2016年9月1日木曜日

キッチン付きボッテガ

今日は「総合解説」の記事、“食品セレクトショップの料理”で紹介した、キッチン付きボッテガのビジュアル解説です。

キッチン付きボッテガとは、イートイン用のテーブルを併設したり、店内にビストロをオープンさせた食料品店。
地元の特別な食材を買いながら店の料理で味や調理方法、他の食材との組み合わせを知ることができて、料理が気に入ったら食材を店で買って、家で作ることもできる。
高級食材をカジュアルに提供し、買い物がてら夕食に出かけるという現代のライフスタイルにもマッチした店。

まず1軒目は、ヴィチェンツァのアルツィニャーノで4代続く肉屋さんに併設されたレストラン。
肉屋さんだけあって、自慢の食材は独自のルートで買い付けるリムーザン牛。




次は、ヴェネトで100年前からアルティジャナーレのチーズを作っている店。
チーズバーとレストラン併設。

ガイド付きのチーズのデグスタツィオーネというコースがあります。



ジェラートマシンの大手、カルピジャーニ社との共同開発の新製品、チーズマスター。
ミルクからフレッシュチーズができちゃう機械。




この他に、ナポリの家族経営の魚屋をミラノに開いてカンパーニアの食材と組み合わせた魚料理を出す店や、フェラーラで、エミリア地方のスペチャリタを販売しながら自家製パスタやサラミなどを出す店。シチリアの星付きシェフが開いた、レストランのソースやパスティッチェリーアなどテイクアウト料理を売る店など、どんな業種でも、アイデア次第でキッチン付きポッテーガができるもんですね。




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“食品セレクトショップの料理”の記事の日本語訳は「総合解説」13/14年7月号に載っています。
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2016年8月29日月曜日

アマトリーチェの地震

今日は久しぶりのイタリア便りです。
segnalibroさんは引っ越し直後で慌ただしい中、状況を知りたいという無理なリクエストに応えて、今回の地震のことを伝えてくれました。
それではお願いします。


こんにちは。ミラノ近郊からヴェネト州の山奥にお引越しを敢行したsegnalibroです。

日本でも大きく報道されているように、8月24日未明に起きたイタリア中部地震。
アマトリーチェの町では、週末に町の名物であるスパゲッティ アマトリチャーナ祭りが控えていたこともあり、通常より多くの人が滞在していたそうです。
そのため、290人以上の方が亡くなり、町は壊滅的なダメージを受けました。
私がいるところは震源から600kmほど離れているので、全く揺れはありませんでしたが、TV等では現地の様子が絶え間なく放送されており、心が痛みます。

アマトリチャーナを食べてアマトリーチェに義援金を送ろうという運動が、日本のイタリア料理店でも広がっていると聞きました。
①②

既にご存知の方も多いと思いますが、イタリア赤十字社では海外からの義援金も受付けており、ペイパルでの決済が可能です。

イタリアの携帯電話からは、災害時に大活躍する政府組織Protezione Civile(災害防災救助隊)を通じて、SMSで€2の募金が可能です。

③

山に越して来て最初にしなければならなかったことは、家族全員の電話番号を市役所に登録することでした。
これは、ここに住む者に義務付けられているそうで、雪崩や土砂崩れなどの前兆があった場合には、州のProtezione CivileからSMSが一斉送信されます。
実際、ほぼ毎週のようにSMSを受信していますが、備えあれば憂いなし。
幹線道路が土砂崩れで毎月のように封鎖されても、関係機関の活躍のおかげで、いつも数時間で元通り。とっても頼りになります。

アマトリーチェの市役所も、義援金の受付口座を開設しています。

④
⑤

お借りした上記2枚の写真は、アマトリーチェの小学校です。
2009年、ここから50km程しか離れていないラクイラで大きな地震が起きました。
この小学校はその3年後、ラッツィオ州が50万ユーロ、市が10万ユーロを負担して2012年9月に完成したものですが、今回の地震で壊滅的に崩れてしまい、耐震建築はどうなっているのかと論争の的になっています。

過去に大きな地震を経験したイタリアの町が、現在どうなっているのかというTVの特集番組を見ましたが、1980年11月マグニチュード6.9の地震に見舞われたカンパニア州イルピニア地方の人々が、35年以上経っても町の復興は終わっていない、と政治家に訴えていたりして、さすがイタリア、を実感します。

天災の事例ではありませんが、第二次世界大戦でアメリカ軍の空爆により町を徹底的に破壊されたフランクフルトの人々が、真っ先に復興を志したのが、彼らの心のよりどころであるゲーテハウスだった、というお話を聞いたことがあります。 使える瓦礫は出来るだけ使い、出来るだけ元あった姿になるよう、再建したそうです。 名物パスタ、アマトリチャーナで広く名を知られたアマトリーチェの町が、イタリアにおける地震からの復興モデルになることを心から祈って、私もわずかながら募金をしようと思います。


segnalibroさん、ありがとう。
ピッツァ・アマトリチャーナは盲点でしたよー。
ピッツァ業界も協力できますね。
イタリアの防災システムも、意外としっかりしているんですね。

アマトリチャーナは、アマトリーチェの農家のおかみさんが、町まで行商に出ながら広めたという歴史があります。

震災直後は、もう終わりだというセンチメンタルな感情ばかりが伝わってきましたが、持ち前の行動力と粘り強さ、そして世界中の人に愛されるアマトリチャーナのパスタやピッツァがあるんだから、あきらめないでほしいなあ。

日本のレストランでも、それぞれができる方法で、何らかの支援ができたら素晴らしいですね。


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2016年8月25日木曜日

ピッツァ・ネラ

イタリアの大きな地震のニュースは、数年おきに伝わってきますが、毎回、瓦礫と化した石の古い建物を見ると、心が痛みます。

今回の地震で被害が大きかった町の一つ、アマトリーチェは、イタリア料理に携わる人なら、イタリアの家庭で一番愛されるパスタソースの発祥の地として、誰もが思い浮かべるはず。
今月の総合解説も、スパゲッティ・アッラ・アマトリチャーナの話題から始めたので、記事で紹介したお勧めレストランは無事か、気になるところです。

さて、今日の話題は、このところ続いたビッツァの話の締めくくり。
黒いピッツァです。




モリーニ・スピガドーロ社はウンブリアの製粉会社。
プロ用や家庭用のカラフルな粉が最近の新製品。
モットーは昔の味の新しい色。



モリーニ・スピガトーロ社のwebページはこちら。
ちなみに、パスタのペトリーニ・スピガトーロ社のwebページはこちら。

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黒いピッツァのリチェッタを含む“ルーカ・アントヌッチ”の記事の日本語訳は、「総合解説」13/14年7月号に載っています。
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2016年8月22日月曜日

天才ピッツァイオーロたち


『ガンベロ・ロッソ』誌のピッツァイオーリ特集の続きです。
イタリアのピッツァ業界は、絶好調のように見えて、その裏で、若手の人材不足と言う悩みも抱えていたんですね。

今のイタリアのピッツァには、ビッツァの母、ナポリ・ピッツァという一大派閥と、食材と五感を徹底的に追及する天才職人によるアルタ・クチーナという2つの大きな流れがあるそうです。

後者の代表は、フランコ・ペペ、ガブリエレ・ボンチという巨匠たち。

さらに、ガンベロ・ロッソが選んだのは、
でんぷんの加水分解のシステムから水と挽割小麦の生地を発酵させることに成功したベニアミーノ・ビラーリ。




水牛のモッツァレッラのホエイを生地に使ったピエトロ・パリージ。




もう、何の話なんだか、全然ついていけないですねー。

そして、ガンベロ・ロッソ誌の表紙を飾っているのは、ナポリピッツァの伝統と未来を結ぶ若手の旗手、チーロ・サルヴォ。




上の二人の天才たちは、どこまでも遠くに行ってしまっているようですが、ナポリの天才は、もっと身近な人のようで、親しみが持てるなあ。




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“ピッツァ”と“ピッツァィオーロ”の記事の日本語訳は、「総合解説」13/14年7月号に載っています。
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2016年8月18日木曜日

イタリアのピッツァイオーロの現状

今日は2013年にガンベロ・ロッソがピッツェリアのガイド本『ピッツェリエ・ディ・イタリア』を初めて発売したことを受けての『ガンベロ・ロッソ』誌の特集記事から。

ピッツァのガイドブックを出した裏には、どんな思いがあったのかが分かる記事でした。

詳細は「総合解説」をご覧いただくとして、ざっとまとめると、こんな内容です。

Pizzaiolo in azione

「ピッツァはとても人気がある食べ物で、イタリア料理を象徴する食べ物でもある。
古くて庶民的な食べ物で、失業者が増えた不況の時代でも売り上げを伸ばしてきた。

最近の料理人は、マスメディアによってロックスターやアーティストのようなシェフ像に作り上げられている。
いわゆるセレブリティーシェフだ。

最近の調査によると、イタリアではピッツァイオーロは6000人不足しているが、イタリアの若者はかまどの前で働きたがらない。
代わりに働いているのは優秀で熱心なエジプト人だ。

現在、イタリアの飲食業界においてピッツァイオーロには何の権威づけも存在しない。
ホテル学校でも、ピッツァイオーロのための授業はない。
ピッツァはイタリアのシンボルのような料理だというのに。
最近になって、ナポリ・ピッツァイオーリ協会は政府にこの分野の功労者の名簿作りに取り組むように働きかけている。

ピッツァは職人の世界で、歴史と経験によって作られてきた。
ナポリのピッツァという一大派閥は誰もが認めるピッツァの母だ。
そしてもう一つ、優れた職人たちが生み出すピッツァがある。
彼らは小麦粉を選別し、気候と生地の関係を研究し、最適なフィオル・ディ・ラッテを選ぶ目を持ち、基本には忠実でありながら、ピッツァをアルタ・クチーナにまで高めることができる。

トッピングをアルタ・クチーナに高めたのは最近のピッツァの革命だった。
そのパイオニアは、フランコ・ペペとガブリエレ・ボンチという二人の巨匠だ。

前者はナポリ・ピッツァ、後者は切り売りピッツァと、その活躍する舞台は違ったが、小麦畑からテーブルにという姿勢と目覚ましい成果は2つの世界を結びつけた。

ガブリエレ・ボンチ氏はこのブログでも何度か紹介しているので、今回はフランコ・ぺぺさんに注目。
一日中粉や酵母のことを研究して、カゼルタ大学の農学部と共同で地元品種の小麦を再生して、すべて地元産の食材でピッツァを作ったという、いわゆるピッツァオタク。

フランコ・ペペのマルゲリータ
 ↓


長い伝統と偉大な先人たちがいる業界で、革新的なことをするというのは、すごいことですね。

カゼルタのカイアッツォにある彼の店、ペペ・イン・グラニは大変なことに。




世界でナンバーワンのピッツァに選ばれることも。




優秀な職人のピッツァイオーロはまだまだいます。
この話、次回に続きます。


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“ピッツァ”と“ピッツァィオーロ”の記事の日本語訳は、「総合解説」13/14年7月号に載っています。
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2016年8月15日月曜日

シャッカ

先月の「総合解説」のグルメ紀行の1つは、マルサラからシャッカへの旅でした。

“カステルヴェラーノのパーネ・ネロ”をこのブログで紹介した時、グラニータとイワシのコラトゥーラが名物の町、シャッカの話をもちらっとしました。

先月号の記事は、マルサラから出発してセリヌンテの神殿を見て、プラネタで昼食を取ってワインを飲んで、カステルヴェトラーノのパンを食べて、シャッカでグラニータを食べる、というかなり完璧なグルメ旅のプランでしたが、今月の「総合解説」には、最後の町、シャッカの有名レストランテのリチェッタを載せています。
そこで、改めてシャッカの紹介です。

シャッカはシチリアの東側にあるアグリジェント県の町。
漁業と観光の町です。
シチリアで一番歴史があるカーニバルと陶器も名物です。



なんてド派手で楽しそうなカーニバル。

シャッカの魚市場。




シャッカの陶器。



乾燥させて一度焼いてから模様を描いてもう一度焼きます。
鮮やかな手書きのデザインが特徴。
こんなデザインの壺に大粒のオリーブ入れたら美味しそう。

肝心のレストランですが、総合解説に載せた店のwebページのアドレスに行ってみてください。
イメージに反する、海の目の前のゴージャスなリストランテで、料理もめちゃくちゃ美味しそうですよ。
ホテルレストランなんですね。

ガンベロ・ロッソのマリネは圧巻だなあ。
リチェッタによると、4人分でエビは800g。
ワインはプラネタ押しのようですね。

下の動画はラ・ヴェッキア・コンツァというシャッカの市場の魚を使った料理を出す店。




シャッカ行きたいなあ。


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シャッカのレストランを紹介した“ペスカート・デル・ジョルノ”の記事は、「総合解説」13/14年7月号に載っています。
グルメガイド、“マルサラからシャッカへの旅”の記事は「総合解説」13/14年6月号に載っています。
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2016年8月12日金曜日

バーカリツアー

今日は新入荷の本、『ラ・クチーナ・ヴェネタ・ディ・マーレ』の話です。


この本は、ニュートンコンプトンという出版社の昔から人気の地方料理シリーズですが、表紙のデザインを一新してモダンになったら、全然別のシリーズのように見えて、みんな気が付いていない、という残念なシリーズなんです。

表紙だけでなく、写真も加わりました。

地方料理をより深く知りたい、という人にはぴったりのシリーズです。

今回入荷したのはヴェネトの魚料理編。

ヴェネトと言えば、まずは、州都ヴェネチア。
世界中の人が憧れる観光地で、ヴェネチア共和国の首都としてアドリア海の女王と呼ばれた水の都。

アドリア海の女王とか、アドリア海の真珠と呼ばれて、ゴンドラが行きかう街で、田舎風の山の幸を食べたいとはあまり思いませんよね。
洗練された、海鮮料理を食べたいなあ。
それに、ヴェネチアにはグラスワイン、オンブラを飲みながらチケーティというつまみを食べるというスタイルのオステリーア、バーカロをはしごする、という、酒飲みで健啖家で、人見知りしない社交的な人にはたまらないシステムがあります。




代表的なチッケッティ、バッカラ・マンテカート。




私のヴェネチア料理のイメージなんて、せいぜいその程度でしたが、この本の料理は、私のそんな期待を裏切らなかったですよ。

まず、前菜は、Antipasti(cichéti)という表記。
ホタテ貝だけで9品あります。
さらに、ホタテ貝のヴェネチア風や、ビーゴリのヴェネチア風など、~のヴェネチア風と言う料理もたくさん収められています。

個人的は、バーカリツアーは大好きなんですが、地元の人で満員の店内で、ワインと料理を注文してカウンターに陣取るというのが、精神的に大変なんですねー。
お客が少ないレストランでのんびりシャコのマリネでも食べてるほうが落ち着けます。

でも、客引きが溢れるヴェネチアのレストランで、空いているからという理由で飛び込んだら、ろくな結果にならないのは目に見えています。
なので、事前の情報収集は必須です。
「総合解説」でも、お勧めバーカロの情報は、あったらなるべく翻訳するようにしています。
最近では、13/14年3月号に載せています。


おまけの動画。
バーカリツアーのショートフィルム。




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サーモンのベルガモットマリネ入りのミカンのリゾット。柑橘果実の活かし方をよく知っているのが南イタリア。

みかんのリゾットの話。まずは米の“ヴィアローネ・ナノ”について見てきましたが、次はみかんです。 みかんは今回はbergamottoと指定されています。 ベルガモットはミカン属の柑橘類。柑橘類を使うリゾットは各種ありますが、ミカンのリゾットは見たことなかったです。それにちょっと食べ...