今日はパスタの話。
『ラ・クチーナ・イタリアーナ』の記事の解説です。
今回取り上げるのは、カンポフィローネのマッケロンチーニ。
イタリア語では、Maccheroncini di Campofilone(マッケロンチーニ・ディ・カンポフィローネ)。
カンポフィローネは、マルケ州の町。
アンコーナとペスカーラの中間の、標高202mの海を見下ろす丘にあります。
人口は約2,000人。
カンポフィローネのマッケロンチーニはこの町だけで作られている長い歴史のあるパスタで、1998年にマルケ州の公式伝統食材に認定されています。
毎年夏に行われるカンポフィローネのマッケロンチーニ祭りには、3日間で15,000人が訪れるそうです。
マッケロンチーニという名前からはマカロニを想像しがちですが、カンポフィローネのマッケロンチーニはロングパスタ。
こんなパスタ。
極細のロング麺で、濃い黄色が特徴。
トマトソースで和えるとこんな一品に。
こちらはポルチーニとスペックのソース。
麺の黄色は、卵をたっぷり使うことによって出る色です。
小麦粉100gにつき卵1個の配合で、水は加えません。
こちらによると、そもこのパスタは、卵を有効利用するために考え出された、という説があるのだそうです。
今でこそ鶏は年中卵を産みますが、品種改良される前は、そうはいきませんでした。
繁殖期には余るほどあって、そうでない時期はほとんどない。
余った卵を保存することはできないだろうか。
うーん・・・。
これは多分、世界中の主婦を悩ませた問題でしょう。
各地で様々な解決方法が生み出されたと思いますが、カンポフィローネの主婦が思いついたのは・・・。
卵をたっぷり使ったパスタを作って、それを乾燥させて保存すればいい!
イタリアならではですねえ。
でも、それならラザーニャでもタリアテッレでもいいのでは?
なぜに極細麺?
カンポフィローネの主婦も、最初はラザーニャやタリアテッレあたりで試してみたのでしょう。
ところが、麺を干してみると乾くにつれて縮れてきて、割れやすいことこの上ない。
これではイメージしたパスタとは違う!
ところが、試しに麺を細く細く切ってみると、あーら不思議、干しても崩れにくいではないですか。
ゆでても、ソースと和えても崩れない。
これだあ!
と言う訳で、この製法がカンポフィローネ中に広まっていったのでした。
ただし、例によってこれはあくまでも言い伝えの一つ。
15世紀に修道院で作られていた記録があるとか、16世紀のトレント公会議の記録に残されているとか、18、19世紀の貴族の絵に描かれているから貴族の料理だ、というのがその他の主な説。
いずれにせよ、20世紀になって地元のレストランなどでも出すようになり、地元以外にも知られるようになっていったようです。
1931年版のツーリング・クラブ・イタリアーノのガイドブックには、カンポフィローネのマッケロンチーニが紹介されているそうです。
今も手作業で作られるカンポフィローネのマッケロンチーニ。
麺を伸ばして巻き、
細くカット。
伸ばすとこんな状態。
下の動画は、カンポフィローネのマッケロンチーニをクラッチャ(クラテッロの一種)とラディッキオのカラメッラートで和えた一品。
ラディッキオは細切りにして水とブラウンシュガーで炒めてカラメッラーレ。
クラッチャをオリーブオイルでさっと炒め、1分ゆでたパスタとラディッキオを加えてなじませます。
Video Rai.TV - La prova del cuoco - Maccheroncini di campofilone con ragù di culaccia e radicchio caramellato
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関連誌;『ラ・クチーナ・イタリアーナ』2007年10月号
カンポフィローネのマッケロンチーニを使ったリチェッタは、「総合解説」'07&'08年10月号に載っています。
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