2012年1月17日火曜日

麺棒で切るパスタと編み棒でねじるパスタ

プーリアのパスタの話の続きです。

今日のパスタ、まず最初はトロッコリtroccoli。

プーリア版のキタッラです。

troccoli pugliesi
カットしたてのトロッコリ。


troccoli pugliesi
麺棒型のカッター、“トロッコラトゥーロtroccolaturo”で切ります。


↓トロッコリ作り





キタッラと同じく硬質小麦粉の素朴なパスタで、重めのソースと組み合わせます。

アブルッツォの伝統パスタ、キタッラを作る時に使う“キタッラ”は、ステンレスの糸が発明された後に生まれた、比較的新しいもの。
トロッコリのカット方法は、もう少し素朴ですね。

でも、パスタ作りの道具には、麺棒型カッターよりもっと素朴なものがあります。
たいていの主婦なら持っているものが、その原型。

編み棒です。

編み棒は、イタリア語では“フェッロ・ダ・カルツァferro da calza”。
そして、編み棒を使ったパスタは、“マッケローニ・アル・フェッロmaccheroni al ferro”などと呼ばれます。

細長い棒が1本あれば、複雑な形のパスタができます。
地方によって名称は様々。

↓短いマカロニタイプ





↓長いシチリアの“ブシアーティbusiati”




↓カンパーニアの“フジッリfusilli”
これぞ熟練の技!





そしてプーリアでは、“フェネッシェッキエfenescecchie”と呼びます。
残念ながら写真はなし。



↓ちなみに、形はよく似ているけれど、棒ではなく手でねじるのは、ロマーニャ地方のストロッツァプレーティ。






職人技が素晴らしい!

切るパスタ、ねじるパスタ、ひっかくパスタ、巻くパスタ・・・。
手打ちパスタって、楽しいですねえ。



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関連誌;『ガンベロ・ロッソ』2009年6月号
“プーリアの伝統食材”の記事の解説は、「総合解説」'08&'09年6月号に載っています。

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2012年1月12日木曜日

プーリアのパスタ;サーニェ・ンカンヌラーテ

プーリアのパスタ話、その2です。

今日のパスタの名前は、イタリア語を見ると???でも、カタカナにすると意外と読める。

Sagne 'ncannulate。

サーニェ・ンカンヌラーテ。

↓ラザーニャ状の麺を細くカットして巻き、長い巻き毛のようにしたパスタです。





ゆでるとこんな感じ

サレント地方の硬質小麦粉のパスタ。

サーニェとは、ラザーニェのこと。
イタリア語のラザーニェは、オーブン焼きにするお馴染みの板状のものから、タリアテッレよりやや幅広のものまで、さまざまなサイズの平たい麺の総称です。
板状、縁を波打たせたもの(パッパルデッレ)、全体をカールさせたもの、ひし形のものといったバリエーションがあります。


Pappardelle
平らなタイプと縁が波打っているタイプの両方があるパッパルデッレ。


ラザーニェはタリアテッレよりやや厚いのが特徴です。
そのため、ソースはスパゲッティなどより重めのものと組み合わせることができます。
さらに、オーブン焼きやスープなど、長時間や高温で調理する料理にも向いています。

ラザーニェは地方によって様々な名前で呼ばれます。
北イタリアの“ラザーニャ”は軟質小麦粉と卵の生地ですが、南イタリアの“サーニェ”は、主に硬質小麦粉と水で作る硬い生地です。


Sagne ceci e gamberetti, con riflesso! ;-)
ひよこ豆と小エビのサーニェ


sagne all'amatriciana
サーニェのアマトリチャーナ


前回紹介したトリーエもサーニェの一種です。
ラガーネlaganesと呼ぶこともあります。
細かく言うと、このラガーネの語源は、ラガナトゥーロlaganarueoと呼ばれる麺を伸ばす細い棒。
要は、平たい麺ならタリアテッレ以外はたいていラザーニェ、ということですね。

そしてこのサーニェをカールさせたのが、サーニェ・ンカンヌラーテ。
別名、サーニェ・トルテsagne torte。
ンカンヌラーテもトルテも、「糸をよる」という意味です。

こうしてカールさせるとより細くなると同時にソースが絡みやすくなって、他のサーニェよりフォークで食べやすくなります。

トマトソースのサーニェ・ンカンヌラーテ


プーリアのパスタの話、次回に続きます。




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関連誌;『ガンベロ・ロッソ』2009年6月号
“プーリアの伝統食材”の記事の解説は、「総合解説」'08&'09年6月号に載っています。

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2012年1月10日火曜日

プーリアのパスタ;オレッキエッテ、カヴァテッリ、トリーエ

今日はパスタの話。
『ガンベロ・ロッソ』の解説です。

サルデーニャのパスタの次は、プーリアのパスタ。


プーリアのパスタと言えば、まずはオレッキエッテorecchiette。


Mani sapienti
ナイフで1個ずつひっかいて・・・。


IMG_1154
出来上がったら軒先で乾燥。


IMG_1148
パスタを干す台。



硬質小麦粉と水をこねた生地を、小さな耳(オレッキエ)の形にしたこのパスタ。
粒状に切った生地を手前に引きずりながらひっかくことによって、お椀のような形になるだけでなく、生地の表面がざらざらになって、一層ソースがからみやすくなります。


オレッキエッテがいつ、どうやって誕生したのかは不明。
でも、説は色々あります。

比較的有名なのは、なんとフランスがルーツ、という説。

プロヴァンス地方で中世から作られていた硬質小麦粉のパスタがルーツで、プロヴァンス伯のアンジュー家がプーリアを支配していた時代に伝わった、というもの。

なんでもこのパスタは厚い円形で、中央を指で押してくぼませた形をしていました。
乾燥して保存食にするのに適していたため、遠くまで持ち運べたのだとか。

このほかに、バーリのユダヤ人の間で作られていたユダヤのお菓子、「ハマンの耳」がルーツという説や、古代ローマの粉と水とチーズをこねたlixulaeという生地が元祖、という説などがあります。


↓チーメ・ディ・ラーパのオレッキエッテ






カヴァテッリcavatelliもオレッキエッテ同様、ひっかいて作るパスタ。
語源は、掘る、溝を掘る、といった意味の“カヴァーレcavare”。
プーリアだけでなく、南イタリア各地にあって、長さは様々。


cavatelli
オレッキエッテよりもっと強くカールさせます。
指ではなくナイフでひっかくプーリアの小さなカヴァテッリは、小粒の白いんげんにそっくり。

ムール貝と白いんげんのカヴァテッリ


↓カヴァテッリ作り






オレッキエッテとカヴァテッリの他に比較的知られているのは、硬質小麦粉の生地の、幅広タリアテッレの一種、トリーエtrie。

こちらの語源はアラビア語のitrija。
itrijaは、粉をこねた生地を平麺状にし、軽く揚げて乾燥させて保存や持ち運びできるようにしたもの。
シチリアに伝わった乾燥パスタのルーツと言われているものですね。
普通は細い麺を意味するのですが、なぜかプーリアでは、幅広麺にこの名前が受け継がれました。

トリーエを使った料理は、サレント地方の伝統料理で、ひよこ豆(チェーチ)と組み合わせた“チーチェリ・エ・トリーアciceri e tria”が有名。
チェーチ・エ・トリーアじゃないとろがポイント(笑)


↓チーチェリ・エ・トリーアの特徴は、パスタの一部を軽く揚げてからひよこ豆のスープに加えること。





麺を油で揚げるというのは珍しいですよねえ。

まだまだ個性的なパスタがありますよ~。
プーリアのパスタの話、次回に続きます。



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関連誌;『ガンベロ・ロッソ』2009年6月号
“プーリアの伝統食材”の記事の解説は、「総合解説」'08&'09年6月号に載っています。

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2012年1月5日木曜日

カポダンノのチェノーネ

明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。


Prima alba del 2012 da Punta Palacia, Otranto
アドリア海に面したオトラント(プーリア)の2012年の初日の出。


Prima alba del 2012 da Punta Palacia, Otranto
新年の朝日に染まるオトラントの岬。



↓ヴェローナの年越しカウントダウン





↓ナポリの新年の花火。





地上はこんな状態
対空砲火か!

近所の人はたまりませんねえ。
実際、大都市では新年の爆竹を禁止にするところが増えているとか。


↓こんな格好でも2012年新年の映像。
ブリンディジで行われた募金活動のための寒中水泳。





↓テーラモ(アブルッツォ)の街頭インタビュー。
「新年にはどんな料理を作りますか?」



定番はレンズ豆とザンポーネ。
でもその他は見事にばらばら。
立派なディナーを作る人、旦那さんが作る人、お母さんがつくる人、友達の家に食べに行く人、レストランに行く人・・・。


12月31日の夜にレンズ豆を食べて、新年の繁栄を祝うのがイタリアの伝統。
ぶっちゃけ、儲かりますようにと願掛けするわけですね。

Cotechino e lenticchie
レンズ豆とコテキーノ


レンズ豆のよく知られているうんちく。
レンズ豆はレンズに似ているからそう呼ばれるようになったのではなく、レンズのほうがレンズ豆に似ていたからそう呼ばれるようになりました。
レンズ豆は有史以前から栽培されている古い豆で、古代ギリシャやローマではおなじみの食材。
ラテン語でレンズ豆という意味の“レンスlens”がレンズの語源。

おまけですが、イタリア語で“レンズ”は、レンティッキエではなく、レンテlente。


今年が良い一年になって、皆さんの商売が繁盛しますように!


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2011年12月29日木曜日

サルデーニャのパスタ;ロリギッタス

サルデーニャのパスタの話の続きです。

パスタの形は想像力次第で無限に広がるもの。

オリスターノ県モルゴンジョーリという村の伝統パスタ、ロリギッタスlorighittasは、硬質小麦粉と水の麺を細長く伸ばし、指に巻きつけてリング状にし、さらにねじる、という手間暇かけたパスタ。
地元の人でも1kg作るのに4~5時間かかるそうです。
これをさらに数日乾燥させます。

伝統的には11月1日の諸聖人の日に食べるパスタですが、クリスマスや新年の料理にもピッタリです。

サルデーニャの言葉でリングという意味の“ロリガloriga”が語源。


こんな形


↓ロリギッタス作り





↓地鶏のトマト煮のロリギッタス





↓ヤリイカ、アサリ、ズッキーニ、ボッタルガのロリギッタス





ブオン・アッペティート!

というわけで、2011年はサルデーニャのパスタでしめくくり。
今年も一年、ありがとうございました。
また来年も、よろしくお願いします!



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関連誌;『ガンベロ・ロッソ』2009年6月号
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2011年12月26日月曜日

サルデーニャのパスタ、フレーグラ、etc.

サルデーニャのパスタの話の続きです。

サルデーニャで、マッロレッドゥスの次に有名なのは、フレーグラfregula(またはフレーゴラfregola)あたりでしょうか。

uncooked
フレーグラ

フレーグラは硬質小麦粉に水(卵やサフランを加える場合もあります)を吸わせながら掌で混ぜて小さな粒状にし、仕上げにトーストしたもの。
その形からクスクスの一種とも言われますが、クスクスよりは大粒です。

フレーグラの語源は、ラテン語で「こする」という意味の“フリカーレfricare”だと考えられています。
この言葉、魚が産卵の時に、砂利に腹をこすり付けながら卵を産む姿も意味します。
つまり、そうやって産み落とされる魚の卵と、粉と水をこすり合わせながら作られるパスタの粒がそっくりで、こう呼ばれるようになったというわけです。


↓フレーグラ作り





サルデーニャには、個性的なパスタがまだまだたくさんあります。


↓アンダリノス。
成形してから数日乾燥させます。





次の動画には、フレーグラ、詰め物入りパスタのマッカロッネスmaccarrones、鳩の形のカオンバザcaombasa(復活祭の時期に、子供たちのために作られるパスタ)などが登場。
いずれも芸術的に美しいものばかり。





『ガンベロ・ロッソ』で紹介している本、『Sardegna. Le paste della tradizione』では、この他にもまだまだ美しいパスタが紹介されています。


こんな内容の本です。




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2011年12月22日木曜日

ひっかくパスタ、パスタ・ストラッシナータ

マッロレッドゥスの話の続きです。

マッロレッドゥスは、通称“ニョッケッティ・サルディgnocchetti sardi”。
サルデーニャの小さなニョッキ、という意味ですね。

ニョッキと言えば、ゆでて潰したじゃがいもと軟質小麦粉をこねた生地の、“ニョッキ・ディ・パターテgnocchi di patate”が一般的。

Gnocchi, una domenica mattina
じゃがいものニョッキ



ニョッキの語源は、くるみや結び目のような小さくてころんとしたものを意味するランゴパルド族の言葉、knohh、という説が有力です。

ニョッキとは、粉をこねて小さな団子状にしてゆでた物のこと。
じゃがいもがヨーロッパに伝わったのは18世紀半ば以降で、それ以前のニョッキは、穀物の粉と水だけをこねた生地でした。
もっとも原始的なパスタの一つです。

じゃがいもが伝わって、粉(主に小麦粉)の生地にじゃがいもが加わるようになると、ニョッキはそれまでよりずっと軽く、食べやすくなり、やがてこちらのほうが主流になりました。

でも、サルデーニャのニョッキことマッロレッドゥスには、じゃがいもは入りません。
硬質小麦粉と水をこねた生地です。

軟質小麦の産地である北イタリアにはじゃがいもと軟質小麦粉のニョッキが広まって、硬質小麦の産地の南イタリアでは硬質小麦粉と水のニョッキが広まったというわけですね。


Malloreddus
マッロレッドゥス


サルデーニャのマッロレッドゥスは乾麺として全国的に流通しているので、ニョッケッティ・サルディという標準語の名前も広まりました。

でも、硬質小麦粉と水をこねた生地を小さな粒状にしてくぼませたパスタは、南イタリア各地にあります。
特にプーリアは、この種のパスタの宝庫。

たとえば、カヴァテッリcavatelli。

cavatelli
カヴァテッリ


マッロレッドゥスもカヴァテッリも、硬質小麦粉と水の生地を棒状に伸ばして短く切るところまではまったく一緒。
違いは、その後カールさせる時に、筋をつけるかつけないかぐらいです。


マッロレッドゥスやカヴァテッリは、“パスタ・ストラッシナータpasta strascinata”と呼ばれるパスタです。
ストラッシナータとは、引きずるというような意味。
つまり、指やナイフでひっかいてくぼませるパスタのことです。
よく知られているのはオレッキエッテ。


↓カヴァテッリ





このタイプのパスタは南イタリア各地にあって、カヴァティェッリcavatielliやカヴァティエッダcavatieddaなど、呼び方も様々です。

↓シチリアやカラブリアでは、ナイフではなく指でひっかくのが一般的だったりもします。





↓そしてマッロレッドゥス。
日曜や祝日はサフラン入りの生地にします。






↓おまけの動画。
マッロレッドゥスメーカー。





サルデーニャのパスタの話、次回に続きます。



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関連誌;『ガンベロ・ロッソ』2009年6月号
“サルデーニャのパスタ”の解説は、「総合解説」'08&'09年6月号に載っています。

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プーリアの名物食材を使った人気店のリチェッタ。

人気のトラットリアでイタリア各州を巡るグルメ旅、再開します。 今日の店は、リストランテ・チブス。あっ、またトラットリアじゃなくてリストランテでした。なぜこの店が選ばれたかと言うと、プーリアで一番人気のオーナーシェフ、Lillino Silibelloの店だからです。奥様のアンジェ...