2024年1月12日金曜日

ピエモンテ牛やシチリアの島のオレガノで作るナポリ料理、アッラ・ピッツァイオーラ。今や近所の食材だけでまかなえる時代じゃない。

ピッツァイオーロの話の流れから、今日の料理は“ビステッカ・アッラ・ピッツァイオーラbistecca alla pizzaiola”です。
(CIR10月号P.33)のリチェッタを見ても分かる通り、肉を焼いてトマト、にんにく、オレガノ風味のスーゴに入れてなじませた料理。
トマト、にんにく、オレガノと言うのは、ピッツァ・アッラ・マリナーラの定番調味。そしてピッツァ・アッラ・マリナーラはナポリピッツァの基本のピッツァ。
というわけで、これはナポリのピッツァと深いつながりがある料理です。
普通はカルネ・アッラ・ピッツァイオーラと言い、肉料理ではあるけど、何の肉か、詳しく特定はしていません。
でも、このリチェッタでは、“ビステッカ”つまり牛肉のステーキだとはっきり言っています。
つまり牛肉とトマト、にんにく、オレガノ、EVオリーブオイルだけで作る料理です。

イタリア料理でビステッカと言えば、誰もが思い浮かべるのがトスカーナのキアニーナ牛のステーキ。
でも、よく考えてみればこれはトスカーナの産物。はたして、ナポリのピッツァイオーロは何の肉でビステッカを作るのでしょう。というか、ビステッカというもの自体がトスカーナの料理で、ナポリでは、薄~い肉を使います。

肉は薄くスライスしたランプ。1枚100g。
食材の選び方を紹介する(CIR)の記事では、ピエモンテ牛を使っています。
ピエモンテ牛は巨大になる遺伝子を持つ牛。3~4か月の授乳期の後、子牛は干し草と季節の穀物で育ちます。肉が柔らかい月齢20~24ヵ月で屠畜され、15日寝かせます。

ピエモンテ牛。イタリアの中ではかなり高く評価されている牛肉。

今月のナポリの牛肉のピッツァイオーラには、ミラノの一流肉屋L'Annunciata Macelleriaから仕入れたピエモンテ牛のランプが使われていました。
ミラノのランヌンチャータ。ミラノの中心部にあって、プロだけでなく、グルメな一般市民にも愛されている店。ミラノの肉屋の人気商品は、パン粉をまぶしたコトレッタ・ミラネーゼ用の肉など。
ミラノの肉屋のピエモンテ牛がナポリのピッッァイオーラになっていると考えると面白いけど、20年前の開業当時と今では消費者の需要はかなり変わっているようで、その話も面白いです。20年前は肉にチーズをはさむのが人気だったけど、今はカルパッチョやタルタル、ハンバーグなどのリクエストがあるようです。それに従って売れる肉も完全に変わったそうです。

次はトマトです。ナポリ人はトマトに世界一こだわりのある人たちです。今回選び出したの葉、エミリア・ロマーニャで栽培されて7~9月に収穫されたミニトマトのパッサータ。の無添加の瓶詰ボローニャで1978年創業の無添加農業のパイオニア、アルチェ・ネロのダッテリーニです。

ボローニャのアルチェ・ネロAlce Nero。


最後にオレガノは、シチリアのエガーディ諸島のマレッティ島のシモンテ農園のもの。


手つかずの自然が残るマレッティ島。

そしてオリーブオイルは、カラブリアの注目の農園、ロベルト・チェラウド農園のオイル。

最初は超シンプルな料理に見えたけど、ピエモンテの牛肉からカラブリアのオリーブオイルまで、イタリアには魅力的な食材が国中にあるんですね。近所の食材を使うだけではなく、国中にアンテナを張り巡らしているシェフは大変そうだけど・・・。
改めて、ナポリ出身のシェフが作る肉のアッラ・ピッツァイオーラ。

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2024年1月11日木曜日

今やナポリピッツァのカリスマになるということは、天才であるだけでなく、時代の先端を走り続けるすごいプレッシャーに押しつぶされない、という強さも併せ持つ人。

ナポリ・ピッツァの話、続けます。
もしあなたがピッツァイオーロを目指していて、ナポリのピッツェリアの息子に生まれたなら、親ガチャ大成功、勝ち組だあ、なんて思うかもしれません。
ところが、生まれた当初はベスビオ山とナポリ湾の間の地区の隙間産業と言われたナポリピッツァは、今や世界中から注目され、莫大な売り上げをもたらすイタリアの国民的食文化になり、世界中に広まっていきました。ナポリのピッツァイオーロは、もはやナポリで生まれたぐらいじゃ、誰も注目しない。次から次へと世界を目指す優れたピッツァイオーロが現れる大激戦の時代になり、カリスマピッッァイオーロも現れては消えてい行く時代になりました。ピッツァイオーロには強烈な個性と時代を導く知性が求められるようになりました。凡人にはかなりハードルが高い。
は、そんなナポリピッツァが世界に花開いていく時期、いわばひと昔前の時代に活躍したピッツァイオーロをパリ在住でナポリ出身の料理研究家が取材した本。
かつては、ミケーレやブランディなどの超有名店に、ナポリ人も外国人も殺到していたのですが、今、一番注目されているのは、カゼルタのフランチェスコ・マルトゥッチです。
遠く離れた日本からは、彼のピッツァのどこが優れているのか、ただ想像をめぐらすことしかできませんが、今月の(CIR)では、彼が発明したピッツァ、“マリナーラの未来”について説明しています。

まずはその前に、ナポリピッツァの基本中の基本、“マリナーラ”。

かつて世界一のピッツァと言われていたミケーレ。

マルゲリータを考案したブランディ。

そして今や時代の寵児となったフランチェスコ・マルトゥッチのマリナーラを、『クチーナ・イタリアーナ』誌は、イタリアの伝統を尊重した新しくて難しいコンビネーションのピツァと形容しています。
このピッツァは100℃で蒸し、180℃で揚げて焼き色をつけ、トッピングをのせて380℃のかまどで焼く、という3種類の温度と調理を用いるそうです。説明されても何のことか理解できない。常に新しい、時代の先頭を行くピッツァのことを考え続けていないと、こういう発想は生まれないでしょう。
それはそれで、きつい人生。

フランチェスコ・マルトゥッチの“マリナーラの未来”。
ナポリのマリナーラはオレガノとにんにく風味だけど、カゼルタのマリナーラはケッパー、オリーブ、アンチョビ風味。かまどに炎はなく、電気オーブンです。
う・・・、おばあちゃんにはついていけないかも。最後にはトラバニのアンチョビの小片をのせて海の風味も一応加えていますが、つっこみどころ満載です。


始めてミケーレに行った若かりし頃を思い出しました。当時はピッツァにはビールと信じられていた時代で、私は観光客丸出しでワインを注文しようとして同行者に信じられない、という目でさえぎられたのでした。今ではいい思い出ですが、ピッツァにはビールといまだに信じられているのでしょうか。
時代が変わる前にマルトゥッチの店、イ・マサニエッリも行ってみたいものです。
ミケーレで行列してた人たちは、蒸して揚げて焼いたピッツァを受け入れるでしょうか。
私も、今時のピッツァを見ると、つくづく時の流れが速すぎると感じます。
この流れのど真ん中で足を踏ん張って立っているカリスマピッツァイオーロたち、ほんとにすごい。


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2024年1月10日水曜日

カゼルタのもう一人のカリスマ・ピッツァイオーロ、フランチェスコ・マルトゥッチは10歳で皿洗いから始めた叩き上げ。でも近頃は、伝統と新しさだけじゃ、世界一にはなれない。

今日はカゼルタのもう一人のカリスマ、ピッツァイオーロ、フランチェスコ・マルトゥッチFrancesco Martucciの話題。



彼のカゼルタのピッツェリアは、ピッツェリア・イ・マサニエッリi Masanielli。彼は10
歳でピッツェリアの皿洗いから始めたと言う叩き上げ。


上の動画は彼が世界一に選ばれた瞬間。
彼がナンバーワンピッツァイオーロに選ばれて以来、ネットには、カゼルタで世界一のピッツァ食べてみたいという好奇心と期待に満ちた人や動画があふれています。
まさに時代の寵児。

デグスタツィオーネメニューもあるんですね。

きのうはナポリピッツァとは、について説明しましたが、地中海の食文化の上にあるピッツァ、ということを忘れずに彼のピッツァをご覧ください。彼のピッツァは、ナポリピッツァであることを超えて、フランチェスコ・マルトゥッチという人物の個性や知性の上になりたっているピッツァです。
人が食べてるところを見てるだけで、よだれが・・・。彼のピッツァは本物だあ。
世界一のピッツァ食べるなら、今じゃ、ナポリじゃなくてカゼルタに行くんだなあ。
世界中から注目されて移り変わりの激しいナポリピッツァの世界ですが、世界の目を彼に引き寄せたピッツァは、伝統を尊重した新しくて難しいピッツァです。伝統的と新しいだけじゃ、今時、世界一にはなれない。ポイントは難しさ。頭良くないと理解できないです。もうすでに、かなりぐったりです。

ナポリはピッツァの中心地だけど、わたしのピッツァはカゼルタのピッツァです、と断言するフランチェスコ。食材もカゼルタ産。さらにフランチェスコのピッツァは軽いのも特徴。ひと昔前は重いピッツァが主流でした。彼のピッツァは胃がもたれることなく、食べた後もよく眠れる。彼はよく眠れるピッツァを作るにはどうすればよいのかを、夜も眠らずに考えたそうです。

難しいピッツァの話、次回に続く。

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2024年1月9日火曜日

カゼルタのカリスマピッツァイオーロ、フランコ・ぺぺ。ナポリピッツァは地中海の食文化に根付いたものなので、寿司のピッツァはよくても神戸ビーフのピッツァはノー。でも、協会のオリジナルな、土地と結びついたピッツァの考え方はすごく柔軟。

新年に入って、最初のブログのお題はカゼルタです。
カンパニアのコムーネですが、ピッツァ好きには注目の街。
カンパニア州の州都はナポリ。サレルノやトッレ・デル・グレコなどの街も美食の街として知られています。
カゼルタはナポリの北東約30kmにあります。ナポリの隣、というか上の県。
カセルタにはナポリ・ピッツァのカリスマ・ピッツァイオーロがいます。
その一人は、フランコ・ペペ。
彼の店は、ナポリではなく、カゼルタのCaiazzoにあります。
ナポリの北40kmで、カゼルタからは10km離れた町。
この町で彼のおじいちゃんが小さな食事も出すパン屋を始めたのは1931年のこと。
その後店は、父、フランコと受け継がれてきました。フランコはこのピッツェリアで50年働きました。
カイアッツォで育った彼は、ルーツはナポリではなくカイアッツォだと言い続けていました。ナポリ以外のピッツェリアがピッツァ・ナポレターナを名乗っている、というのが、昔から世間が彼をいじる時の決まり文句。

ここでピッツァ・ナポレターノの歴史を少し。
そもそもピッツァ・ナポレターナは、生まれた当初は地方の隙間産業でした。
ベーラ・ピッツァ・ナポレターナ協会は、現在創立40周年。
わずか40年ほどで、ベスビオ山とナポリ湾の間の町のシンボルの料理から、世界の大きな一角のシンボルにまで成長しました。
会員のレストランは世界に500軒以上、協会の計算によると、毎日1件の店でピッツァが100枚売れていることになるそうです。
1984年に、本物のナポリ・ピッツァを広めることを目的として、ナポリ・ピッツァの伝統を受け継ぐ17の家族が集まって会のマークを登録し、製品の規定を定めました。最初は会員は66軒でした。会はナポリ・ピッツァの材料、というものを定めています。
00タイプの硬質小麦粉、生イーストか天然酵母、サル・マルツァーノ・デル・アグロ・サルネーゼ・ノチェリーノdopの生トマトなどです。

その一方で、日本人が寿司ピッツァを作ろうとしたら、許されるのだろうか、という例を示して、考え方を表明しています。
協会では、ナポリ・ピッツァは地中海の伝統と結びついた食べ物でなくてはならない、と説明しています。トッピングは自由だが、常に地中海の伝統に根付いたものとされているそうです。シーフードのピッツァはよいが、神戸ビーフのピッツァはノーだそうです。ただ、1軒の店でナポリピッツァだけでなく、オリジナルな、様々な土地と結びついたピッツァを、ピッツァ・デル・ジョルノとして出すことはできるそうです。
考えましたねー。


下の動画で彼は、自分をステップアップさせるために修行に出ても、カイアッツォから離れる気はさらさらなかったと語っています。
そしてローマやミラノの有名店で修業し、グランシェフの料理に触れるにしたがってピッツァに対する情熱を再認識します。故郷に戻った彼は、古い建物で食材を活かす自分の理想のピッツァを造る店を始めました。
フランコ・ペペのピッツェリア、ペペ・イン・グラ二pepe in grani。

ピッツァイオーロにしてはとても冷静な印象の彼は、頭脳派のようです。
彼の店には遠方から客が押し寄せました。
彼のシンプルなピッツァは地元の上質の食材を活かしたものでした。食材はすべて、彼の店のすぐ近くの、友人たちが作ったものを使いました。
彼のピッツァは父親と同じリチェッタで、手作業でドウを作り、ブナの樹のマディアmadia(生地容器)で12時間かけて発酵させるスローなピッツァです。
竈は父親の設計で、高くて口が狭く、温度をコントロールしやすい木のチップで熱します。

フランコ・ペペのピッツァ

ナポリピッツァはシンプルで純粋な食材を使うことに慣れていて、品質を上げることに情熱を燃やす日本のような国では受け入れられていますが、脂肪分が多い料理が好まれるブラジルやドイツのような国では苦戦しているそうです。意外なことに、これらの国ではコピー製品が横行していて、オリジナリティーを感じるのは難しいのだそうです。
ピッツァ・ナポレターナ。

メキシコのピッツァ。なるほど、タコスの国か。


カゼルタのカリスマピッツァイオーロの話、次回に続く。

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2024年1月6日土曜日

カゼルタには心に残るものがある。

今月のグルメ旅は、カンパーニアのカゼルタcasertaです。
(CIR10月号)のこの記事には、“カゼルタには心に残るものがある”というサブタイトルがついていました。

イタリア料理に興味のある人なら、一度は訪れてみたい街、ナポリ。
最初に興味を引くのは、ピッツァかも知れません。
2度、3度とナポリに訪れるうちに、今度は近隣の街にも行ってみたい、と思うようになります。
ナポリの次に訪れたくなるのが、世界最大の王宮があるカゼルタです。
南伊のベルサイユ宮殿とも呼ばれる巨大で壮麗なこの宮殿は、世界遺産で、ナポリからも近く、カオスなナポリと比べると、まるで別世界で、別の世界線にあります。


カゼルタ。

カゼルタの王宮は、ナポリの騒がしさと有り余るエネルギーに疲れ始めた頃に訪れるのにぴったりの場所です。
特に、庭園の一番上にあるディアーナとアクタイオンの噴水は、傑作です。

    おそらく、カンパーニアに観光に訪れる人の多くは、この王宮が目的でしょう。
料理が目的でナポリに訪れる人たちは、この街のピッツァの美味しさの虜になり、モッツァレラの虜になります。やがて、カゼルタがモッツァレラの産地であることを知ります。むしろ、モッッァレラはカゼルタの宝とまで言われていて、王宮に匹敵する名物なのでした。

カゼルタのモッツァレラ。

カゼルタの上質のモッツァレラは、餌は地元の干し草のみで、放牧した水牛のミルクから造られる。

カゼルタがモッツァレラの産地だということを知るころには、かなりナポリ料理の通になっているはず。
そうすると外せないのがピッツァです。
そしてカゼルタにもナポリピッツァのカリスマが複数いることに気が付きます。
そして次回は、王宮よりも、彼らのピッツェリアが目的地になります。

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2024年1月5日金曜日

ラグーのバリエーション。

2024年の(CIR/クチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)は、イタリアの国民的料理、ラグーからスタートしました。ラグーには、ボローニャの挽肉のラグー、ナポリや南イタリアの塊肉をじっくり煮込むラグーの2つのタイプがあります。
ラグーはイタリアの地方料理の一つ。つまり、質素で手に入るものを工夫して美味しい料理にする農民や主婦のアイデアが生み出したソースです。
ボローニャには、ラグーのベースと言えるような、玉ねぎのソース、“フリッジョ―ネfriggione”がありますが、そういえば、ナポリにも、玉ねぎの名物ソースがありました。“ジェノヴェーゼgenovese”です。多分、ジェノヴァ人が作った料理だからこの名前になったという説が有力ですが、はっきりしたことは不明。

ジェノベーゼ。

ボローニャもナポリも、美味しい玉ねぎができる所が近くにあったんですね。
さらにラグーには、牛肉以外を使うものもあります。その場所で身近な手に入れやすい食材を使って地方料理のラグーは造られてきました。肉もその地方で手に入れやすい肉で作ります。

ウンブリア風うさぎ肉のラグーRagù di coniglio。

サルデーニャのサルシッチャのラグー ragù di salsiccia。

子羊肉のラグーRAGU' DI AGNELLO。

もちろん魚のラグーもあります。
白身魚のラグー。


そして最後は猪肉のラグー・ビアンコRAGÙ BIANCO DI CINGHIALE。

(CIR/2020年10月号)の記事ではラグー・ボロニェーゼragù alla bolognese、ラグー・ナポレターノragù napoletano、ラグー・ディ・ペッシェragù di pesce、そしてラグー・ビアンコragù bianco。この4つがイタリアのラグーのベースとして紹介しています(P.27)。

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2024年1月4日木曜日

イタリアの国民的パスタソース、ラグー。でも、ボローニャではスパゲッティにラグーをかけるのは邪道。ナポリでは細長い麺にラグーをかけるのは冒涜。愛が強くてちょっとめんどくさい。

今年の“イタリア料理ほんやく三昧”、再開します。
最初のお題は、(CIR10月号)から、“ラグーragù”です。
ラグーはイタリアの国民的料理の一つ。
ほぼすべての州に個性的なラグーがあります。
特に有名なのはボロニェーゼとナポレターノ。
その語源はフランス語で、小さく刻んだ材料の煮込みを意味するragout。
イタリア語でもラグーragùというけど、スペルが違います。
英語のミートソースと、イタリア語のラグーは、違うもののような印象があります。
イタリアのラグーは、とにかくじっくりことこと煮る家庭料理のご馳走。
そもそも煮込みは硬い肉を食べやすくするための方法。
そこにトマトが加わってラグーになりました。
じっくりコトコト煮たラグーは、おふくろの味の代表的な1品。
その懐かしい味は、間違いがない、伝統料理のトップクラスです。

(CIR10月号の記事P.27)には、ボロニェーゼとナポレターノを含むイタリアを代表する4品のラグーのリチェッタが載っています。

ボローニャの人はスパゲッティにラグーをかけるのは邪道、と言いますが、ボローニャではラグーはタリアテッレにかけるもの。さらにややこしいことに、ナポリでは、細くて長い麺にラグーをかけるのは、冒涜だそうです。じゃ何にかければいいの?となりますが、長い麺は折ってゆでます。代表的なのはマッケローニ、ペンネ、ジーティのような太くて短い硬質小麦粉の乾麺にかけます。
ボローニャの商工会議所には、イタリア料理アカデミーによって公式リチェッタが登録されていますが、食材を現代風にしたリチェッタもあります。
ボローニャ人とラグー。

ラグー・アッラ・ナポレターナ。



イタリア料理アカデミーの本、『スーゴとソース』

この本のエミリア・ロマーニャ州の章には、タリアテッレとラグーについて詳しい考察がされています。それによると、エミリア・ロマーニャは、ポー河沿岸の穀物やワイン造りに適した肥沃な土地と交易に適した交通の要所だけれど、その料理は、あるものを有効利用して作る貧しい料理。とあります。家庭の主婦は前日の残りものを使い、パンをおいしく食べるために工夫して料理を作りだしました。
ラルド、にんにく、玉ねぎ、ポロねぎ、チコーリアなどの野草、少量のミルクとチーズ、豚肉は年に一度、豚を捌いた時だけ手に入り、料理のベースになったのは、地元で栽培している野菜です。玉ねぎが主に使われました。

やっぱりラグー・アッラ・ボロニェーゼを知るにはボローニャを知る必要があります。

ボローニャの市場。

美食の都のイメージがあるボローニャですが、ラグーと並ぶその名物ソースは意外なことに玉ねぎのソース、“フリッジョ―ネfriggione”


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アルゼンチン、ジェノヴァ、ナポリの伝統料理のハイブリッド、フガセタはピッツァとフォカッチャのミックス。

今日の料理は(CIR)の記事、移民の料理から、“フガセタfugazzeta”です。 ブエノス・アイレスとジェノヴァとナポリの伝統料理のハイブリッドだって。 ブエノス・アイレスは、アルゼンチンの首都。アルゼンチンはイタリアから遠いけど、イタリア人は親近感を感じるような国だそうです。...