2021年11月30日火曜日

パスタ入門編、その4、トロフィエは地元の人から教わるしか作り方が伝わらない不思議なパスタ。

パスタのお題中ですが、今月(3月号)の(CIR)に、お題にピッタリの記事がありました。
“各地の定番パスタP.20”です。
地方料理の定番を紹介する連載記事です。
イタリアの地方料理の定番に選ばれたパスタ・フレスカは、
トロフィーエTrofie、マッロレッドゥスMalloreddus、オレッキエッテOrecchiette、ピッツォッケリPizzzoccheri、ブジアーテBusiateという、よく考えられたラインナップでした。

トロフィーエ、マッロレッドゥス、オレッキエッテは、いずれもニョッキの一種です。それぞれ、少量取った生地の塊(ニョッキ)を、潰しながらねじる、潰しながら筋をつける、潰しながらくぼませる、という加工をします。
先端が細いショートパスタ、トロフィーエは、成形という点ではとても特殊なパスタです。
生地を厚さ○mmに伸ばして幅○mmに切る、といった万人に伝わるような客観的な製法がなく、見て覚えるしかないこのパスタは、発祥地と考えられているレッコReccoを中心に、リグーリアのリビエラ・レバンテ地方の主婦の技として受け継がれてきました。地元の人に教わらないと再現できない貴重なパスタです。

トロフィーエ

すべてのパスタの形は美味しく食べるためのもの。
リグーリアの人は、このパスタにペースト、じゃがいも、さやいんげんのソースを組み合わせました。
それは、奇跡的な相性の良さでした。そしてトロフィエと一緒に地元の外へ広まっていき、イタリアの地方料理の定番パスタと呼ばれるまでになり、トロフィエの乾麺も登場して、内外に広まりました。


リチェッタは今月の(CIR-P.20)にありますが、一応、上の動画のレッコのリストランテ(昔ながらの伝統料理を出す家族経営の老舗)、オ・ビットリオ ristorante da O' Vittorio (webページ)のものも訳してみます。

ペーストのトロフィーエTrofie al pesto
材料/
《トロフィエ》
00番の小麦粉・・500g
ぬるま湯・・200ml
セモリナ粉
《ペースト》
葉の小さいタイプのプラのバジリコ・・160g
ピザの松の実・・70g
EVオリーブオイル・・70ml
グラナかパルミジャーノ・・80g
ペコリーノ・サルド・・50g
にんにく・・1かけ

《トロフィエ》
・小麦粉をフォンタナに盛り、ぬるま湯を加えてこねる。
塩、卵、油は加えない。締まった生地になったら布巾で覆って30分休ませる。
・麺台に包丁で切り込みを数本入れる。生地を左手で少量取り、作業の間、乾かないようにずっと握っておく。
・右手で生地を少量つまみ取って台に置き、手のひらの指の付け根で転がしながら細く伸ばす。
片方の端を小指の側から出し、斜め45度下に向かって潰しながらねじる。
・トロフィエという名前の由来は諸説あるが、トロフィーではなく、ジェノバでは、こするという意味のストロフィナーレstrofinareが語源、という説が信じられている。
・レッコには親指の側でねじるというマニアックな技もある。

《ペースト》
・にんにくと松の実、粗塩少々をミキサーに入れて熱を持たないように数回に分けて撹拌する。バジリコ(熱を持たないように冷凍しておいてもよい。プラのバジリコがない時は下ゆでしてミント風味を飛ばしておく)とオリーブオイルを加えてミキサーをゆすりながら撹拌する。バジリコに熱が入りすぎるとペーストが黒ずむ。グラナ、パルミジャーノ、ペコリーノを加えてさっと混ぜる。
・じゃがいもは皮をむいて厚めにスライスし、塩ゆでする。2分ゆでたらトロフィエと下ゆでしたさやいんげんを加え、3分ゆでて水気を切る。
・ゆで汁少々で伸ばしたペーストであえてバジリコで飾ってサーブする。

作るのがとてもむずかしいパスタなので、乾麺が登場するまで広まらなかったというのは納得です。
逆に手作りできる人は才能に恵まれたラッキーな人、ということができるかも。

次回はオレッキエッテです。

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