2026年4月10日金曜日

ダヴィデ・オルダーニとカルロ・クラッコのバーニャ・カウダ。

ピエモンテのソース、バーニャ・カウダの話をしています。北イタリアは多くのグランシェフを輩出しています。そしてグランシェフたちは自らの本でこの料理のことを解説しています。
例えば、マルケージチルドレンの一人でミラノ出身のダヴィデ・オルダーニシェフは、代表的なイタリア料理を集めたイタリア料理の入門書のような本、『メイド・イン・イタリー』でこう書いています。

ピエモンテ人はアンチョビを大量に消費する。アンチョビはサヴォーナとアルバを結ぶ塩の道を通ってピエモンテの中心まで伝わった。クーネオの山の上まで魚が伝わったきっかけとなったのは、トレント公会議だ。このキリスト教会の最高会議では、宗教改革で乱れたキリスト教をテコ入れするために厳格な掟が確認された。その一つが、キリストの苦難をしのび、金曜日には肉食を断つ、という教え。肉を食べないで、代わりに魚を食べたのです。山の上でも食べることができる魚の代表は、ノルウェーのバッカラとスペインやボルドガルの塩漬けアンチョビ。

彼のバーニャ・カウダのリチェッタは、
材料/塩漬けアンチョビ200g、EVオリーブオイル200ml、バター70g、にんにく5かけ、牛乳300ml、生クリーム大さじ3、白ワイン。

・にんにくを薄く切って牛乳に1時間浸す。アンチョビを塩抜きして白ワインに浸す。テラコッタの浅鍋に水気を切ったにんにくを入れてオリーブオイルで覆い、弱火でにんにくに色がつかないように煮る。沸騰しだしたらかき混ぜながら10分煮て煮崩し、混ぜながらバターを加えて弱火で10分煮る。生クリームを加えて混ぜる。
・一人用の火にかける陶器の浅鍋“フイオfuiòt”に入れる。トレーに小さく切ったすべての野菜、ポレンタ、炒り卵用の卵を添えて並べる。

ダビデ・オルダーニはバリラのアドバイザー。

ミラノ出身のもう一人のグランシェフ、カルロ・クラッコは、バー二ャ・カウダについて、イタリアの地方料理の本、『クアルクーノ・ピア―チェ・クラッコ
の中で、こう書いています。
バーニャカウダは丈夫な胃袋を持つ人のための料理だ。ベースはにんにく、生クリームとアンチョビ少々。ピエモンテではにんにくをよく使うが、このソースはピエモンテの伝統的な定番ソースだ。バーニャ・カウダは場所によってリチェッタが多少違う。現在では見つけるのが難しいクルミ油を使うこともあった。彼にとってとても印象深いバーニャ・カウダは、モンテカルロで一緒に働き、母親がトリノ出身のシェフが作ったものだ。軽くても風味が強い彼のバーニャカウダを知って、このソースが大好きになった。そしてそのリチェッタを本で紹介している。オマールとトピナンブールのバーニャ・カウダという、ピエモンテとはあまり縁のないオマールが入るリチェッタ。

材料/
にんにく10かけ、生クリームたっぷり大さ10、約80g、アンチョビ4枚くろみ油(またはEVオリーブオイル)小さじ2、粗塩2㎏、塩、EVオリーブオイル

《ソース》
・にんにくの芯を取って鍋に入れた生クリームに入れ、半分に煮詰める。火を止めてミキサーで攪拌し、ヴェッルタータ状にする。火を止めてアンチョビを加えて溶かし、EVオリーブオイルを少しずつ加える。
岩塩にのせて焼いたトピナンブールとオマールオリーブオイルで煮たオマールの胴とはさみをバーニャカウダに添えてサーブする。

さて、(CIR)のリチェッタは、EVオリーブオイル200gを軽く熱してオイル漬けアンチョビ10枚を溶かす。半分に切ったにんにく4かけを加えて3~4分熱し、火から下してハンディーミキサーで攪拌する、というもの。
にんにくを減らして(伝統的なものは1玉使う)軽くしたコンテンポラリーなリチェッタ。

バーニャ・カウダについての話は野菜の話が中心。シェフの中には食文化に詳しい人はやたら詳しくてびっくりしますが、食材に詳しい人は話が無限に広がるんですね。

さて、『スーゴとサルサ

から、ソースの動物性脂肪の話に戻ります。バターの次は豚の脂身です。ラルド(背脂)とラードは、長い間貧しい料理の象徴でした。現在ではあまり使われなくなり、動物性脂肪は植物性脂肪に置き換わっています。でも、ラルドのバットゥートを加えたミネストローネの美味しさは、柔らかくてアロマが濃くて特別なもの。

バーニャ・カウダ祭りのバーニャカウダ作り。

ピエモンテで普及している植物性油はオリーブオイル。ヴァッレ・ダオスタでもわずかな地域でオリーブを栽培していて、管理組合もできた。オリーブの栽培が難しい北の地でオリ―ブの代わりになったのがくるみ油。ピエモンテでは特産のヘーゼルナッツからも油を取った。いずれにせよ、植物性油はかなりの高級品。
ピエモンテでソースの材料と言えば、バターとチーズが思い浮かぶが、ワインもこの地にたっぷりある特産品。ビネガーもあった。魚で作るバーニャ・カウダは北にあるピエモンテの地形を考えると異色のソースだが、フメットも魚から作るソースのベース

フメット・ディ・ペッシェ。

フメットの話は次回。


動画は日本語の字幕付きでご覧ください。

この話は(CIR)2023年10月号のリチェッタ《コンテンポラリーな地方料理》の解説です。日本語のリチェッタと写真はP.2~。

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(CIR)は『クチーナ・イタリアーナ』という地方料理の本としては最高の雑誌のリチェッタと記事を日本語に翻訳した約50ページの小冊子です。毎月日本語に翻訳している力作です。イタリア発の地方料理の情報は、昔の有名書籍が売り切れて入手困難になっている昨今ではとても貴重です。
価格は1冊\900(税・送料込)、1年12冊の定期購読だと15%引きの\9200(税・送料込)になります。紙版と、ネット上にupするPDF版があります。PDF版の価格は\800/号、定期購読は\7700/1年12冊です。

現在、2023年の号を販売中です。それ以前の号と、旧総合解説はシステムの変更のため販売を終了しました。
現在販売中の定期購読は2023年版。
1冊のみの注文もできます。
古い雑誌や本は在庫を探しますのでご相談ください。
本以外のお問い合わせもお気軽にどうぞ。

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週末はクレアパッソのお薦め本の紹介。
スッド・グランデ・クチーナ(南伊・山・海)』
《new》イタリア料理アカデミーの本、『スーゴとサルサ
《new》ブランカ―トのシチリア料理のミニシリーズ、『ルスティケリーア』『伝統料理』、『パスティッチェリーア』、『魚料理』

【地方料理、シリーズ】
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ダヴィデ・オルダーニとカルロ・クラッコのバーニャ・カウダ。

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