5月4日放送の「世界ウルルン滞在記」でした。
そこで今日は、モレーケmoleche(TVでは“モレッケ”と呼んでましたね)の話。
これがモレーケ。
脱皮したての、小さくて柔らかいカニ、ソフトシェルクラブです。
カニはチチュウカイミドリガニという種類。
これが年に2回脱皮します。
その脱皮したての柔らかいオスのカニを、モレーケと呼びます。
カニ1匹丸ごと脱皮。
昔は、トスカーナのセスト・フィオレンティーノあたりでも、淡水ガニのソフトシェルクラブが獲れたんだそうですが、環境汚染で姿を消し、今ではイタリアではヴェネトの潟地方だけの特産物。
カニが脱皮する1月末~5月と、9月末~11月末の期間だけ食べることができます。
モレーケの漁は、キオッジャ、ブラーノ島、ジュデッカ島あたりで行われています。
まず、浅瀬に網を仕掛けてカニを獲ります。
その中から、これから脱皮するものをより分けて箱に移し、脱皮するまで待って、脱皮したらすぐに出荷する、という方法。
脱皮するモレーケを入れる箱
モエーケ moecheとも言います。
カニは、「2日以内に脱皮する脱皮寸前のもの」、「約20日の間に脱皮するもの」、「すでに脱皮したもの」、「メス」の4種類に分類します。
これから脱皮する2種類以外は海に戻して(メスは卵を抱く秋だけ獲ります)、脱皮寸前のものは1日に2回チェック、脱皮まで時間があるものは4~5日に1回チェックして、脱皮していないか見張ります。
カニの状態を見分ける技は、父から息子へ代々受け継がれてきたもの。
TVでもやってましたが、シロウトにはまったく区別がつかないですよねー。
最近では、後継者が減っているそうです。
しかも、アサリの養殖場に押されて、現在モレーケ漁をしている漁師は約50軒。
漁獲量は年間約3トン。
スローフードの後援食材にもなっています。
そんな貴重なモレーケですが、ヴェネチアのレストランでは名物料理。
特にフリットは人気のメニュー。
モレーケのフリットのリチェッタは、ちょっと前の『ラ・クチーナ・イタリアーナ』(2005年3月号)で紹介しています。
この料理の特徴は、TVでもやっていた通り、活きたモレーケに卵を吸わせてから揚げる、というもの。
別名、「モレーケ・コル・ピエン」とも呼ばれます。
“ピエン”とは、“ピエーノ pieno”、つまり、「満腹」とか、「ぎっしり詰まった」という意味。
ここでは、『Grande Enciclopedia Illustrata Della Gastronomia』という本のリチェッタをどうぞ。
モレーケ・コル・ピエン Moleche "col pien"
4人分 ・卵2個とパルミジャーノ少々を溶き、活きたモレーケ800gを入れる。カニが飛び出さないように皿をかぶせて軽い重石にし、2時間半置いて卵を吸わせる。 ・カニが卵をたっぷり吸ったら小麦粉をつけて油で揚げる。 ・油を切って塩を振る。 |
出来上がり
パルミジャーノを加えるリチェッタは、少数派かもしれません。
冷えたスプマンテや軽い赤ワインと一緒にどうぞ。
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関連誌;『ラ・クチーナ・イタリアーナ』2005年3月号(在庫なし)
「モレーケ」の記事と「モレーケ・フリッテ」のリチェッタは「総合解説」P.35に載っています。
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2 件のコメント:
ああ、これは親指の先で殻の固さを調べてますね。
脱皮寸前なら表の殻の裏側に形成されつつある脱皮後の殻も触って分かると思います。
うちの近所で昔とれていた沢蟹もこれくらいの大きさだった。
この辺りでは農薬で全滅したらしいです。
美味しかったんですけどね。
匿名さん
脱皮前でも新しい殻は触ると分かるんですか。ほお~なるほどお。
チチュウカイミドリガニは、なぜか日本で最近数が増えているそうですね。でも生息地から見て食用にはなりそうにないんだとか。
「近所で獲れた沢蟹」って、響きだけでも美味しそう~。
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