今日はパスタの話。
『ガンベロ・ロッソ』の解説です。
サルデーニャのパスタの次は、プーリアのパスタ。
プーリアのパスタと言えば、まずはオレッキエッテorecchiette。
ナイフで1個ずつひっかいて・・・。
出来上がったら軒先で乾燥。
パスタを干す台。
硬質小麦粉と水をこねた生地を、小さな耳(オレッキエ)の形にしたこのパスタ。
粒状に切った生地を手前に引きずりながらひっかくことによって、お椀のような形になるだけでなく、生地の表面がざらざらになって、一層ソースがからみやすくなります。
オレッキエッテがいつ、どうやって誕生したのかは不明。
でも、説は色々あります。
比較的有名なのは、なんとフランスがルーツ、という説。
プロヴァンス地方で中世から作られていた硬質小麦粉のパスタがルーツで、プロヴァンス伯のアンジュー家がプーリアを支配していた時代に伝わった、というもの。
なんでもこのパスタは厚い円形で、中央を指で押してくぼませた形をしていました。
乾燥して保存食にするのに適していたため、遠くまで持ち運べたのだとか。
このほかに、バーリのユダヤ人の間で作られていたユダヤのお菓子、「ハマンの耳」がルーツという説や、古代ローマの粉と水とチーズをこねたlixulaeという生地が元祖、という説などがあります。
↓チーメ・ディ・ラーパのオレッキエッテ
カヴァテッリcavatelliもオレッキエッテ同様、ひっかいて作るパスタ。
語源は、掘る、溝を掘る、といった意味の“カヴァーレcavare”。
プーリアだけでなく、南イタリア各地にあって、長さは様々。
オレッキエッテよりもっと強くカールさせます。
指ではなくナイフでひっかくプーリアの小さなカヴァテッリは、小粒の白いんげんにそっくり。
ムール貝と白いんげんのカヴァテッリ
↓カヴァテッリ作り
オレッキエッテとカヴァテッリの他に比較的知られているのは、硬質小麦粉の生地の、幅広タリアテッレの一種、トリーエtrie。
こちらの語源はアラビア語のitrija。
itrijaは、粉をこねた生地を平麺状にし、軽く揚げて乾燥させて保存や持ち運びできるようにしたもの。
シチリアに伝わった乾燥パスタのルーツと言われているものですね。
普通は細い麺を意味するのですが、なぜかプーリアでは、幅広麺にこの名前が受け継がれました。
トリーエを使った料理は、サレント地方の伝統料理で、ひよこ豆(チェーチ)と組み合わせた“チーチェリ・エ・トリーアciceri e tria”が有名。
チェーチ・エ・トリーアじゃないとろがポイント(笑)
↓チーチェリ・エ・トリーアの特徴は、パスタの一部を軽く揚げてからひよこ豆のスープに加えること。
麺を油で揚げるというのは珍しいですよねえ。
まだまだ個性的なパスタがありますよ~。
プーリアのパスタの話、次回に続きます。
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関連誌;『ガンベロ・ロッソ』2009年6月号
“プーリアの伝統食材”の記事の解説は、「総合解説」'08&'09年6月号に載っています。
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