2025年9月23日火曜日

貴族と農民の間の富裕な市民層が、市民革命を起こすほどの力を持つ時代が到来して、イタリア料理は変わっていく。

都市の富裕な市民層、ブルジョワジーが力を持った時代、貴族と農民の間の市民層は、やがて革命を起こすほどの力を持っていく。イタリア料理の主役も、彼らに移っていく。(CIR5月号)の記事“ミラノのマンゾーニ”は、イタリア近代文学を代表する作家マンゾーニ家の料理で、当時のミラノの市民層の料理を紹介する記事(日本語訳はP.37~)。農民の貧しい暮らしと貴族の豪華な食事から生まれたそれまでの南イタリアの料理とはまったく違う背景を持つ料理です。
まず1品目は、ポルト酒風味の“冷製テリーヌ”。

(CIR)のリチェッタは、肉のミストのポルト酒風味。

下の動画は子牛肉のテリーヌ。


料理の解説によると、“マンゾーニの時代、冷製テリーヌはどんな時間にも合う軽食のような、主人が予想もしない時間に帰宅してもサーブできる料理で、サーブする人を必要としないいわば万能の料理だった。”
いや~ビックリ。当時の都会の市民たちの料理に望むことは、現代人になんともよく似た考え方じゃないですか。
つい最近、5月号の記事“ランゲの伝統料理”の中で、ピエモンテのランゲ地方の農民の暮らしを訳したばかりで、その違いにもビックリ。
ランゲ地方では、当時台所は家族の最も大切な場所で暖房が利く唯一の場所でした。家族の生活の中心だったのです。日中は薪で煮るかまどに常に火が入っていました。そしていつでも使えるようにその上で湯を沸かしていました。料理なら、コトコト煮るスーゴやミネストラを常に煮ていました。そして寒い外から帰った人々に温かい料理を提供していたのです・・・。
この時代は、常に温かい料理を出すことが求められていたのですね。常に鍋を火にかけてコトコト煮込むなんて、かまどがなければできないことでした。
それがマンゾーニの時代になると、予想もしない時間に主人が帰ってきても、サーブする人がいなくてもいい料理。奥さんは大分楽になってますね~。かまどの前でコトコトスープを煮込むなんて時代じゃなくなってますよ。
次の料理はモンデギリ。ミラノ名物のミートボールですが、これもミラノの市民階級が生み出した料理だったんですね。
詳細は次回。

白肉と野菜のテリーヌ。


ランゲの料理。



=================================
毎週末と祝日はブログ『イタリア料理書専門店libreria creapassoの新入荷本』で新書籍の紹介をしています。


new『スッド・グランデ・クチーナ(南伊・山・海)』

【地方料理、シリーズ】
シチリア』、『ローマとラツィオ
=================================
(CIR)は『クチーナ・イタリアーナ』という地方料理の本としては最高の雑誌のリチェッタと記事を日本語に翻訳した約50ページの小冊子です。
このブログはこの解説のビジュアルガイド。お手元に用意してご覧ください。
(CIR)は毎月日本語に翻訳している力作です。イタリア発の地方料理の情報は、昔の有名書籍が売り切れて入手困難になっている昨今ではとても貴重です。
さらに、イタリアの情報はとても詳細。観光の役に立ちます。
私のイタリア料理の知識は、すべて長年読み込んでいるこの本から得たものです。
価格は1冊\900(税・送料込)、1年12冊の定期購読だと15%引きの\9200(税・送料込)になります。紙版と、ネット上にupするPDF版があります。PDF版の価格は\800/号、定期購読は\7700/1年12冊です。

現在、2023年の号を販売中です。それ以前の号と、旧総合解説はシステムの変更のため販売を終了しました。
現在販売中の定期購読は2023年版。
1冊のみの注文もできます。
古い雑誌や本は在庫を探しますのでご相談ください。
本以外のお問い合わせもお気軽にどうぞ。
雑誌と(CIR)併せて定期購読の場合は割引の特別価格になります。
まずはお問い合わせをどうぞ。

ご注文の場合は、こちらのフォームからお願いします。
お問い合わせはお気軽に、こちらからどうぞ。

(下記のリンクがクリックできない時は左クリックして表示されたurlをクリックしてください)

===================================================
クレアパッソのブログは下記の3種類あります。


[creapasso.comへ戻る(hpはシステムのトラブルで長期間更新していません、あしからず。2025年12月一杯で閉鎖します。ブログは残ります。)最新情報はすべてブログでお知らせします。

=====================================


=====================================

0 件のコメント:

貴族と農民の間の富裕な市民層が、市民革命を起こすほどの力を持つ時代が到来して、イタリア料理は変わっていく。

都市の富裕な市民層、ブルジョワジーが力を持った時代、貴族と農民の間の市民層は、やがて革命を起こすほどの力を持っていく。イタリア料理の主役も、彼らに移っていく。(CIR5月号)の記事“ミラノのマンゾーニ”は、イタリア近代文学を代表する作家マンゾーニ家の料理で、当時のミラノの市民層の...