イタリア料理ほんやく三昧

2016年12月8日木曜日

アーリオ・オーリオ・ペペロンチーノとワイン

パスタの話題が多い今月の「総合解説」。
ワインの記事も、『ガンベロ・ロッソ』の恒例、料理に合わせるワインのテイスティングで、アーリオ・オーリオ・ペペロンチーノに合わせるワインでした。




この記事、訳していて、とても楽しかったです。
というのも、この料理のことをイタリア人は本音でどう思っているのかが、よーくわかる記事だったんです。

詳しくは解説をお読みいただきたいのですが、まず、記事のタイトルの下に大きな文字で書かれた文章は、
「一番簡単なイタリア料理の一つ」
まあ、確かにその通り。
イタリア人が一番簡単なイタリア料理と言うのなら、きっとそうなんでしょう。
この言葉がすべてを物語っているかも。

続く記事の冒頭では
「イタリアの国民的人気のスパゲッティ」と持ち上げて置いて、
その理由が、
「夜中の2時の、貧乏でいつも冷蔵庫は空っぽのおなかを空かせた学生にとって一番確かなもの」
と、上げてんのか下げてんのかよくわからないスタンス。

その後も、
「あらゆる時間帯に、あらゆる世代から愛されているパスタ」
「イタリア人なら目を閉じていても作れる料理」

と、絶賛する横から、上から目線のちょっとからかい半分。
イタリア人ともあろうものが、この初心者向きパスタを真剣に語るなんて笑っちゃう、と、どうやらてれ隠しもちょっとある、と見ました。

イタリア人なら目を閉じていても作れる、ですよー。

しかも、今回のテイスティングは、夜食用として定番のリチェッタのアーリオ・オーリオ・ペペロンチーノに組み合わせるという、なんとも凝った縛りつき。

イタリア人のイタリア人たるところは、こんな超簡単なパスタに、わざわざ縛りを作って、その条件に最適な食材を超真剣に考えて、さらにパスタは硬質小麦粉のもの、オイルはガルダ湖産のコミンチョーリ社の種抜きレッチ―ノのエクストラヴェルジネ、唐辛子は種を取った生唐辛子、にんにくはみじん切りと、どこの3つ星シェフの一品かと思うくらい、食材を厳選。

だから、最適の飲み物を選ぶなんてなったら、もう真剣も真剣。
素人にはちょっとついていけないレベルでした。

映えある1位に選ばれたのは、カンティーナ・プロドゥットーリ・コルモンズのコッリオ・ソーヴィニヨン。

面白いのは3位にビールが選ばれていること。
ビッラ・ペルージャ。
 ↓



2位に選ばれたのはプラネータのシャルドネ。
シチリアの有名カンティーナ、プラネータ。
 ↓



最近入荷したプラネータの本はシチリア料理の本としてもなかなか興味高い内容でした。

もう紹介したと思ったらまだでした。
では次回に早速。

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“アーリオ・オーリオ・ペペロンチーノとワイン”の記事の日本語訳は、「総合解説」13/14年9月号に載せています。
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2016年12月5日月曜日

マルコ・マルティーニシェフとアーリオ・オーリオ・ディ・マーレ

今月の「総合解説」で取り上げたシェフ、二人目は、ローマの注目の若手シェフ。
この形容詞、今まで何回ぐらい訳したかなあ。
とにかくローマはトレンドを作り出す天才若手シェフの激戦区で、ほとんど毎月天才新人シェフが見出されています。

今回のシェフは、マルコ・マルティーニ氏。
リストランテ、スタツィオーネ・ディ・ポスタの元シェフです。

リストランテの激戦区だけあって、マルコシェフは、今ではもう新しい店、ローマのザ・コーナーに移っています。
彼の料理の特徴である、若者向けの、メニューも料金もクラシックな店、という個性はそのままです。

彼の肩書は、イタリアで最も若くして(24歳)ミシュランの星を獲得したシェフ、というもの。
翌年には2つ目の星を獲得しています。

間違いなく、レストラン激戦区ローマで、したたかに生き残って成功を収めつつあるシェフです。

トレンディーな香りがプンプンするブティックホテルのレストラン、ザ・コーナー。
 ↓



鶏肉のディアヴォロ風を披露するマルコシェフ。
 ↓


彼の経歴はとても興味深いですねー。
まず、ホテル学校には通わずに、大学で建築や内装を勉強しています。
一番身近だった料理人は母親。
これはすべてのイタリア人の共通項。

手本としてきたのはグランシェフたち。
貪欲なまでに様々な条件でのスタージュを経験し、さらに、グランシェフたちから熱い信頼を得て、経営にもかかわってきました。

今月の「総合解説」では、彼を有名にした料理、“アーリオ・オーリオ・ディ・マーレ”と“鶏肉とじゃがいものブロードの蒸しラビオリ”のリチェッタも訳しています。

特にアーリオ・オーリオ・ディ・マーレは、現在のイタリアのアルタ・クチーナのトレンドの最前線の料理かもしれません。
普通のアーリオ・オーリオではなく、パスタを粉にした貝で調味して、リゾッタータのテクニックで貝の汁を吸わせながら煮ています。




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“マルコ・マルティーニ”のリチェッタの日本語訳は「総合解説」13/14年9月号に載っています。
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2016年12月1日木曜日

ペッペ・グイダシェフとパスティフィーチョ・デイ・カンピ

今月は、ネットの初歩的なトラブルでブログの更新が遅れましたが、現在、13/14年9月号の「総合解説」のビジュアル解説中です。
12月になっちゃったけど、10月号の「総合解説」は現在バリバリ制作中です。
もう少しお待ちください。

それで、現在ブログではグラニャーノのスパゲットーニとパッケリの話をしていたのですが、このパスタ、グランシェフたちは大好きです。
今月の「総合解説」で取り上げた二人のシェフ、ペッペ・グイダとマルコ・マルティーニシェフも、まさにその一人、というかその二人。

ペッペ・グイダは、20年前にヴィーコ・エクエンセで一番美味しいロスティッチェリーアと評判の店をオープンさせて、カンバーニアの食通の間で大人気のグルメスポットに育て上げた人。
ペッペ・グイダのカンピ社のパスタ料理。
 ↓



彼の店のパスタは、グラニャーノのカンピ社のもの。

カンピはガンベロ・ロッソのパッケリベスト10で、ジェンティーレと共に同点1位になったパスタメーカー。

カンピ社の今年の小麦の収穫
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店のレストランの名前には尊敬するお母さんの名前を付けたんだって。
カンパーニアの人だなあ。
ちなみに店名はアンティカ・オステリーア・ノンナ・ローザ。
 ↓



次回はもう一人のシェフを紹介します。


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“ペッペ・グイダの夏の終わりのパスタ”のリチェッタの日本語訳は、
総合解説」13/14年9月号に載っています。
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2016年11月28日月曜日

ハチミツ メラータ

ここ数日、初歩的なトラブルでPCの接続ができなくなって、人知れず、焦っていました。
バックアップって大切ですね。
今は復活したので、思いがけずの臨時休業も終わりです。
再開、再開。
ブログは、イタリア便りです。
北イタリアに住むsegnalibroさんぱどんな暮らしを教えてくれるんでしょうか。
それではお願いします。



山に移り住んで数週間たったころ、家の近くにこんな箱があるのに気が付きました。

apicoltura

養蜂?ミツバチのお家が色とりどりで、なんだか可愛い。
近所の水汲み場には、ミツバチ達がよく水を飲みに来ていました。ミツバチだけでなく、ここには野生の鹿も水を飲みに来るそうです。

api

このミツバチ達、誰がお世話をしているのかと思っていたら、ここに来て一番最初に声を掛けてくれた、お向いの家のパパでした。
半分趣味で、ミツバチ4家族を飼っているとのこと。朝、お仕事に行く前と夕方帰宅してからの1日2回、約20年お世話を続けているのだそうです。
箱がカラフルなのは、ミツバチ達が帰るお家を間違えないようにする為。1家族につき1年で約40kgのハチミツが採れるのだと教えてくれました。


日本にいた頃は、ハチミツなんてホットケーキに使うくらいしか思いつかず、頂いてもいつの間にか冷蔵庫の奥で固くなってしまっていたものですが、こちらに来て、特に冬はハチミツの必要性を感じるようになりました。
日本にあるようなステキなのど飴がここにはないので、風邪をひきかけた時には、ハチミツが活躍するのです。
必要だったら分けてくれるとのことで、早速少しいただきました。

melata

去年のハチミツはもっと明るい色をしていて、主にタンポポのハチミツだったけれど、今年は余り気温が上がらず、お花が少なかったので、このハチミツはMELATA(メラータ)なんだよ、って言うのですが、メラータって何?
分からない私に、ネットで検索したこんな画像を見せてくれました。(WIKI先生より、閲覧注意デス)

melata wiki

げげっ、花の蜜じゃない。けれど、ハチミツの濃い色からは想像できない、とても優しい味がします。
メラータ、日本語で甘露密、英語ではハニーデュー。植物の樹液を吸った虫が出す蜜から採れたハチミツです。
花から採れるハチミツに比べると、糖分控えめ。ミネラル分を多く含んでおり、別名、森のハチミツとも呼ばれているそうです。
先月、県内でハチミツ品評会が開かれたのですが、そこで彼のハチミツがメラータ部門で第2位になり、地元の新聞にも載ったとかで、とても喜んでいました。
ちなみに、1位は養蜂を本業として営んでいる隣村の方。そういえば今年の村祭りには、この養蜂家さんがキュートな標識が目立つお店を出していました。

bancarella



さて、先日ハチミツを頂きにいったら、台所の脇に砂糖の袋が積みあがっていました。
人間様用にハチミツを頂いちゃったので、冬の間ミツバチ達が困らないよう、砂糖をお水で溶いてあげるのだそうです。冬の間もお世話は必要なんですね。知りませんでした。
ここは、先週からスキー場がオープンして寒い日が続いていますが、今年はメラータのハチミツで冬を乗り切ります。


grazie segnalibroさん。 近所で蜂が蜂蜜作ってる暮らし、素敵ですね。 -------------------------------------------------------
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2016年11月10日木曜日

スパゲットーニ

ガンベロ・ロッソのデグスタツィオーネの記事の紹介、今日は、スパゲットーニです。

一般的なスパゲッティは直径1.8~2.2㎜、スパゲットーニは直径2.3㎜以上。
上質のパスタは低温でゆっくり乾燥させることが必須条件ですが、太いということは、これがなかなか難しいということ。
なので実はこのパスタも、パスタメーカーの本気度が分かる製品なんです。
この製法のパスタはアルデンテを保ちにくいので、扱う料理人にも、経験とテクニックが要求されます。
日頃数多くのリチェッタを訳している印象からすると、グランシェフに愛されているパスタというイメージがあります。
チェックポイントは、ゆでた後の香りと味、歯ごたえの均一さ、“外皮”のテクスチャー、腰の強さ、ソースのからみ具合など。
ちなみにアルティジャナーレのスパゲットーニに合うソースは、ラグー、カーチョ・エ・ぺぺ、シンプルなフレッシュトマトのソースなど。
イタリアの国民的パスタソースばかりですね。

ナンバー1のスパゲットーニに選ばれたのは、なんと同点1位が6製品という異例の事態。
どれも最優秀クラスで甲乙つけがたかったそうです。
パッケリの場合は上位はグラニャーノのメーカーにほぼ独占されていましたが、スパゲットーニは、各地のメーカーの製品が選ばれています。
その中の一つが、キアンティDOCG 地区のパスタメーカー、ファッブリのスパゲットーニ・トスカーニ。

ファッブリ
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キアンティ地区は、ぶどう畑が広がる前は小麦畑だったんですね。
ガンベロ・ロッソによると、乾燥期間は38℃以下で6日間。
奇跡の乾燥テクニックだそうです。
硬質小麦の強い香り、甘みのある味・・・。

パッケリでナンバー1に選ばれたジェンティーレのスパゲットーニも、1位に選ばれています。

1社を除くすべてのメーカーがブロンズのダイスを使っていますが、例外の1社は、なんと金のダイスだそうです。

それはヴェッりーニ。
 ↓


金のダイスは世界で唯一。
ワインの作り手として有名なヴァレンティーニが栽培した硬質小麦を使用しています。

1位の中で、コストパフォーマンスのナンバー1は、マシャレッリ。
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ファッブリ製品と比べると、半額近い安さですが、スパゲットーニは2日間かけて乾燥させています。
ただ、ファッブリの製品が断トツ高額で、他のメーカーとの価格差はそれほどありません。

スパゲットーニのカルボナーラ。



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“スパゲットーニ”の記事の日本語訳は、「総合解説」13/14年9月号に載っています。
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2016年11月7日月曜日

パッケリ

前回、カラマラータの話が出た流れで、今日のお題は、ガンベロ・ロッソのベスト10の話題。
今月の「総合解説」では、乾麺のパッケリとスパゲットーニを取り上げています。

まず、どちらにも言えることは、これらのパスタは、パスタメーカーの技術の高さを知ることができるパスタで、当然、アルティジャナーレの製品で、どのメーカーにとっても、最高級ラインの製品となっていること。
「総合解説」には上位のパスタの写真を載せたのでちょっと見てください。
どのメーカーも、最高級パスタにふさわしい、美しくて高級感のあるパッケージです。
今回はパッケリの話。

まずは、乾麺のパスタの品質を判断する重要な基準、ダイスの材質と乾燥温度。
パッケリも、スパゲッティ同様、高級品はブロンズのダイスを通して、低温でゆっくり乾燥させています。
そうすると、表面が多孔質でざらざらしたパスタで、小麦の風味や栄養価が残った麦わら色で味の強い麺になります。
こういった麺はコクのあるソースがよく合います。
低温で乾燥させるのは、大型や厚みのある形や複雑な形のものほど、均質に乾燥させるのが難しくなります。
パッケリは直径が大きく、中が大きな空洞になっているため、内側と外側の品質にむらができないようにする必要があります。
ガンベロ・ロッソの試食は、ゆで上がり後に形をきれいに保っているか、麺の各場所での腰などもチェックしています。

ちなみに、一般的なステンレスのダイスを通して高温で短時間で乾燥せると、つつるつるした麺になります。
このタイプの麺には軽いソースが合います。

グラニャーノのヴェッキオ・パスティフィーチョのパッケリ。
 ↓


ガンベロ・ロッソのテイスティングでは13位でした。
記事によると、小麦はアルタムーラの製粉所で粉にした国産硬質小麦、乾燥温度は46℃以下。
中~大型で長めの形。見た目も触感も多孔質。
ゆでた後も弾力や腰を保ち、均質。

国産の硬質小麦をプーリアやバジリカータで粉にして、グラニャーノで乾麺にする、というケースが多いようです。
特にパッケリは上位はほとんどがグラニャーノのメーカー。

そんなグラニャーノの優れたアルティジャナーレのメーカーたちの中で、1位に輝いたパッケリは
同点1位が2製品。
ジェンティーレとカンピの製品でした。

ジェンティーレ
 ↓



カンピ
 ↓


どちらもグラニャーノのメーカーで、ジェンティーレは1876年創業。
硬質小麦はバジリカータ産のセナトーレ・カッペリ。
大型で内側も外側もざらざらした完璧なパスタ。
高級感あふれる濃い青い色のパッケージが目印。

一方カンピは代々製麺業の家系の兄弟が2007年に創業した若い会社。

同点3位はアフェルトラとファエッラ。
コストパフォーマンスも同点1位。
値段はカンピのパッケリのほぼ半額。

アフェルトラ
 ↓


ファエッラ
 ↓


アフェルトラは2005年にイータリーのチェーンに入ったグラニャーノのメーカー。
パッケリは小型で、イタリア産とカナダ産の小麦をミックスして使用。

ファエッラはカナダ産小麦を使用。

パッケリも個性的な製品が色々あるもんですね。


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“パッケリ”の記事の日本語訳は「総合解説」13/14年9月号に載っています。
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2016年11月4日金曜日

イスキア風カラマラータ

今日はイスキア島の料理の話。

よく言われることですが、イスキア島で農民文化や料理が生まれる島の魂があるのは、海ではなく、島の内陸部。
バカンスの島になる前は、農業が主な産業でした。
 ↓



島で最初に人が住んだ地区、ラッコ・アメーノ。
動画はこちら
最初の住民は、ギリシャ人でした。

島で一番大きな住宅地区、フォリオ。
動画はこちら

島の喧騒から離れたイスキアの最も知られていない地区の入り口、サンタンジェロ。
動画はこちら



イスキア料理。
 ↓


島の料理に、バカンス客が好むカンパーニアの名物料理がミックスされて、都会的で派手な見た目の料理が次々と考え出されているようです。

そんな料理の一つとも言えるのが、グラニャーノのイカリング型パスタとイカの料理、カラマラータ。

イスキアやナポリでは、ヤリイカの旬、つまりちょうど今頃の秋から冬の料理。

偶然、今月の「総合解説」で取り上げたパッケリの記事を訳していて知ったのですが、パッケリやカラマラータのような直径が大きくて内側と外側があるパスタは、乾燥させる時に特殊な技術や経験が必要なので、作るのが難しいんですね。
なので、今はグラニャーノの代名詞のようになっています。

つまり、カラマラータは、おいしいパスタを作る伝統とイカをよく食べる地方ならではの料理なんです。

イスキア風カラマラータ。
 ↓


カラマラータはパッケリより幅が細いので、むしろ扱いやすいかも。

そしてもちろん、はるばるイスキア島まで行って、これを食べなかったら後悔する、という料理が、島一番の名物料理、うさぎ肉のイスキア風。



2500年前にシチリアからイスキアに移り住んだ人たちが、当時島にたくさんいたうさぎを使って作ったと言われる料理。
ポイントは、この料理の主役、島の野草。


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グルメガイド“イスキア”の記事の日本語訳は、「総合解説」13/14年9月号に載っています。
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