2011年1月13日木曜日

アルケルメス

前回の“ペスケ・ディ・プラート”は、ブリオッシュ生地にアルケルメスをしみ込ませたトスカーナのドルチェでした。
そこで今日のお題は、アルケルメスです。


アルケルメスは、スポンジ生地などを美しいバラ色に染める赤いリキュール。
リキュールとはいっても、もっぱらお菓子の着色料として使われています。

深紅という表現がぴったりの、この色合い


Torta con cioccolato, anacardi, alchermes e crema
ケーキの中の鮮やかな赤い色は強烈なインパクト。


ただ、この赤があまりにも強く、甘みも強いので、最近の洗練されたドルチェには滅多に使われなくなってしまいました。

この赤い色が、カイガラムシの一種、エンジムシから作った着色剤に由来するというのは有名な話。
こちらによると、アルケルメスという名前は、アラビア語でこの染料で染めた深紅色を意味する“al-qirmiz”(アルキルミツ?)が語源だそうです。
リキュールにこの着色剤を使う製法は、こちらによると、アラブ経由でスペインからイタリアに伝わったようです。


アルケルメスは、メディチ家の時代のフィレンツェで、大ブレークしました。
サンタ・マリア・ノヴェッラ薬局のものが元祖とされていますよね。
ここは、フィレンツェにやってきた観光客が必ず訪れる人気スポットでもあります。
薬局といっても、ハリー・ポッターの映画にでも出てきそうな、歴史を感じさせる店。


フィレンツェのサンタ・マリア・ノヴェッラ薬局。







この薬局については、こちらに詳しく書いてあります。
日本にも、北海道から九州まで、あちこちに店があるようですね。

店のwebページによると、1866年に教会の財産が国に没収された際、薬局の経営権は世俗の一族、正確には最後の薬局長の甥に移ったのだそうです。

サンタ・マリア・ノヴェッラ薬局のwebページはこちら


長年アルケルメスは日本には輸入できないリキュールでしたが、今はネットでも売っているようですね。
ミステリーさと希少価値感が少し薄まったかも・・・。



-------------------------------------------------------

[creapasso.comへ戻る]

=====================================

2 件のコメント:

pepe犬 さんのコメント...

サンタ・マリア・ノヴェッラ薬局の動画を見てフィレンツェに行きたい!と思いました~!(笑)
ローマの支店には寄ってきたのですがこじんまりとしたショップでした。
アルメニア紙(1箱=11ユーロ)を買ってきたのですが、その箱は真っ赤でした。
これはアルケルメスの赤をイメージしたものなのかな~?と思ってしまいました。

prezzemolo さんのコメント...

pepe犬さん
フィレンツェ、いい所ですよねえ。
ミケランジェロのダビデ像のお尻は、一生に一度は見ておかないと(笑)。
イタリアで一番おいしいTボーンステーキ、“ビステッカ・アッラ・フィオレンティーナ”もあるしね。
アルメニア紙、どんな香りなのかなあ。
さすがpepe犬さん、素敵なお土産ですね!
そう言えば、3年前ローマの教会で買ったアマーロ、もったいなくてまだ飲んでません。

よもぎはドイツ語ではベアムート。かっこよくてお餅につける名前じゃないよね。トリノでパティシエが白ワインとよもぎから作りだしたのがベルモット。

今日のお題は、メイド・イン・イタリーの食材です。(CIR2022年1月号P.37の記事) その食材は、ベルモット。ピエモンテ州トリノで誕生したフレーバード・ワインです。 白ワインにスパイスとハーブを加えて香りをつけたもの。 ところで、ベルモットはドイツ語の“ヨモギWermut”が...