今日はフィーコディインディアの話。
『ヴィエ・デル・グスト』の記事の解説です。
フィーコディインディア, photo by bruno capilli
日本人なら、この写真を見て「ちょい不気味」とは思っても、「おいしそ~」とは思わないですよねえ。
でも、一度でもフィーコディインディアを食べたことのある人なら、「まだ食べるのには早いかな」、なんて思ってしまうんですよね。
フィーコディインディアは、ウチワサボテンの実。
ウチワサボテン, photo by diluvi.com Anna i Adria
イタリア語ではfico d'india、またはficodindia。
発音は、正確には“フィーコディンディア”。
“インドのいちじく”という意味です。
でも、ウチワサボテンはメキシコが原産地。
15世紀末にメキシコからヨーロッパに伝わりました。
当時の人は、コロンブスが発見した中米のことをインドだと思い込んでいたために、インドのいちじく、という名前がついた、と言われています。
勘違いからついた名前だったんですね。
ウチワサボテンは、イタリアの中でもシチリアの気候に驚くほどよくなじみ、放っておいてもどんどん繁殖しました。
そして18世紀以降、シチリアのあらゆる場所に広まっていきます。
現在のシチリアは、メキシコに次ぐフィーコディインディアの生産地です。
フィーコディインディアは、除草剤や化学肥料を必要としないので、「安全な食品」としても知られています。
でも、その表面は目に見えないほど細い無数の棘で覆われているので、素人が素手で触ると、ある意味、「危険」です。
実は私、こんな体験してます。
シチリアのスーパーで、フィーコディインディアが山積みで売られているのを見て、よーし、食べたことないから買ってみるか、と思ったわけですよ。
で、よく見ると、真っ赤のやら、オレンジのやら、黄色やら、ものによって色が違います。
そこで思わず手に取って、どれがおいしそうかなあ、とじっくり選び始めてしまったんですねー。
合計10個ぐらい触ったかなあ。
その時はなんともなかったのですが、しばらくして、手のひら中がチクチクしてきました。
よーく見ると、極細で短い白い棘が、あちこちに無数に刺さってるじゃあーりませんか。
この棘、小さすぎてつまむことができないから、抜けないんですよー!
その後数日間、ずーっと手のひらがチクチクしてました。
ちょっとしたトラウマです。
棘まみれになりながらその時選んだフィーコディインディアは、おいしそうな真っ赤な色をしたものでした。
ところが、後で知ったのですが、フィーコディインディアは、赤いから熟しているという訳ではないのです。
『ヴィエ・デル・グスト』の記事にもあるように、フィーコディインディアには、赤い“サングイーニャ”、黄色い“スルファリーナ”、白い“ムスカレッダ”の3種類があります。
イタリア人でもウチワサボテンになじみのない北部の人は、赤い実の方がおいしそうと思うらしく、北では赤い実がよく売れるんだそうです。
でも、一番流通量が多くて、味もよい、とされているのは、実は、黄色いスルファリーナなんですねー。
赤ははっきりした味で、白はデリケートな味。
プーリアのおじいちゃんがフィーコディインディアを食べてます。
みんな素手で触ってますねえ。
年季が違う!
フィーコディインディアの話、次回に続く~。
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関連誌;『ヴィエ・デル・グスト』2007年8月号(クレアパッソで販売中)
“フィーコディインディア・デッラ・エトナ”の記事は、「総合解説」'06&'07年8月号、P.36に載っています。
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2008年9月22日月曜日
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2 件のコメント:
シチリアのおいちゃんじゃありませんが、素手でさわってもなんともありませんでした。あそこの皮だけじゃなくて、手の皮も厚い?
しかしこんなもんレストランで出すものじゃないと思っていたら、出している店ありましたよ。びっくり
くるりさん
きっと私の手の皮が、デリケートすぎるんざます。
私も『ディープ・ブルー』で有名になったタオルミーナの高級ホテルのピュッフェで、丸ごと1個、食べましたよー。種がなければ食べやすいんけどね。
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