2019年3月15日金曜日

「難しく考えないで生きていく」理系の街、モデナ

今日はモデナの話。
小さいけれど、歴史と文化がギュッと詰まった、豊かな街です。


フェラーリとバルサミコ酢とエステ家の街。
大聖堂、グランデ広場、ギルランディーナの塔は世界遺産。

『ラ・クチーナ・イタリアーナ』のモデナのグルメガイドの記事は、
モデナの紋章には、“Avia pervia”というラテン語が記されている、という話から始まります。
観光でちょっと立ち寄ったことがあるだけの私には、初耳でした。
これがモデナの紋章です。

確かに書かれていますねー。
どういう意味なんでしょう。
街のモットーだけあって、様々なスポーツチームの名前などに使われていますが、記事でも詳しく解説しているように、イタリア人でも意味を理解するのは少々難しい言葉のようです。
記事の説明を短くまとめると、「難しく考えないで生きていく」あたりがしっくりするかな。
これはラテン系の人々のモットーと言ってもいいのでは。
いい言葉だなあ・・・。

ところで、モデナの名産品を見ていて気がついたのですが、ぶどうの果汁を酢酸菌で酢酸発酵して作るのがバルサミコ酢で、牛乳を乳酸発酵させて作るのがパルミジャーノ、酵母が糖分をアルコールと炭酸ガスに分解して生まれるのがランブルスコだそうで、モデナの人は理系に違いないですね。

下の動画はモデナを代表する有名シェフ、マッシモ・ボットウーラシェフの店、『ラ・フランチェスカーナ』。



この黄色い料理の名前は、“おっと、レモンのクロスタータを落とした!”だそうで。
ドイツの現代アートの巨匠、ヨーゼフ・ボイスの影響を受けているのだとか。
この動画を見てふと感じたのが、マルケージのミラノの店に似ている、ということ。
料理を現代アートに例えたのは、マルケージの代表作の一つ、ドリッピング・ディ・ペッシェが20世紀を代表する抽象画家のジャクソン・ポロックの“ドリッピング”技法にインスパイアされてのこと、というのが有名。
ボットゥーラシェフはマルケージチルドレンではないそうですが、彼の料理は、マルケージがやってきたことによく似ているような・・・と感じてしまいます。

ドリッピング・ディ・ペッシェ
 ↓

今日のブログのタイトルは、「難しく考えないで生きていく」理系の街、モデナですが、重要なことを忘れていました。
「難しく考えないで生きていく」、レズドーラに育てられた理系の街、でした。
レズドーラはパスタの麺打ちが得意で家事をバリバリこなすスーパー主婦で、地元の食文化の継承者のことです。

レズドーラとマッシモ・ボットゥーラシェフが作るモデナのトルテッリーニ
 ↓

ホントの親子みたい。
ボットゥーラシェフの実際のお母さんはどんな人だったのか、興味ありますねー。
親から子へと伝わる家庭料理では、その一家ならではの技術や配合が受け継がれますが、ボットゥーラシェフが作るようなアルタクチーナは、感性の表現の仕方が師匠から弟子へと受け継がれます。

モデナの感性を高めたのはエステ家。
モデナを含むエミリア・ロマーニャ地方の感性が生み出したランブルスコ。



エミリア・ロマーニャ地方の料理のお勧め料理本は、“グリバウド・グランデ・クチーナ・レジョナーレ・イタリアーナ”シリーズの『エミリア・ロマーニャ』


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“グルメ旅~モデナ”の記事の日本語訳は、「総合解説」2016年11/12月号に載っています。
クレアパッソで販売している書籍
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シチリア出身のシェフがミラノで出した店は、その名もイカの卵。イカの卵はベネチアのチケッティの珍品中の珍品でした。

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