イタリアのマグロの話、その2。
今日はマッタンツァの話。
動画はシチリア、ファヴィニャーナ島のマッタンツァです。
きのう紹介したサルデーニャのカルロフォルテのマッタンツァの動画と比べても、漁の内容はほぼ同じのよう。
マッタンツァは勇壮な漁。
観光客相手のショーと化した面もあるけれど、地元の人たちには誇りなんだろうなあ。
ファヴィニャーナのマッタンツァ, photo by T.
でも、一面血に染まった赤い海を見ると、う~ん・・・。
見物するには、それなりの覚悟も必要だあ。
イタリアでは、マグロ漁は「トンナーラtonnara」と言います。
「マッタンツァmattanza」は、マグロを網で囲って徐々に狭い空間に追い込み、最後の「死の部屋」まで到達した網漁の、最終段階のこと。
スペイン語で“殺す”という意味のmatarが語源だとか。
「死の部屋」では、網を徐々に引き上げていき、マグロが水面に上がってきたところを銛でついて、1尾ずつ引き上げます。
銛で突いたところが血抜き穴になって、海が血で染まるわけですね。
Wikipediaには、こうすると血が抜けてマグロが柔らかくなって、日本人が高く買っていく、みたいなことが書いてあります。
イタリアでマグロ漁の話が出ると、「日本人が買い占める」、という話も必ず出てきます。
マッタンツァなんて聞いたこともない、と思っていても、実はそれを眺めている観光客より深い関係が、日本人にはあるんですね。
とは言え、マッタンツァは、もはや消滅寸前の漁。
漁が行われるのは、マグロがファヴィニャーナやカルロフォルテのそばを通る5月から6月の間だけだし(カルロフォルテでは約45日間)、そもそも、マグロの数が減っている。
欧米では、マグロの減少の最大の原因は、大型船による大量無差別乱獲だと言われています。
マグロと一緒にイルカも網にかかることから、残酷だ!という非難の声も、かなり強烈。
世界のマグロ消費量の1/3を占める日本人としては、血に染まった海が残酷だ、なんて言ってる場合じゃないか。
ちなみに、2005年のカルロフォルテのマグロ漁の成果は4,000尾。
人口6,600人の島で4,000尾ということは、全部島で消費したとしても、1人当たり0.6尾。
それをほとんど日本人が買い占めていくとしたら、いったい島にはどれくらい残るんでしょうか。
それに最近では、「日本人が買い占める」から、「日本人が買い占めていた」、と過去形で語られることも多くなってきました。
つまり、今では日本人以外も買っているということ。
昨今の日本食ブームがマグロの需要を世界各地に広めたことをつくづく感じます。
次は、日々貴重品になっていくマグロについてです。
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関連誌;『ラ・クチーナ・イタリアーナ』2006年5月号(クレアパッソで販売中)
“カルロフォルテ~サルデーニャのマグロ漁の島”の記事は「総合解説」P.2に載っています。
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2008年5月20日火曜日
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