2020年6月4日木曜日

トマトソースその1は地産地消のサンマルツァーノのトマトソース

夏の畑の王様、トマトは、野菜の中で一番豊かな第2の人生(?)を送っている野菜。
冬の間は、チューブ、缶、ビン、裏ごし、ペースト、ドライ、オイル漬けなど、華麗に姿を変えて、一年中キッチンに君臨しています。
新大陸からイタリアに伝えられたトマトは、ナポリに根を下ろしましたが、
最高のトマトとカンパーニアの人々に愛されたサン・マルツァーノは、ベスビオ山の火山性土壌と、ティレニア海の海風がない場所では育ちにくかったのでした。
しかし、缶詰のトマトの製造が始まると、トマトは南米に移民していくイタリア人と彼らが作るスパゲッティやピッツァと共に里帰りして、南米どころか、世界中に広まります。
そう考えると、トマトの発見と缶詰化は、イタリア料理史上、同じくらい重要な革命的出来事でした。

トマトの缶詰の大量生産が始まる前、主流の保存加工は天日干しでした。
房付トマトを枝につけたまま天日干しにしたり、裏ごしトマトを天日干しにしました。
ピエンノロ・デル・ベスビオ。

裏ごしトマトのコンセルヴァ

こうしてナポリ以外の場所でも美味しいトマトソースを作れる可能性が広まっていきます。

缶詰のトマトと同等の影響力があったのが、スパゲッティとピッツァではないでしょうか。
ところが、トマトの産地からは、次第に離れて行きます。

ここで、トマトソースには3種類ある、いうことのおさらいです。
基本のトマトソース、その1は、一番産地に近い、産地でしか作れないトマトソース。
生トマトの季節に作る、サン・マルツァーノのトマトソースです。
いわば地産地消の料理。
その2は、冬や、産地から離れた場所で作るピエンノロのトマトソース。
機械化が可能にしたソース。
現在世界中で作られているトマトソースです。
そしてその3は、ナポリの市民や農民の暮らしと結びついた、ナポリでなければ生まれなかったトマトソース、スカルパリエッロです。
これは少し説明が必要なソース。

何れにせよ、ナポリから離れても手軽に出るようになったのがトマトソース拡散のきっかけなのは、ナポリにとっては少し皮肉。

サン・マルツァーノのトマトソースのリチェッタは、ナポリ料理の研究家、ルチアーノ・ピニャタロさんの本、『リチェッテ・ディ・ナポリ』から

彼は本の中で、この定番料理のリチェッタをイタリア語の自分のブログで紹介した時は、神学校でアベマリアを教えているような気分だったと、笑いをこらえながら告白しています。
トマトソースは、イタリア人のDNAの中にある料理。
彼のブログはイタリアのナポリ料理のブログの中で一番閲覧者数が多いことで有名なブログです。(こちら)
彼の本も、取材がしっかりされていて、論理的で説得力があり、イタリア中から信頼されています。
きっとイタリア料理のバリバリのプロにトマトソースを教えるなんて、という気持ちだったのでしょう。
そこで彼が紹介したのは、尊敬する料理人に取材した料理でした。
サン・マルツァーノの産地、サルノの食文化を守る活動にも熱心な
ラファエラ・ヴィターレ・シェフのトマトソース。

彼の店はCasa del Nonno 13。
webページはこちら

サン・マルツァーノのスパゲッティSpaghetti al pmodoro San Marzano
材料/2人分
スパゲッティ・・200g
サン・マルツァーノのペラーティ・・500g
にんにく
EVオリーブオイル
バジリコ、塩
・深さのある口が広いフライパンでにんにくを軽くソッフリットにする。
・サン・マルツァーノを加えて中火で6~7分煮て塩をする。
・スパゲッティを硬めのアルデンテにゆでて水気を切り、スーゴに入れて1分マンテカーレする。
・EVオリーブオイルを回しかけてたっぷりのバジリコを加える。




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リチェッテ・ディ・ナポリ
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ジェラートはパンとの相性も良いデセール。シチリアとナポリの人のジェラートの食べ方は、ほんとに自由。

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