2008年9月10日水曜日

マルケのブロデット

ロッシーニペーザロブロデットマルケのブロデット、という流れで進んできました。
今日は、マルケを代表する4つのブロデットのリチェッタ編です。

ブロデットは、漁の最中に傷んだ魚や、市場で需要のない魚を使って、漁師が船の上で作っていた料理がルーツ。
作る人の数だけバリエーションはありますが、マルケのブロデット・アカデミー協会は、マルケには大きく分けて4種類のブロデットがある、と言っています。

伝統的なブロデットの基本は、アドリア海の新鮮な魚を使うこと。
でも、同じマルケでも、漁場が砂地か岩場かなど地理的な違いによって、生息する魚が違います。
さらに、オリーブオイル、トマト、ビネガーなど、加えるものが、土地によって違ってきます。


協会が紹介する4種類のブロデットとは、
ファーノ風、アンコーナ風、ポルト・レカナーティ風、サン・ベネデット風。


上から、ファーノ、アンコーナ、ポルト・レカナーティ、サン・ベネデット

どれも漁業の伝統のある町です。
そのリチェッタは・・・
原文と写真はこちら→www.todine.net/accademiadelbrodetto


ファーノ風ブロデット Brodetto alla Fanese

トマトペーストとビネガーを加えるのが特徴。
この地域では、酢のようになったワインを水で薄めて飲む習慣があったので、おそらくその名残。

・魚はシャコ、スカンビ、カニなどの甲殻類、コウイカ、ヤリイカ、カサゴ、アンコウ、ヒメジ、エイ、ホシザメ、マトウダ、シタビラメなど。これらを同じ大きさに切る。
・玉ねぎをオリーブオイルとトマトペースト少々でソッフリットにし、魚、水、ビネガー、塩、こしょうを加える。
・魚の身が骨から簡単にはがれるようになるまで煮る(15~30分)。
・パーネ・トスカーノなど塩気のないパンを添える。
・数時間置いてから食べてもよい。



アンコーナ風ブロデット Brodetto all'Anconitana

・13種類の魚を入れると言われている。メルルーサ、ホシザメ、エイ、コウイカ、タコ、カサゴ、ヒメジ、サバ、ボラ、マトウダイ、ホウボウ、ヒラメ、アンコウ、シャコ、ムール貝、アサリ、ヤリイカ、スカンピなど。
・陶器の鍋に玉ねぎとにんにくのみじん切りを入れてオリーブオイルでソッフリットにし、ビネガー1/2カップ、プレッツェーモロのみじん切り、トマトソースを加える。
・魚を硬いものから入れて煮る。



ポルト・レカナーティ風ブロデット Brodetto di Porto Recanati

・玉ねぎの薄切りをたっぷりのオリーブオイルでソッフリットにし、小さく切ったコウイカを入れて弱火でなじませる。
・魚のブロード、サフラン、塩、こしょうを加えて弱火で煮る。
・魚各種に小麦粉をつけ、別の大鍋に硬いものから入れる。イカも入れる。
・イカの煮汁を全部かけ、湯と白ワイン同量ずつ、塩、こしょうを加えて15~18分煮る。この間はかき混ぜない。必要なら魚を崩さないように時々鍋をゆする。
・トーストしたパンを皿に敷き、その上に魚を盛り付けて煮汁をかける。
・ピアット・ウニコとしてサービスする。ワインは白だけでなく、若い赤やフレッシュなロゼも合う。



サン・ベネデット風ブロデット Brodetto di San Benedetto

・玉ねぎと唐辛子1片をオリーブオイルでソッフリットにし、コウイカ、ヤリイカ、白ワインを入れる。
・粗く切ったグリーントマト、緑のピーマン、赤ピーマンを加える。
・ホシザメ、アンコウ、カサゴ、エイ、ホウボウ、シャコなどを加え、蓋をせずに弱火で煮る。
・煮上がる数分前にビネガーを加える。
・トーストしたパンを添える。




pesce di scoglio al mercato del pesce di mola di bari
バーリの市場の岩場の魚あれこれ, photo by tazebao


triglie
こちらはシチリアの市場の魚あれこれ。ヒメジしか分からない・・・, photo by Giovanni


pescheria
ホウボウ, photo by Astrid Walter


Porto di San Benedetto del Tronto
サン・ベネデットの港, photo by Peter Forster


San Benedetto  Harbour entrence fisher boats coming in
サン・ベネデットの港に入る漁船, photo by Peter Forster


Arcobaleni
ポルト・レカナーティの海にかかった虹, photo by Tizi



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関連誌;『ラ・クチーナ・イタリアーナ』2006年8月号(クレアパッソで販売中)
“ペーザロ;ロッシーニの生まれ故郷”の日本語訳は、「総合解説」'06&'07年8月号、P.2に載っています。
ちなみに、同じ月の『サーレ&ペペ』にはアブルッツォ風ブロデットのリチェッタが載っています。日本語訳は「総合解説」'06&'07年8月号、P.7にあります。


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4 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

今年も逃してしまいました、ブロデットの聖地。しかもサンベネデットは行ってるんですが・・・。まあ、また次の宿題に残しておこう(笑)

prezzemolo さんのコメント...

くるりさん
サン・ベネデット、海がきれいなところみたいですねえ。ブロデット、私もいつの日かまた食べた~い。待ってろよー。

匿名 さんのコメント...

プレッツェーモロさんのおかげで、ランパッショーニもカメルレンゴもブッラータも無事味わえました。ありがとうございました。
ブロデットのかたきじゃないけど、ズッパ・ディ・ペッシェは2度ほど味わえましたし。ヴォンゴレ・ヴェラーチは生で食べましたが、管も確認しましよ(笑)
そうそう、トレ・モンティですが、シュークリームではなくて、パンケーキみたいなものでした。本当のトレモンティを見ながら味わったので最高でした。やっぱり、海もいいけど、山もいい。

prezzemolo さんのコメント...

くるりさん
おー、ブッラータ、食べましたか。ランパッショーニもカメルレンゴもヴォンゴレ・ヴェラーチェの管もトレモンティも!!
素晴らしい~。
rとlの発音が日本人にはチョー難しいguardiagrele(やっぱり一回じゃ言えない)、行ったんですね。
充実した旅でしたねー。
ユーロも安くなって、いい時に行ったなあ。

ジェラートはパンとの相性も良いデセール。シチリアとナポリの人のジェラートの食べ方は、ほんとに自由。

今日は、(CIR)7月号のリチェッタから、ジェラートの話(P.12)。 リチェッタのテーマは、シンプルにコーンやカップに入れるジェラートではなく、クロスタータやボンボローニ、はてはフォカッチャにのせるジェラート。 ジェラートのデセールの最高峰はトルタ・ジェラート。 パン・ジェラー...