2014年7月24日木曜日

パスクエッタの子羊

「総合解説」2012年4月号の記事から、まずは“バスクエッタの子羊”について、ちょっと解説です。

“パスクエッタ”。
直訳すれば小さなパスクア。

パスクアは、ご存じのとおり復活祭のこと。
キリスト教の世界のみならず、イタリアの地方料理の世界では、クリスマスに次いで重要な祝日です。
毎年、春分の後の最初の満月の次の日曜日が復活祭です。
来年2015年は、4月5日。

そしてパスクエッタというのは、復活祭の翌日の月曜日のこと。
天使の月曜日とも言います。
この日も祝日で、復活祭と同じく、子羊料理を食べる地方が多いようです。
これってもしかしてだけど、天使angeloと子羊agnelloをかけたイタリアンギャグじゃないの?
あっ歌える。

復活祭はまだ続いていますが、月曜は家族総出で郊外にピクニックに行く日。

パスクエッタの日に食べる子羊料理として『ラ・クチーナ・イタリアーナ』で紹介したのは、プーリアのムルジェ地方の料理。

とんがり屋根の石の家、トゥルッリで知られる広大な高原地方ですね。
羊の放牧やオリーブや果樹の栽培が盛んで、子羊料理の本場。

トゥルッリ




この地方で月曜に食べるのがパスクエッタの子羊ですが、日曜の復活祭の日に食べる子羊料理は、cutturiedde(クットゥリエッデ) 別名、agnello alla caldarella(子羊のカルダレッラ煮)という違う料理。

カルダレッラとは、バケツの取っ手を左右につけたような形の鍋です。
これに子羊肉とチコーリア・セルヴァティカ、トマト、水や牛乳を加えて弱火でじっくり煮込んだもの。
祝日のご馳走というイメージとは程遠い、質素な羊飼いの料理です。

ムルジェ料理には欠かせないチコーリア・セルヴァティカ。
その見つけ方を教える動画。
この広大な草原の中から見つけるなんて。



煮るとこんな風。
ほろ苦くて柔らかい歯ごたえの小松菜みたい。
荷さの奥にある旨みがやみつきになる味。





チコーリアの代わりにグリーンピースをたっぷり加えて、オーブンで焼くのがパスクエッタの子羊、別名ヴェルデッテ。
仕上げに溶き卵をかけるので、卵の黄色とグリーンピースの緑色のコントラストがきれいな一品。

ムルジェの人々にとって、この料理は天使の月曜日のピクニックに欠かせない一品なんだそうです。
鍋ごとオーブンで焼いた料理をピクニックに持っていくって、どんなピクニックなんでしょうか。


こんなピクニックでした。
 ↓




おまけの動画。
パスクエッタのピクニックにお勧めの冷めてもおいしいパスタ

なるほど、たっぷり風味をつけたパン粉でパスタを和えるんですね。
一般的なのは、前日のパスタの残りで作るフリッタータですが、これは珍しい。
パスタもお弁当のおかずになるでしょうか。

時期的に、日本のお花見と同じくらいの季節ですかね。
どうやら、ピクニックに行きたい気分になるのは国籍を問わないよう。
さらに、イタリアにはまだ、国民が総出でピクニックに行く日がありました。
いつだと思います?
その話は次回に。


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関連雑誌;『ラ・クチーナ・イタリアーナ』2012年4月号、“パスクエッタの子羊”のリチェッタを含む日本語解説は、「総合解説」2012年4月号に載っています。

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