2022年6月4日土曜日

マルコ・ポーロがオリエントに運んで絹と交換されたラクイラのサフラン。

今日はサフランの話です。
私がサフランに初めて出会ったのは、たぶんインド料理ですが、初めて知った食材としてのサフランはイタリア製でした。
なので、私の中ではサフランと言えばイタリア産です。
だからヨーロッパではサフランはスペイン産が有名、と聞くと、ちょっと意外でした。
スペインではラ・マンチャ地方がサフランの産地として有名。
サフランと言えば黄色ですが、その花は青紫色で、満開になるとサフランの畑はとても美しく染まります。

ラ・マンチャのサフラン。

イタリアでサフランと言えば、アブルッツォ、トスカーナ、ウンブリア、サルデーニャ産あたりが有名。今月の(CIRP.13)にもあるように、イタリアの人は、イタリア産サフランは世界一、と考えているようです。
サフランはクロッカスの雌しべで、小アジア原産。アラブ人によってスペインに伝えられ、10世紀末にはヨーロッパ全体に広まりました。
ただ、雨の多い北部には普及しなかったようです。
サフランの語源はアラビア語の“ザーファラン”。その語源はペルシャ語の“サハファラン”。その語源は“アスファル”、「黄色」ということだそうです。
昔は染料として化粧品などに使われていましたが、現在の主要な使い方は料理です。

中世のトスカーナでは、サン・ジミニャーノがサフラン栽培の中心地でした。「塔の街」と呼ばれるサン・ジミニャーノではサフランの商売で「塔や館が高くなる」、と言われました。

世界遺産の街、サン・ジミニャーノ。


サン・ジミニャーノのサフラン。

同じころ、アブルッツォのラクイラもサフランの生産が盛んになりました。アブルッツォのサフランはマルコ・ポーロによってオリエントに運ばれ、最高級品、という評価を獲得して絹などの貴重品と交換されました。
高級品だったので、偽物を造ると火あぶりや生き埋めの刑になったことが記録に残っているそうです。

ラクイラでは、2009年にマグニチュード6.3の地震が発生して多くの被害が出ました。

ダイヤより高価だったサフランの話、次回に続きます。


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イタリアの料理月刊誌の日本語解説『(CIRクチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)
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