2019年3月1日金曜日

お勧めピエモンテ料理の本

料理雑誌の11月号と12月号を訳していると、この時期はピエモンテが光り輝いていると感じます。
白トリュフ、ワイン、ボッリート・ミスト、カルドゴッボなど、「総合解説」で訳したリチェッタも、ピエモンの特産品が活かされたものばかりです。

クレアパッソで販売しているピエモンテ料理の本のお勧めは、
まず、グリバウドのグランデ・クチーナ・レジョナーレ・タリアーナシリーズの『ピエモンテ』。

ピエモンテの代表的な料理を幅広く網羅して、写真もそれなりにあるので、ぱらぱらとめくっているだけでピエモンテ料理の大まかな姿が見えてくる、とてもコンパクトで便利な本です。
他の州も全部こんな調子で、全集揃えるのがお勧めで、イタリアの代表的地方料理がほぼコンプリートできます。

ニュートン・クチーナ・レジョナーレシリーズは、さらに詳しく、ピエモンテのプロヴィンチャごとにリチェッタをたくさん集めています。


11~12月に旬を迎えるピエモンテは、正確には、ランゲ、モンフェッラート地方が主役。ピエモンテの料理を語る上で、クーネオ、アスティ、アレッサンドリアにまたがるランゲとモンフェッラートという地区は、最初に覚える地区のはず。
イタリアを代表するワインの産地として名高く、世界遺産でもあります。
世界中の人がイメージするピエモンテの姿が、この季節のランゲ・モンフェッラートにあります。


ピエモンテはワインとトリュフだけじゃない。
世界一の米とミネラルウオーターもあります。


北の人も南の人と同じくらい地元愛が強烈なんですね。
その強烈な地元愛がよく分かるお手頃価格の本が、ニュートンのシリーズです。
長く愛されているロングセラーで、リチェッタの数はすごいけど、写真が殆どないのが欠点。

逆に写真が素晴らしいのが、『トラディツィオーネ・グスト・パッシオーネ』。


1巻は北イタリア、2巻は南イタリアの有名レストランの料理を中心に紹介していますが、1巻はピエモンテ料理から始まります。
たとえば、1巻P.21の“赤パプリカのリピエーノ”は、肉厚のパプリカがとても美しい1品です。
その左隣のページの写真は、チラッと見ると、何の変哲もないオーブンでパプリカを焼いている写真ですが、中央の写真のパプリカが焼く前で、下段の写真は同じように見えますが、よく見るとパブリカがぺしゃんこに潰れています。
パプリカがこの状態になるまで焼く、というのが、この店(リストランテ・ダ・グイド)の焼き方なんです。
それがわかった時、大抵の人は二度見しますよ、この何の変哲もない写真を。
さらに、記事には美味しいパプリカの選び方も書いてあります。

ページをめくると、今度は生の卵黄が具のラビオリ。
さらに次のページをめくると、ドーンと見開きの2ページを使って、今まさに生の卵黄にパスタをかぶせる写真が。
次の料理も歴史的な名物料理です。
アニョロッティのナプキン包み。
アニョロッティを皿ではなくナプキンの上に盛り付けてサーブする、てどういうこと?
となりますよね。
実はこの料理、名前はとても有名で時々聞いていたのですが、その由来やサーブされる姿を始めて見ました。
おそらく写真に残された最後の姿なのでは。
生の卵黄のラビオリもナプキンのアニョロッティも、グイドのシェフのリディア・アルチャーティというピエモンテでとても愛された、ピエモンテ料理の1時代を築いた女性シェフが作り出しましたが、彼女は2010年に亡くなっています。
本にはリディアさんがどういう人で、どうしてこんなに尊敬される料理人なのかが書かれています。

リディア・アルチャーティさん。
 ↓

この本は、こんな調子で、すべてのページが貴重な情報に満ちています。
イタリアであっという間に売り切れたのも納得です。

もう少し若い世代のピエモンテ料理の旗手たちの料理を中心に知るなら、スローフードのに関わりの深い店の本、『オステリエ・ディ・イタリア新版』がお勧めです。


ブラのボッコンディヴィーノの次に紹介されているのはトリノのコンソルツィオ。
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