2022年7月22日金曜日

サルデーニャのパーネ・グッティアウはオイルをたらす、という意味の、シチリアのパーネ・クンツァートよりもっとシンプルなパンの食べ方。

このところの日持ちがする乾いたパンや、堅くなった残り物のパンの話をするたびに、なんだか、最近こんなパンの話をしたばかり、という気が強くなっていました。
実は、(CIR8月号)で、そんな料理のリチェッタを訳したばかりでした(P.2)。
それはサルデーニャの究極の乾燥したパン、羊飼いが移牧に持っていくために考え出した、皮だけのパン、軽くて日持ちがする究極のパン、パーネ・カラザウpane carasau。

家庭のオーブンで作るパーネ・カラザウ

材料/
セモリナ粉・・500g
水・・250ml
塩・・9g
生イースト・・5g

・セモリナ粉に塩とイーストを溶いた水を少しずつ加えて加えてニーダーで約15分こねる。
・生地を台に移してこね、滑らかな生地にして30~45分休ませる。
・生地を250g程度に分けて丸め、布巾で覆って30分休ませる。
・セモリナ粉の打ち粉をした台で生地を手と麺棒で平らにし、直径40㎝に伸ばす。
・打ち粉をした布巾にのせ、別の布巾で覆って打ち粉をする。残りの生地も同様に広げて重ね、30分休ませる。
・オーブンを最高温に熱する。
・生地を1枚、パーラーにのせてオーブンに入れる。生地がパンパンに膨らんだら取り出して上下2段に切る。
・布巾に2段に切った生地を1枚載せ、パーラーで潰して平らにする。裏側も同様にする。
2段に切った生地をオーブンで1分焼いて乾かす。

サルデーニャの人は、パーネ・カラザウをどうやって食べたのか。
オリーブオイルをかけるパーネ・グッティアウpane guttiauは、一番シンプルなバージョン。
グッティアウとは、滴らせる、という意味。文字通り、オリーブオイルをかける、という意味です。調味する、という意味のシチリアのパーネ・クンツァートよりもっとシンプル。


トマトソースと卵とチーズが加わるパーネ・フラッタウは、パーネ・カラザウのご馳走版。
伝説では、突然訪れたサルデーニャ王のために手に入るものを農家のおかみさんが畑と家中からかき集めて急いで(フラッタウ)作った料理。

王様のためのアレンジとなると、さすがにオリーブオイルをたらすだけというわけにはいかない。乾燥させてわざわざ日持ちを良くしたパンもゆでて戻していただく。

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2022年7月21日木曜日

塩気のないパンで作るパッパ・アル・ポモドーロ、水気のないパンで作るパンツァネッラ、どちらも仕上げはトスカーナのエキストラバージンオイル。

フィレンツェのパーネ・ショッコにトマトを組み合わせると、イタリア料理を代表する夏の料理、パッパ・アル・ポモドーロpappa al pomodoroになります。




夏はトマトの季節ですからね。ちなみに、この料理は冬にはリボッリータになります。

リボッリータribollita。

冬の間、トマトはないけれども、畑には、霜が降りると美味しくなる黒キャベツがあります。
基本は残り物で作る料理なので、余っている食材をなんでも使います。バリエーションは家庭の数だけあります。
そして19世紀後半になると、パルマではトマトの保存食の研究が盛んになり、ナポリ周辺ではピエモンテ人のフランチェスコ・チリオによって最初のホールトマトの缶詰が作られます。
トマトの缶詰が発明されたおかげでトマトは季節の縛りから解放されます。
さらに言えば、缶詰用トマトに最適な品種、サン・マルツァーノトマトは世界中に輸出されてイタリア料理に使われました。
パンツァネッラpanzanellaもパーネ・ショッコの夏の料理。

パッパ・アル・ポモドーロ。


材料/4人分
玉ねぎ・・1個
トマト・・500g
にんにく・・4~6かけ
堅くなったパン・・300g


・玉ねぎを薄くスライスして刻む。
・陶器の鍋にたっぷりの油を入れて玉ねぎをソッフリットにする。
・トマトを小角切りにしてソッフリットに加える。丸ごとのにんにく、唐辛子、バジリコ少々も加えて15~20分煮る。
・ちぎったパンを加えてよく混ぜ、数分煮る。
・野菜のブロードか湯で覆い、濃いクリームにする。塩味を整え、火を止めて仕上げのバジリコを加える。
・皿に盛り付けて油を回しかける。

パンツァネッラはパンのサラダ。


セミが鳴いてますねー。
夏にぴったりの料理。
リチェッタは下の動画から。
または今月の(CIR/P.40)に日本語訳を載せています。

材料/4人分
堅くなったパーネ・トスカーノ・・400g
熟したトマト・・500g
赤玉ねぎ・・1個
バジリコ・・15枚
ワインビネガー

・パンを厚さ1㎝にスライスしてオーブン皿に並べる。
・水250mlをかけて40~45分休ませる。
・玉ねぎを薄く切り、水70ml、ビネガー70mlをかけてかき混ぜながら15~20分マリネする。
・きゅうりの皮をピーラーでむき、縦に半分に切って輪切りにする。
・トマトを小角切りにする。
・ほぐしたパン、トマト、水気を切った玉ねぎ、きゅうり、ちぎったバジリコを混ぜて1時間休ませる。
・油40gとビネガー15gをかけて塩、こしょうをする。
皿に盛り付けて油を回しかける。

今月の(CIR/P.39)はパンツァネッラ。詳しいリチェッタもあります。

パンツァネッラがお勧めのフィレンツェのオステリーア、ダ・ブルデDA BURDE↓
詳しくは(今月のCIR/P.41)




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2022年7月20日水曜日

紀元1100年ごろ、ピサは敵対するフィレンツェの港を封鎖して塩の貿易を止めた。その結果生まれたのが、後にフィレンツェの食文化のベースとなる塩気のないパン、パーネ・ショッコ。

今日はトスカーナのパンの話。
パンは、文明のベースとしてトスカーナの食文化と深く結びついているだけでなく、キリスト教では神の愛やキリストの奇跡の象徴でした。

塩気のないパンさらに、トスカーナの塩気のないパン、パーネ・ショッコpane scioccoは、フィレンツェの象徴でもあります。


パーネ・ショッコ誕生のいきさつには諸説ありますが、よく知られているのが、中世、紀元1100年ごろ、フィレンツェとピサが戦っていた時、ピサの港の船の貿易を妨害して、街に塩が入らないようにしたため、という説。なんだかどこかで聞いたような話ですねえ。
でも、フィレンツェは農民の街、贅沢はせずに手に入るものでなんとかする、じっと耐えていればいずれは、という精神が行き渡っていました。
そしてもちろん、堅くなったパンや残ったパンも、一切を無駄にせず、美味しくいただく、という精神から、パッパ・アル・ポモドーロpappa al pomodoroやパンツァネッラpanzanellaといったフィレンツェの庶民料理の定番が生まれます。
イタリアの偉大な詩人、ダンテは、故郷フィレンツェの街を二分する争いに巻き込まれてフィレンツェから永久追放されます。ダンテは、『新曲』の中で、いつかフィレンツェに戻ってパーネ・ショッコを再び食べるとができる、という予言まで登場させてパーネ・ショッコ愛を語っているのです。
パーネ・ショッコとフィレンツェはこんなにも強く結びついていました。
パーネ・ショッコの料理には美味しくて、シンプルで、経済的というトスカーナ料理のエッセンスが詰まっています。
さらに食卓の中央に盛って、どんな料理にも合わせられる、という利点もありました。

パーネ・トスカーノDOP↓
パーネ・トスカーノpane toscano↓



材料
2番の軟質小麦粉・・1㎏
水・・600g
サワードウ・・300g

・小麦粉、サワードウ、水を混ぜて冷蔵庫で8時間発酵させる。
・打ち粉をした台でまとめて型に入れ、3時間発酵させる。
・クープを入れて240℃のオーブンで50分焼く。

パーネ・トスカーノは精製の粗い軟質小麦粉のサワードウのパン。




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2022年7月18日月曜日

パーネ・クンツァートのベースは皿より大きなシチリアのセモリナ粉のサワードウの焼き立てパン。

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きのう、サリーナ島のパーネ・クンツァート、別名クンツァート・エオリアーナを調べていて、シチリアの観光客向けのパーネ・クンツァートとは、造られた背景が違うもの、ということにようやく気が付きました。
パーネ・クンツァートは、貧しくて質素なパンの食べ方なのです。
シチリアを代表するワイナリー、プラネタのシチリア料理の本、

シチリア/クチーナ・ディ・カーザ・プラネタ
によると、パーネ・クンツァートはかなり質素で貧しいパン、とあります。

シチリアのパンの美味しさは、初めてあのごま付きパンを一口食べた時から感じていました。あんなにおいしいパンなら、あれこれ豪華な味付けをしなくても、十分美味しいはず。
この料理の本質は、パンにあったのでした。
シチリア料理のお勧め本、『グイド・トンマージのクチーナ・シチリアーナ

には、オーブンから出した熱々のパンを調味する最もシンプルで美味しい方法は、2段に切ってEVオリーブオイルをたっぷりかけて、塩とオレガノ少々を散らし、黒オリーブ数粒を加えればよい、とあります。


本に載っているパーネ・クンツァートのリチェッタは、パンを作るところから始まります。
この料理の基本は、パンです。

シチリアのパンと言えば、ごま付きパンのパーネ・マファルデPANE MAFALDE。
皿より大きなサワードウのパン。
シチリアのアラブ時代を想起させるマファルデは、とぐろを巻いた蛇のような形が特徴。モルトの香りとジュジュッレナーレgiuggiulena(シチリア系アラビア語でごまという意味)付き、クラムは柔らかいが、硬質小麦特有の腰もある。
あの形は、蛇のような棒状にした生地をくねくねと折りたたみ、最後に尻尾で全体にくるっと巻き付ける。



シチリアの家庭での伝統的なパン作りとパーネ・クンツァート↓

パーネ・クンツァート作りは、夜にサワードウ(crescente)に小麦粉と水を足し、ドーナッツ形にして発酵させる。そして翌朝、生地を焼く。

パンとキリスト教は強く結びついている。
パンは貧しさのシンボルで、友情や平和、分かち合いのシンボル、さらには聖なるもののシンボル。
次回はトスカーナのパンの話。


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2022年7月17日日曜日

パーネ・クンツァートは漁師のパンのサラダをサリーナ島のシェフが見栄えを意識して盛りに盛った結果、島の名物料理にまでなった大人気の1品。

シチリア名物の超ジャンボサイズのサンドイッチ、パーネ・クンツァート。
でも、この具沢山ぶりは、シチリアの庶民料理として愛される食べ物としては、具を山盛りにする巨大なサンドイッチというのは贅沢すぎて違和感だらけ。
観光客向けに盛られているのかも・・・。
サリーナ島のレストラン、ダ・アルフレードが考案して有名にし、島の名物にまでなったパーネ・クンツァートpane cunzato。店の2代目が説明するにはもともとは古い漁師料理で、夜にありあわせの材料とあぶったセモリナ粉のパン、ケッパー、オリーブ、玉ねぎ、アンチョビ、オレガノ、バジリコで作る山盛りのサラダがベース。これを現代風に見栄えよくしたのが今のパーネ・クンツァートだそうです。
ダ・アルフレードのパーネ・クンツァート。あとグラニータもお勧め。↓

今月の(CIR)P.25の“サリーナ島”の記事によると、サリーナ島とは、ぶどう畑やオリーブ畑に覆われた、生物多様性を実感できる農業の島。
下の動画は豊かな野菜とケッパーに、地元のパンを加えたエオリアン・サラダ。
地元のパンは、Pane caliatuというパンで、パン屋が20日ごとに焼くそうです。
たぶん、パーネ・クンツァートの原型。
つまりこれが庶民のパン。日持ちが良いことが絶対条件なのでオーブンに入れっぱなしにして水分を飛ばします。

ということは、トマトの汁やオリーブオイルをよく吸うはず。

おまけの動画は記事でも紹介していたミシュランで最優秀女性シェフに選ばれたマルティーナ・カルーソ。

タスカ・ダルメリータのホテル・レストラン、Capofaro Malvasia & Resort




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2022年7月16日土曜日

美しい名作イタリア映画のロケ地は大体世界遺産の観光名所。名物は何かを調べてから聖地巡礼に。

(CIR)9月号から、今月の観光ガイドはサリーナ島です。
シチリアから船に乗り換えて行く、上級者向けの世界自然遺産のエオリエ諸島の島。
salina ↓



シチリアに着くまでは行き方もわからなかったけど、メッシーナ県のミラッツォMilazzoから船で1時間だそうで、ミラッツォというのも古代ギリシャによって造られた素晴らしいところのようです↓


ミラッツォはシチリアのサンドイッチことパーネ・クンツァートが名物。
パーネ・クンツァート祭り↓も開かれます。



サリーナ島は映画『イル・ポスティーノ』の舞台になった島として知られています。でも確か、あの映画はカプリ島のそばのプロチダ島でロケしたんじゃ・・・。

プロチダ島↓


とにかく美しい映画でした。
サリーナ島の名物は、パッシートワインとケッパー。

サリーナ島のケッパー↓

サリーナのリストランテ・ダ・アルフレードのパーネ・クンツァート。

リチェッタは次回。


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2022年7月15日金曜日

かなり見栄えにインパクトがある紫芋のニョッキ。

ニョッキはイタリアのおばあちゃんの料理のイメージを代表する素朴で家庭的な料理。
その一方で、イタリア中に広まって、各地の名物食材と組み合わせられて、シェフの腕を感じるアルタ・クチーナの料理にもなった。
グイド・トンマージのミニ料理書シリーズ、“ピッコロ・スプンティーニ”の一冊、『ジョべディ・ニョッキ

には、“シイタケのソースの紫芋のニョッキ”という、インパクト大き目のニョッキが載っていました。
紫芋のニョッキGnocchi di patate viola

材料/
紫芋・・500g
小麦粉・・300g
卵・・1個

・ニョッキの材料をこねる。小麦粉の量は芋の質によって変わる。まな板を使うと芋の紫色が移るので使っていない。生地が手につかなくなったら粉をまぶして30分休ませる。
・生地を一部切り取って中央から端に向かって転がしながら棒状に伸ばす。
・たっぷり打ち粉をして小さく切り、軽く転がして丸める。

シーフードにも合います。車エビのソースの紫芋のニョッキ↓

・エビの殻をソッフリットにし、白ワインをかけてアルコール分を飛ばす。
・殻を取り出し、車エビとドライトマトを加える。
・ポロネギを薄い輪切りにし、小麦粉をまぶして揚げる。小麦粉はグルテンフリーのもの。
・ニョッキをゆでて皿に盛り付け、エビとドライトマトを添えてポロネギをのせる。

ちなみに、今月の(CIR)のニョッキは“アンズ茸のニョッキ”P.10です。
ニョッキに使うじゃがいもの品種は、ビンチBintjeかデジレDesirée種と指定されていました。どうやらこれらがイタリアの一般的なじゅがいもの品種のようです。
じゃがいもの動画はフランス語のものが圧倒的に多くなります。
さらに、フライはベルギーのもの。ベルギーのフライの一般的なじゃがいもはビンチです。外側はカリッと、内側はホクホクに揚がるのだそうです。じゃがいもの太さはストリートフードとして持ち歩いても冷めにくい11㎜。

文化の厚みが違う。

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クレーマ・ナメラカ入りのレイヤーケーキ。

クリスマスのオリジナルケーキ。今日はレイヤーケーキです。ドアップで見ると、とても美しい、インパクトの大きなケーキ。レイヤーというその名の通り、各種の素材を複数の層に重ねたケーキ。イタリア語ではトルタ・ア・ストラーティtorta a strati。 イタリアの伝統的なレイヤーケーキ...