今日はモンデギーリの話。
『サーレ・エ・ペペ』の記事の解説です。
モンデギーリmondeghili。
あまりイタリア語らしくないですが、イタリア料理の名前です。
正確にはミラノ料理です。
もっと細かく言うと、アラビア語の“ミートボール”がスペインに伝わってスペインなまりになり、それがさらにミラノに伝わってミラノなまりになった結果、この、イタリア人でも変に感じるモンデギーリという名前になった、という次第です。
こちらによると、最初はアラビア語の“al-bunduc”(アル・ブンドゥク?)という名前からスタートします。
これがスペインに伝わって“albondiga”(アルボンディガ?)になり、スペインからミラノに伝わってまず“albondeguito”(アルボンデグイート)になり、それが次第に“albondeghito”(アルボンデギート)になり、そして最後は“mondeghilo”(モンデギーロ)になったのだそうです。
まるで伝言ゲームですねえ。
スペイン語が由来の料理は南イタリアにはよくありますが、北の料理とは意外ですよね。
実はミラノは、16世紀半ばから18世紀初めまでの約170年間、スペインの支配下にあったんですねえ。
本当にイタリアと言う国は、地方ごとに複雑な歴史があります。
モンデギーリは名前はエキゾチックでも、実はミートボールのこと。
イタリアの他の地方では、ポルペッテpolpetteと呼ぶ料理のことですね。
2008年にはミラノ市公認のご当地料理、デノミナツィオーネ・コムナーレDenominazione Comunaleに認定されています。
元々は、ボッリートの残りを有効利用するために考え出された料理。
いわばミラノのB級グルメってやつでしょうか。
モンデギーリ作りの動画。
料理は2:15頃始まります。
後半はモンデギーリの名前の由来の話。
ボール形ではなく、ちょっと平らにするところがポイント。
ちなみに、こちらのサイトで紹介されている伝統的なリチェッタは・・・
・牛肉のボッリートの残りを挽いたもの300g
・卵1個
・ロゼッタ1個のクラムを牛乳に浸して絞り、裏漉ししたもの
・プレッツェーモロのみじん切り
・レモンの皮のすりおろし
・塩
をこねてくるみ大に丸め、やや平らにしてから小麦粉をつけてバターで揚げます。
一番シンプルなバージョンですね。
他に、パン粉をつけて揚げたり、チーズ入り、モルタデッラやじゃがいも入りなどのバリエーションがあります。
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関連誌;『サーレ・エ・ペペ』2007年10月号
“モンデギーリ”のリチェッタは、「総合解説」'07&'08年10月号、「ボッリートのバリエーション」に載っています。
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2011年1月20日木曜日
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