース。
ゴルゴンゾーラは青カビチーズで、イタリア語ではformaggio erborinati/フォルマッジョ・エルボリナーティと言います。語源はイタリアンパセリという意味のerborin。
ゴルゴンゾーラの製法は、晩のカード(凝乳)に朝のカードを加える“ドッピオ・パスタ”と呼ばれる方法。
そもそもこのチーズの誕生にはこんな言い伝えがあります。デートに夢中になった農家の若者が、加熱鍋にカードを入れたまま一晩中忘れてしまい、翌朝、できたてのカードに加えてかき混ぜてみたけれど、前の晩のカードは朝のカードとは完全に混ざらず、シワや隙間の多い生地になってしまった。この生地を熟成させてみると、チーズの中にカビが生えてしまったが、味は上々で人気のチーズになった。
というわけで、ゴルゴンゾーラはフレッシュチーズのホエイを出し、針で穴を開けてカビの発生を促しながら作ります。
ゴルゴンゾーラの誕生にまつわる話はいろんな説がありますが、この話を知って以来、私の中ではミラノ風リゾットはステンドグラス作りの職人の若者、ゴルゴンゾーラは農家の恋する若者のドジから生まれた傑作として、とってもほのぼのした食べ物になりました。

ゴルゴンゾーラができるまで。

リゾットのリチェッタは次回です。


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2022年6月10日金曜日

イカ墨のリゾットは、アドリア海のコウイカがメインか北イタリアの米がメインかでリチェッタがかなり違う。

それでは今日は、イカ墨のリゾットことリゾット・ネロrisotto neroです。

下の動画は、ベネチアでのリゾット・ネロの作り方。
市場にイカを買いに行くところから見せてくれます。
イカはその場で下処理しながら売るんですね。墨袋は別にしてくれます。

動画ではベネチアの一般的なコウイカの食べ方、イカのウミドを説明しています。大雑把なリチェッタは玉ねぎをソッフリットにし、小さく切ったイカを加えて炒めます。
ワインをかけて墨を加え、トマトペーストを加えます。
リゾットの場合は米を加えてブロード・ディ・ペッシェをかけながらリゾットに煮ます。

ピエモンテ州監修の米の本、『リーゾ

には、ヤリイカのコウイカの墨風味のリゾット詰めRiso al nero di seppia nel calamaroという料理がありました。
つまり、イカ墨のリゾットにするイカはコウイカで、詰め物をするイカはヤリイカ、ということです。

イカ墨のリゾットrisotto al nero di seppia

材料/4人分
コウイカ・・600~700g
米・・350g
イカ墨、ビネガー
セロリ・・1本
にんにく・・2~3かけ
バター・・30g
パルミジャーノ、塩、こしょう
EVオリーブオイル、イタリアンパセリ

・イカは大型のものが適している。下処理して小さく切る。
・鍋に油とにんにくをソッフリットにし、イカを加えて数分熱する。
・水とビネガー少々で溶いた墨を加えて混ぜる。
・セロリとブロード用の水約1.5ℓ、塩、こしょうを加え、蓋をして40分煮る。
・半ばでセロリとにんにくを取り除く。火を止めてブロードの一部を別にする。
・米を加え、ブロードをかけながらリゾットに煮る。
・煮上がる直前にバター、パルミジャーノ、イタリアンパセリのみじん切りでマンテカーレする。
・熱々をすぐにサーブする。

イカと米という2つの食材の扱い方がポイントの料理で、バリエーションは人によってかなり違う。
上の動画は比較的イカ中心、下はリゾット中心。
材料/
カルナローリ米・・300g
コウイカ・・1㎏
イカの墨袋・・2個
玉ねぎ・・1個
ブロード・ディ・ペッシェ
イタリアンパセリ・・1房、塩
EVオリーブオイル・・大さじ4

・玉ねぎをみじん切りにして油で焦がさないようにゆっくりソッフリットにする。
・小さく切ったイカを少しずつ加えて弱火で4~5分炒める。イカを全部加えたら弱火で40分熱する。乾きすぎる時はブロード・ディ・ペッシェか水少々をかける。
・蓋をして30分煮る。
・別の鍋に油かバターを入れて火にかけ、米を炒める。米はビアローネ・ナノかカルナローリがお勧め。
・米が半透明になったら(生の米と比べると色が変わったのが分かる)ブロード・ディ・ペッシェをかけながらリゾットに煮る。
・米は常にブロードで覆いながら煮る。米が煮えたら煮たイカとブロード・ディ・ペッシェを加え、イカ墨を加えて5、6分煮る。
・皿に盛り付けたらイタリアンパセリのみじん切りを散らし、塩味を整える。
・好みでバターやオイルでマンテカーレしてもよい。


この人はリゾットの作り方にもイカの処理の調理の仕方にもこだわってますね。トスカーナ在住の人だそうです。

アドリア海のコウイカとロンバルディアの米の両方が主役の料理でした。


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2022年6月9日木曜日

イタリアの米を使っても、ゆでた米にブロードとバターを加えただけではリゾットにはならない。

ゆでた米は、世界で最もよく食べられている料理です。
イタリアは、米が伝わると、米の栽培に適した環境のピエモンテとロンバルディアを中心に栽培が普及します。そして今や、ヨーロッパでもっとも重要な米の栽培国になりました。

リーゾ・ボッリート。

米は水と一緒に炊飯器に入れておくことに慣れ切ってると、ちょっと違和感。

リーゾ・ボッリートにブロードとバターを加えても、リゾットとは全然別物。ゆでた米にブロードとバターを加えただけではリゾットにはならないのでした。

北イタリアの米栽培は、北緯46度が北限です。言い換えれば、イタリアでもっとも多く栽培されている米、ジャポニカ米の北限でした。ベルチェッリ-アレッサンドリア-ノバーラの三角形の地域で、イタリアの米の2/3が栽培されています。エミリア-ロマーニャやベネト、トスカーナ、カラブリア、プーリア、サルデーニャでも少量栽培されています。イタリアの中でも米(リゾット)が好きな地方として知られているのはミラノとベネチアです。

北イタリアでは、米は水の中で生まれてワインの中で死ぬ、Nasce nell'acqua e muore nel vino...という言い回しが知られています。これは米の栽培にたっぷりの水が欠かせないことや、ゆでている間にでんぷんがゆで汁に溶けでる米の特徴や、米がベースの料理にワインが欠かせない、というような多くの米の特徴を、端的に言い表しています。
 弥生時代から続く伝統がある日本では、米は炊飯器で炊くものになっていますが、なんの伝統にも縛られないヨーロッパでは、モダンで科学的な方法で鍋で米を調理し、それに適した米が作り出されました。

 米の2種類のデンプン、アミロースとアミロペクチン、ゆでることによる米の粘り気、他の食材の香りや味を吸い込む力、米の表面積と調理中に米が吸い込む水分の量の関係などから判断される米の熟成具合、水分量、米と組み合わせる他の食材、こうしたもろもろのことが考えつくされて、ただのゆでた米ではなく、リゾットは生まれました。
米は品種によってゆで汁に溶け出るでんぷんの量が違います。

デンプンの量が多い米で作ったリゾットは柔らかく、クリーミーになります。
これはマンテカーレすると、アッラ・オンダと呼ばれる米がつながって波打つようになる状態を作り出します。

アッラ・オンダalla onda。


デンプンが少量しか溶け出さない米は、調理してもゆで汁が澄んだままで煮崩れず、サラダや魚のリゾット、パエリヤに適しています。
米に空洞が多い締まっていない米は、この中に水分が入り込み、煮汁や油脂が入らなくなります。そのため、米は調理する前に炒めて余分な水分を飛ばす必要があります。
このような条件を満たす米がリゾット用として選ばれます。


リゾットの基本がわかったところで、次回はリゾットのリチェッタです。
まずはミラノ同様リゾット好きのベネチアの名物料理、ベネチア風イカ墨のリゾットなんてどうでしょう。

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2022年6月8日水曜日

ロンバルディアやピエモンテは北イタリアを代表する米作地方だが、その米はアメリカに逆輸入されていた。

サフランを使うイタリア料理、探してみましたが、やっぱり、ミラノ風リゾットに勝るものはありません。その理由は、ミラノ風リゾットがイタリア料理の象徴的な1品、ということにあると思います。
ほぼ米とサフランだけの料理が、なぜこれほど愛されるのか。やっぱりお米の美味しさかな。
ロンバルディアは北イタリアの米どころ。ベルチェッリやノバーラなどが知られています。
この地方の米と言えば、映画『苦い米』は、衝撃的でした。『バードレ・パドローネ』ではサルデーニャの羊飼いの暮らしに衝撃を受けましたが、シルバーナ・マンガーノ主演のこの映画は、ビスコンティの映画で知ったブルジョアマダムのイメージがぴったりの美人女優が、出稼ぎで田んぼで働く姿のあまりにも大きなギャップで、すごい衝撃を受けたのでした。北も南も、イタリアの暮らしは厳しいなあ。

苦い米(トレーラー)

トレーラーだけでも十分衝撃的。
米は、アラブ人がスペイン経由でヨーロッパに伝えたと考えられていますが、ほかにも説があります。
古代ローマ人も米を知っていましたが、かなり高価で化粧品として使われていました。地中海地域には長い間インドから輸入されて薬として使われていました。8世紀ごろ、この状況がアラブ人の登場によって変わります。米は中東とオリエントの交易物資になり、ベルチェッリやノバーラで米の栽培が始まります。ヨーロッパ中を襲った中世後期の飢饉によって、ファッロ、アワ、ライムギなどの古い食物に米が劇的にとってかわりました。米はすでにオリエントでは多くの民衆の飢えを救う食べ物として知られていたのです。
ルネサンス期のイタリアで、米の栽培量は急速に拡大します。とは言え、米の栽培は、簡単ではありませんでした。水がよどむ地域ではマラリアが危惧され、洪水の危険から、田んぼは都市や幹線道路からは離れた場所に作られました。農民の健康状態は、都会の若者には関係なかったのです。
1584年に、ノバーラの医師が、田んぼやその水が人間に及ぼす害は少ない、という見解を発表しました。でも、その考えが定着して田んぼが広まるのには、さらに3世紀がかかったのでした。
イタリアでは16世紀の初めには米の栽培が普及しはじめましたが、まだ米は高価なものとみなされていました。
水路が張り巡らされたミラノは、米作りの恩恵を強く受けた都市です。ミラノでは米が普及しましたが、ピエモンテではもっとゆっくり広まりました。
コロンブスがとうもろこしをもたらしたのは大昔の話。今や、アメリカの大統領が、フランスにアメリカ産米を売り込むほどになったのです。
そしてなんと、大統領(トーマス・ジェファーソン)は当時ピエモンテで栽培されていた米の種を持ち帰ったのでした。
もちろん米を持ち出すことは死刑に値する大罪でした。
ジェファーソン大統領はトリノ、ベルチェッリ、ノバーラを訪れて密輸業者を雇い、種の入った袋をジェノバ港まで運んで帰国しました。
これらのことは、ピエモンテ州が出版した記念碑的本『Riso

に書いてあります。
アメリカに到着した米は大歓迎されて栽培が始まりましたが、期待した成果は得られませんでした。1839年、フィリピン人神父がアジアの品種の米を持ち帰ります。この品種の成功によって、現代的米作と米が広まることになりました。

ミラノのナビッリ地区。

北イタリアの米作は順調に拡大していましたが、大恐慌と第二次世界大戦によって、イタリアの米作りは縮小していきます。

『Riso』は素晴らしい本なのですが、何しろデカイ。なので読み進めるのに時間がかかり、つい遠ざかっていましたが、読んでみると、もっと早く知っておきたかった、という話ばかりです。ピエモンテ州の本気を知りました。約200ページあるこの本の冒頭の2、3ページだけでこれですから。



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イタリアの料理月刊誌の日本語解説『(CIRクチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)
Riso
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中央ヨーロッパと北西ヨーロッパの影響を受けた地中海の地方、フリウリ・ヴェネチア-ジューリア。

今日のトラットリアは、フリウリ・ヴェネチア-ジューリアの店です。 フリウリ・ヴェネチア-ジューリアは、地中海にありながら、中央ヨーロッパと北西ヨーロッパの影響を色濃く受けた、個性的な地方。 アフリカやアラブの影響が強い南イタリアではまったく感じない異国情緒があり、とてもドラマチッ...