2021年4月17日土曜日

ベネチアとウイーンの顔を持つ街、トリエステのアサリのリゾット。

今月の地方料理、1つめはフリウリ=ベネチア・ジューリアです。
そして最初の料理はパラチンケ。クレープです。詳しいリチェッタは「総合解説」P.8。

このエキゾチックな名前、なんだか聞き覚え、ありませんか。
パラチンケはフリウリを代表する地方料理。夏になるとよく作られているようで、数回目の登場です。
イタリアを食べ歩き旅行で巡ろうとすると、南北の移動が中心になると思いますが、たまには東西に移動してみるのも新鮮な発見があって面白いかも。

フリウリの州都はトリエステ。
東の端の街です。
この街の魅力は東ヨーロッパの空気。
ベニスとウィーンの間にある街で、イタリアでもここでしか味わえない独特のもの。
アドリア海沿岸なのに南の人懐こい地中海の漁師町とは正反対のクールな雰囲気。
このクールさは、かつてこの街を支配していたハプスブルグ家、つまり中央ヨーロッパ由来のもの。

今月の「総合解説」のフリウリ料理の2品めは、アサリのリゾットですが、そのイタリア語名は“Risotto coi caperozoli”。
caperozoliはスパゲッティ・ボンゴレの話の時に登場した名前です。
覚えてますか?
正確にはcapezzoliです。ベネチアの国産アサリ(vongole veraci)のことでした。
トリエステとベネチアはアドリア海でつながってることを思い出します。
いつもと趣を変えて、今日はスパゲッティじゃなくてアサリのリゾットなんてどうでしょう。ちなみにリチェッタは「総合解説」P.9です。

リゾットもスパゲッティもシンプルな料理なので、アサリと米の質が全て。

ベネチアのリゾットについて、『ハリーズ・バー』の自伝的本には、こう書いてありました。
 
オリエントの国々には米を食べる偉大な伝統がある。蒸した米をシンプルなコントルノとして食べるが、イタリア人の想像力は、米を美食文化のベースとして無限の組み合わせを考えだした。
ハリーズ・バーで使う米は、マントバやクレモナで栽培されるヴィアローネ・ナノ・セミフィーノだ。リゾットやピラフには最適の米。
カルナローリの場合もあるが、これはヴェルチェッリ産で生産量が少なく、手に入れにくい。
レストランで米料理を出すときの最大の問題は待ち時間だ。
空腹の客が待てるのは18分が限度だが、ハリーズ・バーには名物カメリエーレがいた。
トルーマン・カポーティー(『ティファニーで朝食を』の作者)の担当で、みんなが彼に担当されたがる人気者だった。
彼の担当のテーブルに座りたがる客が多かったが、彼はあえてパンも出さないで待たせた。
ヴィアローネ・ナノ↓

アサリのリゾットはビアローネ・ナノで。
ヴィアローネ・ナノ・ベロネーゼはイタリアの米の傑作の一つだそうで。
米の話、次回に続きます。


-------------------------------------------------------
 [creapasso.comへ戻る]
=====================================

0 件のコメント:

生ハムの一番美味しい部位はガンベレットこと端っこ。

生ハムやパルミジャーノを、パルマの食文化の観点で見ると・・・。 食の都パルマのシェフが語るパルマの食文化 これはアルタ・クチーナとしてのパルマ料理ですね。 もう少し庶民的な、パルマの日曜日の家庭のプランゾの場合、スタートは、クラテッロ、パルマの生ハム、コッパ、ストロルギーノなどの...