トスカーナのヴェルメンティーノの話の時、コルドーネ・スペロナートというぶどうの樹を短く選定する方法の話が出ましたが、サルデーニャでは、ぶどうの樹は低く育てていました。
“アルべレッロ”と呼ばれる方法で、南イタリアで普及しているブドウの木の栽培方法です。ぶとうは、太陽の熱だけでなく、地面からの熱も受けて熟します。
この方法は、ギリシャ人によってヨーロッパに伝わり、サルデーニャには長く過酷なスペイン占領時代にスペイン人によってもたらされました。
この方法だと、よく熟した糖分の高いぶどうができ、ワインはアルコール度が高く、強くて頑丈なボディーで、酸味が少ない熱いワインになります。アルべレッロは20世紀後半まで続きました。
アルべレッロ。
1970年代になると、サルデーニャのワインが根底から変わり出します。市場の要求に合わせて、もっと優しいワインを造ろうという潮流が生まれたのです。軽く、フレッシュで香りがよく、すぐに飲めて、上品で、夏の海辺のテーブルにピッタリのワイン。しかし、この種のワインには強い個性がなく、他のワインと区別しにくい、という欠点もあります。
ヴェルメンティーノ・ディ・ガッルーラは市場の新しい要求に応じて生まれたワインですが、とても個性的です。
ヴェルメンティーノ・ディ・ガッルーラ。
ガッルーラ地方は、花崗岩質で風が強い乾燥した土壌。香りが良くてアルコール度が高いワインができます。これはアルべレッロで栽培されるぶどうの特徴と同じですねー。
ここでポイントになるのは、ガッルーラという地名。19世紀末にコルシカを経由してイベリア半島からガッルーラに伝わったぶどう、ヴェルメンティーノは、そこが理想的な地でした。さらに島中に広まります。
ヴェルメンティーノのルーツにはいくつか説があり、リグーリアの土着品種で、チンクエテッレでピッカボンと呼ばれていたぶとうが、地元のヴェルナッチャとして使われていたという説があります。このぶとうはティレニア海沿岸では広く普及していて、スペインの北東部からラツィオにまで広まっています。
サルデーニャでは平野でも丘陵地でも栽培されています。北部のアルゲーロ地区ではフレッシュで優雅なワインになり、石灰質の土壌のカリアリ近辺ではミネラル風味のアロマのあるヴェルメンティーノになります。ヴェルメンティーノ・ディ・ガッルーラが作られる土壌、朽ちた花崗岩はワインに独特のミネラル風味を与えます。
ミネラル風味、フレッシュ、香りがよいというのは魚や野菜に合うワインの条件。貝のプリーモ・ピアットや、もっとデリケートな生魚にも合います。
セッラ&モスカのエノロゴが語るヴェルメンティーノ・ディ・ガッルーラ。
エノロゴはワインの知識だけじゃなく、ワインの飲み方も熟知してるんですねー。彼が飲んでると、なんとも美味しそう。美味しい魚利用理には、上質の白ワインを組み合わせて。
この話は、(CIR2023年8月号)の料理、“スズキのヴェルナッチャ風味”の解説です。料理の日本語のリチェッタと写真はP.21。
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