昨日に続いて、ルニジャーナ地方の話をもう1つ。
ルニジャーナの中心地、ポントレーモリは本の街として有名で、その業界では世界的にも知られた「バンカレッラ賞」というのを毎年発表しています。
日本の直木賞のような感じでしょうか。
ポントレーモリ, photo by Mahtab
日本で本の街というと神田あたりですよね。
神田の場合は、周囲に大学があったりして知識階級が多かったことがその成り立ちの要因とか。
ポントレーモリの場合は、イタリアならではの歴史があります。
ポントレーモリと言うより、ルニジャーナ地方の歴史です。
ルニジャーナにも、イタリアの他の地方同様、羊飼いがたくさんいました(今もいます)。
でも、他の地方と違ったことが1つあります。
ルニジャーナの羊飼いたちは、本の行商を始めたんです。
この地方は、イタリアの本の行商の発祥地なんだそうです。
その昔羊飼いたちは、ポントレーモリの街まで行ったら出版社で売れ残った本を安く買い、田舎に戻ってそれを安い値段で売っていました。
やがてそれが本格的な仕事になり、北イタリア各地に行商に行くようになります。
政府が出版禁止にした本もこうやって広まり、イタリア統一運動の思想が大衆に伝わる手段にもなったとか。
これは、モンテレッジョという町にある本の行商人の記念碑。
でも、重い本を持って遠くまで行くのはやはり大変。
そのうち、大きな町で店を出すようになり、中には出版社を始める人もいました。
こうしてイタリアには、ルニジャーナ出身の書店や出版社があちこちにできたのです。
そんなこんなで、イタリア本業界のルーツ、ポントレーモリは、イタリアの「本の街」となったのでした。
バンカレッラ賞については、「大阪ドーナッツクラブ」というサイトに分かりやすい解説がありました。
こちら。
2005年に『Il passato è una terra straniera』で受賞したジャンリーコ・カロフィーリオですが、ちょっと前に、『ヴィエ・デル・グスト』が彼を取り上げていました。
彼はバーリ出身。
ベストセラーミステリー作家で、しかも現職検事。
その彼、バンカレッラ賞の発表当日は、ポントレーモリにいました。
受賞した時のことは、あまりにもびっくりして覚えていないそうですが、その数時間前に何をしていたかは、よーく覚えているそうです。
「発表の数時間前、ルニジャーナ名物のテスタローリを食べた。
地元の人たちみんながこれを注文するように勧めるんだ。
賞の主宰者たちに至っては、もしこれを食べなかったら悪運に見舞われるぞ、とまで言い出した。
おかげで、受賞した今では忘れられない料理になったよ」
きっと今年も、7月20日の発表の日には、ポントレーモリのどこかで、緊張した作家がテスタローリを食べるんでしょうねえ。
ちなみに、カロフィーリオの主な作品はバーリが舞台で、料理の話も時々出てきます。
バンカレッラ賞には最近、料理本部門と言うのができました。
今年で3回目になります。
5冊がノミネートされていて、発表は10月5日です。
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関連誌;『ヴィエ・デル・グスト』2006年1月号(在庫なし)
カロフィーリオと巡る「バーリ」の記事は総合解説2005年1月版P.35に載っています。
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2008年5月13日火曜日
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2 件のコメント:
トスカーナは10数年前にドライブした以来行ってないんですが、ポントレーモリとテスタローリは、ルジャーナ地方の野望のひとつです(笑)。栗も大好物なので、レシピも興味あるなぁ。あの本も課題なんだよなぁ。課題山積!
野望、いっぱいありますねえ。
私の野望はストロンボリ島で噴火を見ることです。
トスカーナのドライブ、それ最高!!私も、青春時代の思い出の1ページになってますよん。
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