2011年1月7日金曜日

ビスコッティ・ディ・プラート

今日はプラートの話。
『ラ・クチーナ・イタリアーナ』の記事の解説です。

プラートは、フィレンツェのやや北西にあるトスカーナの町。

戦後、繊維産業が盛んになってイタリア南部から人が移り住み、さらに90年代以降は中国からの移民が増えて、現在はトスカーナの中ではフィレンツェに次いで2番目に人口の多い町です。


料理の分野で有名なのは、ビスコッティ・ディ・プラート。

Biscotti di Prato
Biscotti di Prato


Cantucci & Vin Santo
ヴィンサントと




素朴なアーモンドビスケット、ビスコッティ・ディ・プラートは、カントゥッチとかカントゥッチーニとも呼ばれます。
一体どうして2つの名前が使われているんですかねえ。

そもそもこのビスコッティ、18世紀に書かれたある文書がそのルーツにあるようです。
それはアマディオ・バルダンツィという人物によって書かれたもので、ジェノヴェーゼという名前のビスコッティの作り方が書かれているそうです。
現在はプラートの国立古文書館に保管されています。

こちらのサイトによると、19世紀に、アントニオ・マッテイというパスティッチェーレが、このリチェッタで作ったビスコッティを店で売りだしたのだそうです。
最初はカントゥッチという名前で売っていました。
ただし、こちらのサイトによると、当時の一般的なカントゥッチは、アーモンドは入らないアニス風味のビスコッティのことだったようです。

このアーモンド入りのカントゥッチは、次第にビスコッティ・ディ・プラートと呼ばれるようになりました。
やがてこの呼び方のほうが一般的になり、マッテイでも、今ではビスコッティ・ディ・プラートという名前で売っています。
ただ、店の看板には今でも「カントゥッチ製造所」と書かれています。

店の正面
店のwebページはこちら
マッテイのビスコッティは青い包み紙が目印。


ビスコッティ・ディ・プラートは、マッテイの専売特許ではないので、プラートにはこのドルチェを作る店が他にもたくさんあります。
『ラ・クチーナ・イタリアーナ』によると、70軒以上あるのだそうです。
当然、リチェッタも様々。

記事でも紹介されている店、フォルノ・ステーノには、卵白を加えずに卵黄だけで作ったもの、チョコレート入り、ラム酒とココア入り、干しいちじく入り、カスタニャッチョ味、具なしなど、何種類もあります。
webページはこちら


一方、元祖のビスコッティ・ディ・プラートは、バターなどの油脂は入りません。
昔のリチェッタで作っているマッテイのビスコッティの材料は、小麦粉、卵、砂糖、アーモンド、松の実。
アーモンドは皮つき。


プラートの話、次回に続きます。


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関連誌;『ラ・クチーナ・イタリアーナ』2007年10月号
“プラート”の記事の解説は「総合解説」'07&'08年10月号に載っています。

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4 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

今年も楽しい話し読ませてください!
数年前にイタリア人の友人に連れられてANTONIO MATTEIに行って来ました。MATTEIのbiscotti di pratoは素朴で美味しかったですよ。
ナポリの郷土菓子にも、似た物で“ROCCOCO”と言う物がありますが、繋がりがあるのかないのか以前からの疑問です。
ROCCOCOも“bis”“cotti”ですので硬くて閉口した記憶があります。

prezzemolo さんのコメント...

petrusinoさん
今年もよろしくお願いします!
roccocoですか。メモメモ。
今度ナポリに行ったら食べてみないと。
カントゥッチの類のあの硬さは、ワインに浸すのにピッタリですよねえ。
一時、カントゥッチをスプマンテに浸して食べるのがマイブームで、二日酔いになったことがあります(汗)

梯子 さんのコメント...

Roccoco'というナポリの有名な名物はクリスマス期間のビスケットみたいなものですが。

多分クリスマス期間でないとちょっと見つかりにくいと思いますけどナポリの中心のパスティッチェリア(ケーキ屋さん)へ行ってみるとあるかも知れません。

私はナポリっ子なのでよく食べました!
ナポリの情報を知りたい方はどうぞ
メールください。
massimodematteo@yahoo.co.jp

prezzemolo さんのコメント...

梯子さん
コメントありがとうございます。
クリスマス時期限定ですか(メモメモ)。
そういう珍しいお菓子は、見つけたらうれしさ倍増です!
ナポリのパスティッチェリーア巡りの楽しみが増えました~。

バッカラはノルウェーとイタリアを結ぶ干物貿易の主役で、この航路は1450年作成の世界地図にも記載されるほど重要でした。

(CIR12月号)によると、ヴィチェンツァでは、この料理はCが1つなんだそうです。普通はバッカラはbaccalàでも、ヴィツェンツァでは、Cがひとつのバカラ。んなばかな、と思ったけど、地元のこの料理の専門家たちは、C一つで呼んでました。会の名前の刺繍もC一つ。リチェッタはP.11...