2023年8月12日土曜日

フランスから修道女が伝えたオリーブ、タッジャスカ。

フォカッチャのポイントは、その香りにあり、香ばしいあの香りはリグーリア名物のオリーブオイルから生み出されています。リグーリアは北イタリアの中でも最も南にあり、農業が盛んな地方です。

今月の『サーレ・エ・ペペ』にはリグーリアのオイルに関する記事がありました。(CIR)に載せられなかったのですが、それはこんな記事でした。
リグーリアで、オリーブは古代ローマ時代以前から栽培されていました。
栽培の中心はタッジャのベネディクト会でした。10世紀頃にプロバンスからやってきた修道女がジュッジョリーナGiuggiolinaという品種を伝え、これをタッジャスカTaggiascaと名付けました。黒ずんだ、小粒で美味しいオリーブはリグーリアを代表するオリーブとして広まり、オリーブオイル、“Dop Riviera Ligure”が造られました。
中でもフランスとの国境地帯のインぺリア県で造られる“Riviera dei Fiori”はタッジャスカ種のみから作るオイル。タッジャTaggiaやバダルッチョBadaluccioはオイル造りの中心地です。
この地方の伝統的な製法で造られるオイルは、タッジャスカ種100%、デリケートで繊細なオイルで、アーモンドやりんこの風味、かすかな辛味が特徴で地元の魚料理、ドルチェ、ソース(ペースト)などによく合います。

ペーストのラザーニャLASAGNE AL PESTO。

石壁の段々畑で手作業で栽培するタッジャスカ。

タッジャスカのオイル。


ジェノバからラ・スペツィアまでの地方では、リビエラ・ディ・レバンテRiviera del LevanteというDopオイルが造られています。タッジャスカ種の親戚や、地元のマイナーな品種も使われています。

リビエラ・ディ・レバンテ。

この地方の有名な観光地、チンクエ・テッレもオリーブの産地です。

特にその段々畑が有名。
リオマッジョーレのオリーブの収穫。

リオマッジョーレ。




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イタリアの料理月刊誌の日本語解説『(CIRクチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)』
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2023年8月10日木曜日

ジェノバだけじゃないフォカッチャ。

フガッサもじっくり見てみると面白いですね。
『ストリートフード・アッラ・イタリアーナ』

によると、リグーリアには、ヴォルトリからレッコまでのたった40㎞の間に、3種類の違うフォカッチャが存在しているのは有名な話。
ヴォルトリのフォカッチャはプリアノ兄弟のパン屋の名物。とうもろこしの粉を散らした小さなパーラーに生地をのせて240℃で15分ほど焼く、かりっとしたフォカッチャ。

レッコのフォカッチャは、EUが認めたIGP製品。軟質小麦粉のイーストがいらない生地。

ジェノバのフォカッチャ。

フォカッチャ・プリエーゼ、バレーゼ。じゃがいも入り生地。


ナポリのピッツァ。

ナポリのトマト。


ピッツァ・ナポレターナにはナポリのトマトが欠かせないように、ジェノバのフォカッチャにはリグーリアのオリーブオイルが欠かせない。




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2023年8月9日水曜日

フォカッチャ・ジェノベーゼの前身、フガッサ・ビアンカ。

調べれば調べるほど、ジェノバのフォカッチャは、ジェノバのものが一番おいしい、という結論に・・・。
ローマ・ピッツァのカリスマ、ガブリエレ・ボンチのイタリア各地のピッツァの本、『ピッツァ・ヒーロー』には、こんなことが書いてありました。
「私にとってリグーリアの海岸の女王はフォカッチャfocaccia、いやむしろ水のしぶきとオイル少々、塩の粒数粒を散らしたフガッサ・ビアンカfügassa Biancaだ。これこそがリグーリアの本物のフォカッチャだ。食べる時は、舌の上で最初の一口から塩とオイルというリグーリアのポエムを感じられるように、必ず「裏返してtesta in giù」食べる。(つまり塩とオイルがある面を上にする)
ピッツァとフォカッチャの違いは、フォカッチャは生地を天板に伸ばした後、すぐに焼かずに再び発酵させるのでピッツァより厚い。厚さは2㎝以内で表面の色は砂糖があるので茶色。

一説によると、本物のfügassaとは指に油少々をつけて底に油を塗った粘土の“テスタtesta“に入れてcotta nel focolare”囲炉裏で焼いたものだそうだ。
フォカッチャのことを敢えてフガッサと呼ぶ人は、今では少数派のよう。


“bigaビーガ”、またはポーリッシュpoolishと呼ぶ液種法で作ります。

fügassa genovese/フガッサ・ジェノベーゼ

材料/9人分の天板1枚分
《ビーガ》
00番のw300~320の小麦粉・・95g
水・・43ml
生イースト・・1.1g

・ボールに30℃の水 43mlを入れてイーストを溶かす。
・00番の強い小麦粉95gを少しずつ加える。
・ざっと混ざったら台に移してこね、滑らかで均質の生地にする。
・ボールに入れてラップで覆い、さらに布で覆って室温(約20℃)で12時間発酵させる。

《ビーガ》
・ニーダーのボールに30℃の水210ml(95%)と生イースト11gを入れて溶く。溶けたらドライモルト8gを加える。ビーガを加えてこねる。00番の小麦粉360gを少しずつ加える。塩9gを加える。残りの水20ml(5%)を加えてこねやすくする。ニーダーのスピードをやや速くし、EVオリーブオイル22mlを少しずつ加える。
。滑らかで均質の生地になったら打ち粉をした台に取って指先で軽く長方形に伸ばし、1回目の三つ折りにする。
・生地を90度回転させ、再び平らにして3つ折りにする。
・折り目を下にして裏返し、ラップで覆って30分休ませる。
・35×43㎝の天板に油を引き、底と側面に塗り広げる。
・生地のラップをはがし、打ち粉をして麺棒で天板の大きさに合わせて伸ばす。
・生地を麺棒に巻き付けて天板に敷き込む。天板一杯に広げてラップで覆う。
・さらに覆いをして発酵させる。
《サラモイア》
水・・150ml
EVオリーブオイル・・38ml
塩・・8g

・30℃の水150mlと塩8gを混ぜてサラモイアにする。
・天板の生地を1時間発酵させたら穴をあける前に軽く小麦粉を散らす。
・両手の中央3本の指の第一関節まで刺して生地にくっついた深い穴をたくさんあける。
・全部の穴に入るようにサラモイアをかける。
・EVオリーブオイル38mlを均一にかけて1時間発酵させる。
・230℃のコンベクションオーブンで21分焼いて表面をきつね色にする。
・焼き上がったら熱いうちにEVオリーブオイルをぬっぶり塗る。

きのう知ったフォカッチャの香りはフォカッチャの具の一つ、ということからしても、EVオリーブオイルが大切な材料。
次回はリグーリアのオリーブオイルの話。

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2023年8月8日火曜日

ジェノバのフォカッチャ職人は、フォカッチャはパンではない、と言う。その意味が分かればフォカッチャの秘密が分かるかも。


さてそろそろ(CIR6月号)のリチェッタの話を始めましょうか。
1品めは、フォカッチャ・コロラータです(P.2)。
前菜やアペリティーボの定番、フォカッチャですが、これはフォカッチャに鮮やかな色をつけて同じ色のトッピングをのせるというアレンジ。

ジェノヴァのフォカッチャ。
ジェノヴァに行ってフォカッチャを食べない人はいないと思いますが、私のフォカッチャ・ジェノべーゼとの最初の出会いは、ホテルの朝食でした。

一口かじっただけで、ん?なんだこの香ばしさは。カリカリサクサクじゃないですか、これが有名なフォカッチャ・ジェノベーゼか、知ってるフォカッチャと全然違うとびっくりしたものです。ホテルでは、朝食のビュッフェに出すフォカッチャは、小さくカットしてトーストして温かいものを出していました。
その日は早朝からホテルを出発して、通勤の人で混雑する駅まで歩きました。その間に、それまでは全然気が付かなかったのに、フォカッチャ屋さんが、通りのあちこちにあって、どこも大繁盛していることに気が付きました
どうやらジェノバ中の人がフォカッチャを買いに店にやってきているようです。
よく言われることですが、ジェノバのフォカッチャは、朝食であり、スナックであり、ランチ、軽食であり、アペリティーボですが、動画のパン屋さんは、薄いスライスを1枚食べれば満足できて何も具が必要ないフォカッチャは、パンではない、と言っています。
うーん、深い・・・。フォカッチャの香ばしさは、具に匹敵するかも。
フォカッチャの食べ方まであるなんて。リポーターが噛り付いたら、向きが反対だと注意されてました。つまり焼いた麺を上にして、香ばしい面が最初に舌に触れるように噛り付くのが一番おいしい食べ方なんだそうです。
こんなすごいこだわりがあったなんて、何にも知らずにジェノバで食べてました。
もったいなかったなあ。


『リグーリアの発酵生地』

という本もありました。
フォカッチャをジェノバで買うのは特別な体験。下の動画の職人さんも食べ方を教えてますねー。



ジェノバのフォカッチャ。



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2023年8月7日月曜日

バジリカータのシンボル、ペペローニ・クルスキの編み棒のフジッリ。

映画『ゴッドファーザー』の、フランシス・フォード・コッポラ監督が、実はシチリア出身じゃなくて、イタリア人も“無名”と呼んじゃうマイナーなバジリカータ出身だった、という事実を知った次は、バジリカータのスペチャリタの話です(CIR/P.21)。

バジリカータのスペチャリタ。

知られていない地方だけに、本物の純粋な食材の宝庫です。

中でも代表的なのは、ペペロー二・クルスキ。

食物を保存する時、北イタリアでは、塩漬けという方法と、木を使った燻製という方法が利用されました。いずれも身近に安価で手に入るものを使う工夫です。
アルト・アディジェのスペックはスモークする生ハム。

スペック。

そして南イタリアで身近で安価なものと言えば、太陽です。
干す、という方法が用いられました。

バジリカータでは、肉ではなく、ピーマンを干しました。細長くて黒ずんだ赤色をしたペペローネ・ディ・セニーゼという品種です。甘くて水分が少なく、干すのに最適の品種。

ペペローニ・セニーゼの生産者。

このペペローニ・セニーゼを干して揚げたものがペペローニ・クルスキ。




ペペローニ・セニーゼの産地、セニーゼ。



こんなのどかな地方で生まれて、どうやってあんな『ゴッドファーザー』なんて映画を思いつくのでしょうか。


上の動画はペペローニ・クルスキのパスタの超シンプル版。
基本は(CIR)P.23のフジッリと同じ。パンのクラムをほぐして炒めて加えます。ペペローニ・クルスキはヘタと種を取って使います。パスタは生麺が合います。

フジッリ・アル・フェッレットFusilli al ferretto。編み棒のフジッリ。


やっぱり、バジリカータが舞台だったら、あの映画は生まれなかったなあ。




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2023年8月5日土曜日

バジリカータの有名観光地、マテーラは、一大ブームを迎えて生活が急速にスマートになりました。無名の地方都市からの脱却を果たした街の今後、気になります。

『La Cucina Italiana』の地方の食文化の連載記事、《ベル・パエーゼ》が、5月号で終了となりました。
最後に取り上げられたのは、イタリアの中でもかなりマイナーな地、バジリカータです。
バジリカータをイタリアの編集者たちは、どう紹介しているのでしょうか。
なかなかユニークな紹介の仕方でした。
まず最初に、映画『ゴッドファーザー』で知られるフランシス・フォード・コッポラ監督は、バジリカータのベルナルダという小さな村の出身だ、と、いきなりマニアックなネタを振り込んできました。
イタリアでは、世界的に強い影響を与えた映画監督はとても尊敬されていて、リミニ出身のフェリーニ監督などが知られていますが、コッポラ監督がバジリカータの出身とは、知りませんでした。

フェリーニ監督の出身地のリミニにはフェリーニ博物館があります。

街を挙げてのフェリーニ推し。

代表作の一つ、『甘い生活』

コッポラ監督はの代表作はもちろん『ゴッドファーザー』

バジリカータからアメリカに渡って、アカデミー賞受賞監督になり、アメリカンドリームを実現させたバジリカータのヒーロー、コッポラ監督。



監督は、故郷にゴージャスなバカンス用の5つ星ホテルを持ってます。いろんなサイドビジネスも考えていたようですが、バジリカータでコッポラ監督を超えて国際的な知名度を獲得したものがもう一つありました。

故郷の村、ベナルダについて語るコッポラ監督。

出身地に錦を飾った監督としては、ベナルダをメジャーな場所にしたかったようですが、バジリカータには、ベナルダを超えてもっと有名になった場所があります。
それはマテーラです。

マテーラは映画『007』のノータイム・トゥーダイのロケ地で、しかも世界遺産。ライバルにするには強敵すぎたかも。


歴史と南イタリアの自然と時間がのどかに流れるマテーラの町は、私が訪れた時は、観光地としてのブームになり出したころでした。そこら中が改装中で、洞口住居という悲惨な歴史があった割には活気に満ちていました。建築資材用の巨大な砂の山を野良猫が夢中になって掘っていた光景は、今も瞼に焼き付いています。半地下のようなおしゃれなレストランでは、とてもハイセンスな料理を出していました。ニャンコもワンコも人もみんな素朴で、まだ観光地として擦れていない、純情な街でした。
その後、マテーラは観光地として大ブームになったそうです。料理人やパン屋からも、国際的に活躍する人たちが巣立っていきました。ほんの数年でマテーラのライフスタイルは急激にスマートになり、その影響は周辺にも及んでいるそうです。
バジリカータの話、次回に続きます。


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2023年8月4日金曜日

スイスチャードのトルタ・サラータ、エルバッツォーネ。野草の料理と呼ぶにはオシャレすぎる。山から平地の田んぼに出稼ぎに行った娘たちが現物支給された米と山の野草で作った料理。

(CIR6月号)は発送しましたが、到着まで場所によっては時間がかかるので、今日は5月号のリチェッタで気になっていたものの話。
まずは、“ベル・パエーゼ”の記事から、エミリア・ロマーニャ州の料理、“スカルパッツォーネScarpazzoneP.25”>
ランブルスコの記事で紹介した料理“エルバッツォーネErbazzoneP.46”によく似た料理です。
どちらもエミリア・ロマーニャ地方の料理。スイスチャード(ビエトラ)かほうれん草の詰め物のトルタ・サラータです。

によると、イタリアのスイスチャードの旬の6月末と11月初めに作る料理だそうです。昔はスイスチャードの白い茎の部分を方言で(ビエトラの靴)スカルパscarpaと呼んでいたそうで、なのでスカルパッツォーネという名前になったそうです。
スカルパッツォーネ。

あのぶっとい麺棒は、トルタの生地を作る時も使うんですね。
この料理の特徴は牛乳で煮たお米が入ること。
この料理は、ポー河流域の田んぼに出稼ぎに行った山の娘たちが現物支給の米を持って山に帰り、その地のビエトラなどを使って作った料理なのだそうです。

エルバッツォーネ。


ビエトラのミネラル感とパンチェッタとラードの軽い脂がランブルスコによく合う料理です。
エルバッツォーネとスカルパッツォーネ、似てるけど背景は全然違う料理。
エミリア地方のお薦め本は、『ブルーノ・バルビエリ/ビア・エミリア』



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サーモンのベルガモットマリネ入りのミカンのリゾット。柑橘果実の活かし方をよく知っているのが南イタリア。

みかんのリゾットの話。まずは米の“ヴィアローネ・ナノ”について見てきましたが、次はみかんです。 みかんは今回はbergamottoと指定されています。 ベルガモットはミカン属の柑橘類。柑橘類を使うリゾットは各種ありますが、ミカンのリゾットは見たことなかったです。それにちょっと食べ...