今日はサルデーニャ料理の話。
『サーレ・エ・ペペ』の解説です。
サルデーニャ料理に、イセエビのカタルーニャ風aragosta alla catalana、というのがあります。
カタルーニャは、バルセロナがある州の名前です。
念のためですが、バルセロナはスペインの町。
サルデーニャなのに、カタルーニャ風?
スペイン料理ってこと?
そう思いますよねえ。
でも、れっきとしたサルデーニャの名物料理です。
イタリアは、あちこちの国に入れ代わり立ち代わり支配されてきました。
サルデーニャの場合は、ジェノヴァ共和国とピサ共和国という、同じイタリアの海洋国家にまで支配されるという悲しい属国属性。
サルデーニャのピサに支配されていた地域を奪ったのが、スペインのアラゴン王国のハイメ2世(イタリア名はジャコモ)です。
これにより、1324年、彼は初代サルデーニャ王となりました。
ちなみにこの人、その前はシチリア王でした。
その後、1710年代までスペインの支配が続きます。
サルデーニャの歴史の中で、カタルーニャがどこに出てくるかというと、スペイン支配の最初の頃。
アラゴン王国というのは、アラゴンの女王とカタルーニャ君主が結婚してできたアラゴン連合王国のことで、ハメイ2世は、正確にはカタルーニャ系のバルセロナ家の一員でした。
スペイン王国は、1469年に、このアラゴンの王様とカスティーリャの女王が結婚して誕生します。
だから、スペイン王国誕生前のスペイン支配時代は、サルデーニャでは“カタラーノ-アラゴネーゼ時代”と呼ばれます。
このカタラーノというのが、カタルーニャのこと。
サルデーニャの中で、カタルーニャの名残をもっとも強くとどめているのは、サッサリ県のアルゲーロ。
リトル・バルセロナとも呼ばれています。
いまだに、住民の約22%がアルゲーロ訛りのカタルーニャ語を話しています。
↓アルゲーロに残るカタルーニャの名残を紹介する動画。
確かに、イタリア語のアクセントがなんとなくスペイン風。
そしてこのアルゲーロは、有名なイセエビの産地。
アルゲーロ産イセエビは世界一美味しいという人もいます。
アルゲーロのイセエビを世界的に有名にしたのが、町で一番有名なレストラン、ラ・レパントLa Lepantoのシェフ、モレーノ・チェッキーニ氏です。
ラ・レパントは1949年に開業し、60年代以降のアルゲーロの国際的な観光地化のシンボルになりました。
そしてその看板メニューが、イセエビのカタルーニャ風でした。
町の発展に大いに貢献したチェッキーニ氏は、市民から尊敬される名士でしたが、残念ながら、2009年に72歳で亡くなっています。
亡くなったことを知らせる記事
↓アルゲーロのイセエビを紹介する動画。
右の男性がモレーノ・チェッキーニ氏。
イセエビのカタルーニャ風には、いくつものバリエーションがあります。
でも、オリジナルとか、元祖と言われるのは、チェッキーノ氏が考案したリチェッタです。
そのリチェッタは次回に。
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関連誌;『サーレ・エ・ペペ』2008年7月号
“ムール貝のカタルーニャ風”のリチェッタは、「総合解説」'08&'09年7月号に載っています。
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2012年1月20日金曜日
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