2020年9月5日土曜日

エミリア・ロマーニャの豚肉料理は、ゲルマンとローマの境目の名残。リチェッタはナポリのブラチョーラ・ディ・コテカ。

今日はエミリア・ロマーニャのセコンド・ピアット。
タリアテッレやラザーニャがエミリア・ロマーニャ料理の女王だとしたら、王様は豚肉です。

総合解説」で紹介したのも豚肉料理(P.15)でした。


イタリアの地方料理の本、『イタリア・イン・クチーナ』には、
ボローニャ大学で中世史を研究する食品学者、マッシモ・モンタナーリ教授によると、ボローニャに豚肉文化を伝えたのは、ゲルマン民族の大移動で知られる、ゲルマン系のランゴバルド人。
ロンバルディアという名前に名残が見られるけれども、やがてイタリア半島に同化して姿を消した民族です。
ゲルマン民族に征服されるまでの地中海の家畜といえば、羊でした。
エミリア・ロマーニャより北に羊が広まらなかったことを考えても、この地方は地中海式食生活の国境地帯になったようです。

イタリアの豚肉料理で最もポピュラーなのはブラチョーレ、つまりポークチョップ。
フライパンで焼くのが一般的だけど、今回の「総合解説」のリチェッタは、a vapore。
水分を加えてオーブンで蒸し焼きにします。

エミリア・ロマーニャ地方の農家では、豚肉料理は日曜日のご馳走でした。

基本のリチェッタ、豚肉のフライパン焼き、ローマ風、Braciola di maiale in padella alla romana

・肉に塩、こしょう、フェンネルシードかローズマリーを散らしてなじませる。
・フライパンに油を熱し、肉の両面をさっと焼く。
・白ワインをかけてアルコール分を飛ばす。

ナポリにもブラチョーレという豚肉料理があるのですが、豚の皮の料理でした。
ブラチョーラ・ディ・コティカbraciola di coteca


ナポリ料理の人気の本、『リチェッテ・ディ・ナポリ』によると、リチェッタは
材料/4人分
豚皮・・4枚
にんにく・・1かけ
イタリアンパセリ
パルミジャーノ
EVオリーブオイル
塩、こしょう

・下ごしらえした豚皮ににんにくとイタリアンパセリのみじん切り、パルミジャーノ、塩、こしょうをのせて巻き、タコ糸で縛る。
・沸騰したトマトソースに入れて弱火で2~2.5時間煮る。
 
素朴で質素な料理だけど、移民したイタリア人にとっては貧しい時代をたくましく生き延びた家族の思い出と重なる特別な料理。

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バッカラはノルウェーとイタリアを結ぶ干物貿易の主役で、この航路は1450年作成の世界地図にも記載されるほど重要でした。

(CIR12月号)によると、ヴィチェンツァでは、この料理はCが1つなんだそうです。普通はバッカラはbaccalàでも、ヴィツェンツァでは、Cがひとつのバカラ。んなばかな、と思ったけど、地元のこの料理の専門家たちは、C一つで呼んでました。会の名前の刺繍もC一つ。リチェッタはP.11...