2021年11月17日水曜日

トリュフは料理のダイヤモンドbyブリア・サバラン

話が前後しましたが、季節の食材の話題に戻ります。
この時期は、トリュフの最盛期です。
よく高価で貴重な食材は、○○の金、というふうに言われます。先日登場したピスタチオは緑の金でした。
ところがトリュフは格が違うのです。
よく引用されるのが、ブリア・サバランの言葉。
彼はトリュフのことを料理のダイヤモンドと呼んだのです。

トリュフの中でも特に貴重なのが、栽培ができず、イタリアにしかない、最上級のトリュフ、タルトゥーフォ・ビアンコ・プレジャートtaartufo bianco pregiatoです。
エジプトのファラオやアレキサンダー大王も食べていたトリュフですが、これがきのこと認識されたのは16世紀以降のことでした。
トリュフとポルチーニの最大の違いは地面に出てくるきのこではなく、すべての成長サイクルが地中で展開される、ということ。
きのこの組織は菌糸が大量に集まった菌糸体によって成り立っています。
菌糸は地中に広がって木の根の達し、条件が合えば一種の共生を始めます。
胞子は光合成をしないので、成長に必要な物質を自ら作り出すことができない。
そこで木の根から栄養をもらい、樹には地中から吸い取った水分と有機物を与える。
胞子を作るための再生器官が子実体、つまりトリュフです。
十分に熟すとトリュフは胞子を放出します。トリュフは熟したものだけがあの強烈な香りを発します。香りは土の表面にまで達し、嗅覚の発達した動物を強力に惹きつけます。
動物は地中を掘って、トリュフを探し出して食べます。
こうして胞子の運び手になるわけです。

アルバの白トリュフハンティング

イタリアではトリュフ犬に適しているのはラゴット・ロマニョーロという犬種だと言われている。
黒トリュフは加熱に適し、白トリュフは適さない、というのはトリュフ料理の基本ですが、
さらに、トリュフを料理する時は、薄く、かつ表面積をできるだけ広くスライスして強い香りを発散させる、というのも基本。だからトリュフスライサーが必要。
トリュフの本体は香りですもんね。
トリュフは、持続する心地よいほろ苦さのある香り、と言われたり、にんにく風味とか言われています。
料理に加えるトリュフの適量は9〜10g。
触ったときに締まっていて適度に熟しているものを選ぶ。中の筋がはっきりしているものは熟している。購入後は1週間以内に食べる。
すぐに食べない場合はキッチンペーパー数枚で包んで密閉容器に入れ、冷凍庫で保存する。

イタリアで上質トリュフの産地として知られるのはピエモンテ南部のアルバとマルケのアックアラーニャ地区。 
天然物しかないタルトゥーフォ・ビアンコが育つことで知られるのはピエモンテのアルバ、アスティ、アレッサンドリアにまたがるランゲ他方の丘陵地。
ところが、この地方はワインの産地としても有名で、実は、トリュフを取るよりぶどうを栽培したほうが儲かるらしいのです。ランゲの土地は金に値する、と言われているそうです。つまり、ランゲ地方(特にバローロ地区)ではぶどう畑が増えて森や林が消えているそうです。
白トリュフはアルバ以外でもイタリア各地で採れます。

アックアラーニャ

2021年のアルバの白トリュフ国際見本市は10月9日から12月5日まで開かれるそうです。例年だと11月末ぐらいまで。

アックアラーニャの白トリュフ見本市。


アックアラーニャはトリュフの街で、住民のの1割がトリュフの採取許可を持っています。毎年トリュフの出荷量は600トン。
トリュフは一年中取れます。
まず黒トリュフ、次にビアンケット、またはマルツオーロ、そして黒のサマートリュフ(スコルゾーネ)、と続きます。
白トリュフは学名でマニャトゥム・ピコと呼んで区別しています。

トリュフの話、次回に続きます。

地方料理の本、『イタリア・イン・クチーナ

『ピエモンテ』、

『マルケ』



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