2009年8月17日月曜日

リチェッタをイタリア語で読む(2)

それでは2つ目の文章。
今回からは、もう少し細かく訳してみます。


Rompere le tre uova intere in un piatto e sbattere bene.


■Rompere(割る) le tre(3個) uova(卵) intere(まるごとの) in(中で) un piatto(1枚の皿) e(そして) sbattere(溶く) bene(よく).

・・・全卵3個を皿に割り入れてよく溶く。

卵を「溶く」は、sbattere
卵を「泡立てる」は、montare
卵を「堅く泡立てる」は、montare a neve

ちなみに、uova は「卵」の複数形。
卵が1個なら、“un uovo”。

リチェッタの場合、“un uovo”は、「卵」、と訳すのではなく、「卵1個」、と訳します。

日本人は、名詞の前に“un” という言葉がついていても、ついつい見落としがちです。
冠詞というのは、日本語にはあまり馴染みがない言葉ですもんね。
でも、リチェッタの場合、材料の前についている“un”は無視しないようにしましょう。



3つ目の文章。

Porre sul fuoco una pentola con abbondante acqua salata e quando alzerà il bollore lessare gli spaghetti.


■Porre(置く) sul(上に) fuoco(火) una pentola(鍋) con(…付きの) abbondante(たっぷりの) acqua(水) salata(塩を加えた) e(そして) quando(…の時に) alzerà (上がる) il bollore(沸騰) lessare(ゆでる)gli spahetti(スパゲッティ).

・・・鍋にたっぷりの水と塩を入れて火にかけ、沸騰したらスパゲッティを入れてゆでる。


特に難しい文章ではないですよね。
文字通りに直訳していけば訳せます。



グアンチャーレをソッフリットにして、スパゲッティをゆでるところまで訳しました。
ここでちょっと休憩。

グアンチャーレを
“soffriggere”(軽く炒める)のではなく、
“fare soffriggere”(軽く炒めさせる)、つまり放っておく、ということが分かる動画をどうぞ。

このシェフは、オリーブオイル、グアンチャーレ、黒こしょうをフライパンに入れてから火にかけてソッフリットにしています。

卵は1人分につき1個。
「un uovo」と言っていますね。

卵を溶く時に、こしょう少々、ペコリーノ(熟成の短いもの)、パルミジャーノを加えています。





リチェッタの訳し方、次回に続きます。



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2009年8月14日金曜日

リチェッタをイタリア語で読む(1)

イタリア料理のリチェッタをイタリア語で読む。
今回から実践編です。


それでは、アンナ・ゴゼッティ・デッラ・サルダの『レ・リチェッテ・レジョナーリ・イタリアーネ』から、短くて簡単な「スパゲッティ・アッラ・カルボナーラ」を訳してみましょうか。
P.696に載っています。
リチェッタ番号は1364。



SPAGHETTI ALLA CARBONARA

Ingredienti; dose per 4 persone
spaghetti gr.400
guanciale(ganascia di maiale) gr.150
3 uova
3 cucchiaiate di parmigiano grattugiato
3 cucchiaiate di pecorino grattugiato
pochissimo strutto(o olio d'oliva o burro)
aglio - sale - pepe nero



まずは材料。
単語を出てくる順番に並べてみました。

Ingredienti : 材料
dose : 量
per 4 persone : 4人分
spaghetti : スパゲッティ
guanciale : グアンチャーレ
ganascia : あご
maiala : 豚
uova : 卵
cucchiaiate : 大さじ
parmigiano : パルミジャーノ
grattugiato : おろした 
pecorino : ペコリーノ
pochissimo : ごく少量
strutto : ラード
olio d'oliva : オリーブオイル
burro : バター
aglio : にんにく
sale : 塩
pepe nero : 黒こしょう


グアンチャーレ, photo by scottpartee


特に難しい単語はないですよね。

イタリアの料理書の場合、「大さじ1」とか「1カップ」と書いてあっても、計量スプーンや計量カップで1杯という意味ではありません。
中には大さじ1杯の正確な量を記載している本もありますが、普通は食事に使うスプーンやカップで1杯、という感覚です。


次は作り方。

最初の文章は、

Tagliare a dadolini il guanciale e farlo soffriggere in un largo tegame unto di strutto; unire uno spicchio d'aglio schiacciato e levarlo quando sarà ben rosolato.


ちょっと長いので、短く区切ってみます。

■Tagliare(切る) a dadolini(小角切りに) il guanciale(グアンチャーレを)

・・・グアンチャーレを小角切りにする。

「角切り」は、
dado(角切り)>dadolino、またはdadino(小角切り)>brunoise(ブリュノワーズ)
の順で小さくなります。



■farlo soffriggere(それをソッフリッジェレさせる) in un largo tegame(広さのある浅鍋で) unto di strutto(ラードを塗った)

・・・ラードを入れたソテーパンでグアンチャーレをソッフリットにする。

「soffriggere(ソッフリッジェレ)」は、油で炒めるというよりも、油に材料を入れて、かき混ぜずに弱火でじっくり熱して、素材の水分を出す調理方法。
イタリア料理の基本中の基本。
「しんなり炒める」というような意味なのですが、詳しく言うと、ちょっと違います。
そのヒントは、「farlo soffriggere」、“lo(それ)”を“fare soffriggere”(ソッフリッジェレさせる)という表現。
つまり、火にかけて放っておけば、あとは勝手にソッフリットになる、という隠れた意味があります。
「あなたが」炒めるのではなく、「グアンチャーレに」ソッフリッジェレさせる、というニュアンス、分かるでしょうか。


「largo tegame(広さのある浅鍋)」は、ソテーパンのこと。
ちなみに、フライパンは「padella(パデッラ)」で、鍋は「pentola(ペントラ)」



■unire(加える) uno spicchio d'aglio schiacciato(潰したにんにく1片を)

■levarlo(それを取り除く) quando sarà ben rosolato(しっかり焼き色がついたら)

・・・潰したにんにく1片を加え、しっかり焼き色がついたら取り除く。


「levarlo」は“levare”に“lo”がくっついています。
「farlo」もそうですが、イタリア語は同じ言葉を繰り返し使うことを嫌います。
そこで、2度目の時は、こうやって代名詞にしてしまうんですね。
levarlo の lo は“にんにく”、farlo の lo は“グアンチャーレ”のことです。


ここまでをまとめると、

「グアンチャーレを小角切りにしてラードとにんにくでソッフリットにし、にんにくに焼き色がついたら取り除く。」


次回に続きます。



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2009年8月10日月曜日

『レ・リチェッテ・レジョナーリ・イタリアーネ』

今日のテーマは料理のイタリア語。

イタリア料理にかかわる人にはおなじみの本、アンナ・ゴゼッティ・デッラ・サルダ著の『レ・リチェッテ・レジョナーリ・イタリアーネ』。
この本のリチェッタを、イタリア語で読んでみましょうか。

LE RICETTE REGIONALI ITALIANE
『LE RICETTE REGIONALI ITALIANE』
Anna Gosetti della Salda


この本が出版されたのは、今から約40年前の1967年。
この頃のイタリアは、日本と同じで「奇跡」とまで呼ばれた戦後の経済復興期です。
古くからの伝統もまだ残っていて、さらに新しいものもどんどん生まれている時代。

そんな時代に、イタリア各地の実践的な家庭料理を大量に集めた本として出版され、大ヒットしたのがこの本です。
現在に至るまで、ずっと読まれ続けています。

1,200ページもある大作。
イタリア料理のバイブルと呼ぶ人もいます。
イタリアでは、この本をプレゼントとして料理好きの人に贈ったりすることもあるようですね。

著者は、『ラ・クチーナ・イタリアーナ』誌のニ代前の編集長。
この本を出版した時はすでに編集長で、その後1981年まで現役でした。
各リチェッタは編集部のキッチンで検証して、配合などを確認しているそうです。

イタリア料理は家庭ごとにリチェッタが違うと言われるほどですが、その中から1つを選ぶために、著者は4年かけて、各地で本物のリチェッタを知っている、信頼できる人を探しました。
それでも“正しい”リチェッタというものは存在しないので、バリエーションは他にも色々あるということを常に指摘しています。
また、地方ごとに分けた料理書にしたのは、一般化した“イタリア料理”ではなく、貴重な食文化を守りたかったからだ、とも書いています。


次回は、この本の中から、リチェッタを1つ選んで読んでみます。




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アンナ・ゴゼッティ・デッラ・サルダ著『レ・リチェッテ・レジョナーリ・イタリアーネ』はクレアパッソで販売中(お取り寄せになります)。


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2009年8月6日木曜日

マタロッコ

マルサーラの話、その2です。

今日はマルサーラ料理の話。
『クチーナ・エ・ヴィーニ』の記事の解説です。

記事の中で、マルサーラの名物料理として紹介しているものの一つが、“マタロッコ”。
記事によると、「塩田で働く人たちが暑い夏の朝に食べていた一品で、いわばシチリア版のガスパチョ」。

シチリアは、長くスペインの支配を受けていました。
たとえば、ババの話の時にも出てきたスペイン・ブルボン家は、1861年にイタリアが統一されるまでシチリアを支配していました。
そのため、料理にもスペインの影響が見られます。

マルサーラ市にはマタロッコという名前の町があるんですが、この町に縁のある料理なんですかねえ。

マタロッコは、一般的にはトマト入りの“ペースト”として知られています。
スパゲッティのサルサにしたり、田舎パンにのせてクロスティーニにするのが代表的な食べ方。

『Grandi Enciclopedia Illustrata della Gastronomia』(Mondadori)によると、
「“マタロック Mataroccu ”はマルサーラ地方で作られているシチリア風ペーストのこと。
一部の材料はリグーリアのペーストと同じ。
“ファヴィニャーニのペースト”とも呼ばれる」
(ファヴィニャーナはモツィアの西にあるマグロ漁で有名な島)

『Grandi Enciclopedia』で紹介しているリチェッタ(4~6人分)は、

バジリコ1杷、にんにく3片、松の実60g、プレッツェーモロ少々、セロリの葉数枚、刻んだトマト数個分、シチリア産の風味の強いEVオリーブオイル、塩、こしょうを乳鉢ですり潰す。


火を使わない夏向きのサルサですね。
唐辛子入りやペコリーノ入りのリチェッタもあります。
ミキサーを使う時は攪拌し過ぎないのがポイントとか。


これを冷たいスープにしたリチェッタは、こちらのサイトのものを訳してみます。

・にんにく6片、バジリコ、塩少々をすり潰し、皮と種を取った完熟トマト6個、オリーブオイル少々、こしょうを加えてさらにすり潰す。
・別の容器に移し、水で薄めてスープ状にする。
・サラダ用のトマト2個を小さく切って加え、スープ皿に注ぐ。
・乾燥した(またはトーストした)硬質小麦粉のパンを浸しながら食べる。


ガスパチョとはちょっと違うスープですが、真夏に炎天下の塩田で働く人にはピッタリな一品ですねー。
おそらく、海運国だったジェノヴァの人たちがシチリアにペーストを伝えて、そこでスぺインの食文化がミックスされて生まれた料理なんじゃないか、と想像できます。

実はこの料理、トラーパニでは“アッギア・ピスタータ Agghia pistata ”と呼ばれています。
「潰したにんにく」という意味。
にんにくをたっぷり利かせるのもスペインの影響と言われています。
トラーパニ近郊のヌービアは、赤にんにくの産地として有名なんですが、このにんにく、普通のものより香りが強いのが特徴。
そのにんにくをたっぷり使います。


こちらの写真はちょっと分かりにくいですが、
「マタロッコとエビのブジアーテ」。

マタロッコとブジアーテが何か知らない人には、まったく意味不明の料理名ですねー。
でも、もしマルサーラでこんな料理に出会ったら、とりあえず食べておくべきかも。

ブジアーテとは、生地を編み棒(ブーザ)に巻きつけて作ったところからこの名がついたパスタ。
伝統的には硬質小麦粉で作ります。

細く伸ばした生地を棒に巻きつけてカールさせるブジアーテ作りの作業。

ブジアーテで一番有名な料理は、「トラーパニ風ペーストのブジアーテ」。
トラーパニ風ペーストはアーモンドが入ります。

スローフード出版の『Ricette di Osterie e Genti di Sicilia』より、
トラーパニのカンティーナ・シチリアーナ(hp)のリチェッタをどうぞ。

ブジアーテ・アル・ペースト・トラパネーゼ Busiate al pesto trapanease
材料:4人分
 生麺のブジアーテ・・600g
 ソース用の完熟トマト・・500g
 バジリコ・・8枚
 にんにく・・6片
 皮むきアーモンド・・40g
 おろしたペコリーノ・・100g
 EVオリーブオイル
 塩、こしょう

・にんにく、バジリコ、アーモンドをすり潰しながらオリーブオイルを加える。ガラスの器に移してペコリーノ少々を加える。
・トマトの皮を湯むきして種を取り、刻んで乳鉢ですり潰す。これをペーストに加え、塩、こしょう、オイルで調味する。
・パスタをアルデンテにゆでてペーストで和える。




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関連誌;『クチーナ・エ・ヴィーニ』2008年2月号
“マルサーラ”の記事の解説は、「総合解説」'07&'08年2月号、P.33に載っています。


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2009年8月3日月曜日

マルサーラ

今日はマルサーラ(マルサラ)の話。
『クチーナ・エ・ヴィーニ』の記事の解説です。

マルサーラは、シチリアの西の端にあるトラーパニ県の町。
wikiによると、シチリアでは、パレルモ、カターニア、メッシーナ、シラクーザに次いで5番目に人口の多い町です。
ということは、トラーパニ県の県都、トラーパニより人口が多い。
つまり、実力で言えば、“トラーパニ県”ではなく“マルサーラ県”が妥当なところなんです。
マルサーラの人たち、こんな悔しい思いを100年間も抱えています。
料理の世界でも、“トラーパニ風”と名のついたものは往々にして“トラーパニ県風”であって、マルサーラでも作られているものがよくあります。
つまり、世が世なら、“マルサーラ風”と呼ばれていたかもしれない訳です。


『クチーナ・エ・ヴィーニ』の記事で、マルサーラの観光ポイントとしてまず紹介しているのは塩田です。
中でも、エットーレ Ettore とインフェルサ Infersa の塩田の風車。


マルサーラの塩田





トラーパニ県の塩田については以前も書きましたが(こちら)、塩をお土産に買う時は、Sale marino artigianale di Trapani を選ぶこと。
そして、安い手作り天然塩というのはあり得ない!ということを忘れずに。


次のお勧め観光ポイントは、塩田の向かい側にあるモツィア。
サン・パンタレオ島 San Pantaleo というのが正式名。


島のウィテカー博物館の目玉は、紀元前に作られた大理石のギリシャ風青年像、ジョヴィネット giovinetto。





マルサーラの街の中心は、レプッブリカ広場。
下の動画は広場から中継のTV番組。
パチェーコのメロン、ヌービアの赤にんにく、カステルヴェトラーノのパーネ・ネロ、チェーチの粉の生地を揚げたパネッレ、揚げ菓子のスフィンジ、羊乳のパスタ・フィラータチーズ、いちご、野いちご、神父さまが造るミサ用のワイン、カッサータなど、トラーパニ県の名産品を紹介しています。





記事の中でマルサーラのパンとして紹介されている“スクアラート squarato ”はこれ。


マルサーラ旧市街のお勧めレストランとして紹介されているのは、トラットリーア・ガリバルディ。
ホームページはこちら。
メニューを見ると、プリーモ・ピアットになかなか面白そうな料理を揃えてます。
魚のクスクス
マルサラ風ラグーのタリアテッレ
イワシのパスタ
魚のソースのブジアーテ
マグロのラグーのブジアーテ
などがありますねえ。




マルサーラの西にある島、マレッティモのリストランテ・イル・ティモーネの“カンパチとアーモンドのブジアーテ”
photo by The artist previously known as flickrsucks


ブジアーテはトラーパニのパスタとして知られているようですが、これも正確にはトラーパニ“県”のパスタなんでしょうね。
ちょっと不憫なマルサーラ(笑)。




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関連誌;『クチーナ・エ・ヴィーニ』2008年2月号
“マルサーラ”の記事の解説は、「総合解説」'07&'08年2月号、P.33
に載っています。


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2009年7月30日木曜日

カスティリオン・デル・ボスコ

今日はワインの話。
『クチーナ・エ・ヴィーニ』の記事の解説です。

今回取り上げるのは、カスティリオン・デル・ボスコ Castiglion del Bosco 。

最近注目を集めているモンタルチーノのワイナリーで、代表的なワインはブルネッロ・ディ・モンタルチーノ・“カンポ・デル・ドラゴ” Campo del Drago ”。
hpはこちら。


エノロゴはチェチーリア・レオネスキさん。
この人。

カスティリオン・デル・ボスコは何と言っても、
「あのフェラガモのワイナリー」
というのがうたい文句。

フェラガモと言えば、イタリアが誇る有名ファッションブランドの一つですよね。
本拠地のあるフィレンツェには、フェラガモ博物館もあります。

フェラガモは、カンパーニア生まれのサルヴァトーレ・フェラガモさんが一代で築き上げたブランド。
15歳でアメリカに渡り、ハリウッドスター御用達の靴職人として大成功。
その後イタリアに戻り、フィレンツェで開業。
1960年に没した後は、妻や子供たちが事業を受け継ぎ、今では同族経営の会社として、手広く事業を展開しています。


カスティリオン・デル・ボスコを経営するのは、サルヴァトーレ・フェラガモ氏の末息子で、フェラガモUSAの社長、マッシモ・フェラガモ氏。

彼がカスティリオン・デル・ボスコを手に入れたのは2003年のこと。

『クチーナ・エ・ヴィーニ』のインタビューで彼は、
「カスティリオン・デル・ボスコとフェラガモのブランドは、まったく別のものだということを、皆さんにはぜひ知ってもらいたい」
と言っています。
でも、それは無理な話ですよねえ。
誰もが、「フェラガモのワイン」て記憶しますって。

マッシモさんはこうも言っています。

「ブルネッロを造るという楽しい冒険は、冗談から生まれたようなものでした。
友人たちの小さなグループで、ぶどう畑と賃貸用の田舎家のある農園を買いたいと思っていたところに、たまたまカスティリオン・デル・ボスコを手に入れる機会が巡ってきたのです」

冗談から始まったという話は、成功したワイナリーの裏話としては、よくあることです。
友人たちと農園を買おうと思っていたというのも、まあそう珍しい話ではありません。
でも、たまたま機会があって手に入れたというその土地が、“1,700ヘクタール”ですよ!
ニューヨークのセントラルパークの5倍で、モナコ公国の9倍ですよ!
しかもモンタルチーノと言えば、世界遺産ヴァル・ドルチャの一部ですよ!
そんな場所でこれだけ広大な土地を買うって、どんだけ話がでかいんですか。
こりゃもう完全に、セレブの世界の話ですよ。
何が楽しい冒険ですか。

しかも、さすがはバリバリの実業家。
その広大な土地を手に入れて、さっそく、まったく新しいビジネス展開を思いついちゃったんですねー。
つまりこの土地を、イタリアのワイン業界では初の“会員制クラブ”にしたんです。

詳しいことは知りませんが、なんでも、会員はこの土地を所有する株式会社に投資して、この土地の別荘、ホテル、ゴルフ場などを利用し、かつ、ワインなどから上がった利益の配当を受ける、というシステムのよう。

世界遺産になっている場所でゴルフ場やワイナリーの権利を所有して、しかもそのワインが極上品とくれば、きっと世界中のお金持ちは、ちょっと趣味で投資してみようか、なんて気にもなるってもんです。
お見事ですねー。
さすがはフェラガモ魂。
私だって、もしどこかの大金持ちの親戚が遺産でも残してくれたら、ちょっと一口買ってみようかなんて気になっちゃいますよ。

土地の価値を高めるためにマッシモ氏が取った戦略の一つが、モンタルチーノで最高のワインを造れ!というもの。
フレスコバルディのエノロゴ、ニコッロ・ダッフリット氏を顧問に迎えるなど最高のチームを揃えて、本腰を入れて取り組んでます。

ワインの品質が資産の価値に結びつくとしたら、経営者としては手が抜けないですよね。
消費者にとってもいい話。
この世界的な不況の時代に、実業家が造る新しいブルネッロがどう進化していくのか、なかなか面白そう。


カスティリオン・デル・ボスコの施設の一部。
撮影してる人は会員さんですかね。





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関連誌;『クチーナ・エ・ヴィーニ』2008年2月号
“カスティリオン・デル・ボスコ”の記事の解説は、「総合解説」'07&'08年2月号、P.38に載っています。


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2009年7月27日月曜日

アイモ・エ・ナディア

今日はミラノの有名レストランの話。
『ア・ターヴォラ』の記事の解説です。

店の名前は、イル・ルオーゴ・ディ・アイモ・エ・ナディア。

アイモとナディアというご夫婦の店。
夫婦と言うと、普通はどちらか一方がシェフでどちらかがサービス担当、というケースが多いですが、この店は二人ともシェフ。

2008年、店の厨房にて。
中央がアイモさん、その左がナディアさん。


アイモ・モローニ氏は、1934年トスカーナで生まれ、第二次大戦後にミラノに移りました。
お母さんはトスカーナの貴族の家の料理人だったそうです。
アイモさんは13歳で皿洗いから始めたバリバリの生え抜き料理人。
自分の店を持ったのは、1955年のこと。
“ダ・アイモ”という店でした。
すでにナディアさんもいました。
そしてその後、店名を現在の“アイモ・エ・ナディア”に変えて、場所も現在の場所に移ります。
現在、ミシュランでは2つ星を獲得しています。

50年もの間名声を保ち、そして75歳の今なお現役(調理は若手に任せているようですが)というのは、ほんとにスゴイ!
しかもその間、夫婦はいつも一緒。
アイモさんは奥さまのことを、恋人で友人で一番難しい客、と言っています。
おしどり夫婦ですねえ♪


アイモ・エ・ナディアの料理の特徴は、まず、超高価なものや奇をてらった食材ではなく、けれども選び抜いた食材を使うということ。
さらに、それらは深く考えられた、斬新で洗練された方法で料理に仕上げられているのに、なぜか懐かしさやぬくもりを感じる、ということ。
それは、1965年から出しているという店の名物料理、“葉玉ねぎと唐辛子のスパゲッティ”にも表れています。

こんな料理。

一見、地味なスパゲッティですよね。
でも実は・・・、
このスパゲッティは、以前このブログで紹介したこともある“セナトーレ・カッペッリ”という硬質小麦を使ったものです。
薪で焼いたパンのような香りと、煮崩れしない腰の強さが特徴。
葉玉ねぎは、赤玉ねぎで有名なカラプリアのトロペア産。
これを千切りにして、ローリエ、にんにくと一緒に野菜のブロードで炒め煮にします。
火から下ろしたら生唐辛子を少量加えて辛味をプラス。
スパゲッティを入れた後、マンテカーレに加えるパルミジャーノはストラヴェッキオ。
一緒にパキーノトマトも加えます。
そして仕上げに散らす香草はバジリコ。
他にタイムとプレッツェーモロも入っています。


店のhpでは、この葉玉ねぎのスパゲッティを含むいくつかの料理が紹介されています。


こちらはアイモ・エ・ナディアの料理集。
表紙の料理、パッションフルーツに詰めた“サンレモエビのマリネ”もスペチャリタの一つ。




アイモ・エ・ナディアに食事に行くラッキーな機会に恵まれたら、葉玉ねぎのスパゲッティとサンレモエビのマリネを味わうのをお忘れなく。



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関連誌;『ア・ターヴォラ』2007年2月号
サンレモエビのマリネを含む“アイモ&ナディア”のリチェッタは、「総合解説」'07&'08年2月号、P.16に載っています。


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柑橘果実と魚がベースのプリーモに合わせるワイン。

サーモンをベルガモットでマリネしてリゾットの具にした料理。 主役はベルガモットと言う柑橘果実。 カラブリアのベルガモット カラブリアのベルガモットは香水に使われている場合90%を占めているほど香水界隈では超有名。果実はなかなか美味しそうだけど、食用や飲用にはならない、つまり食べら...