モデナのバルサミコ酢を巡る旅、その5です。
今日は、トラディツィオナーレのバルサミコ酢の製造方法の話。
情報は主に、アチェート・バルサミコ・トラディツィオナーレ・ディ・モデナ管理組合のhp(こちら)からの引用です。
トラディツィオナーレのバルサミコ酢は、モデナの場合はモデナ県、レッジョ・エミリアの場合はレッジョ・エミリア県で栽培されたぶどうから作られます。
生産過程もすべて県内。
ぶどう品種はランブルスコやトレッビアーノが中心で、他にアンチェッロッタ、ソーヴィニヨン、スガヴェッタ、ベルツェミーノ、オッキオ・ディ・ガッタという品種の使用が認められています。
白ぶどうも黒ぶどうも一緒に使うんですね。
これらのぶどうを破砕して果汁を搾ったら、80度以下で、蓋をせずにじっくり加熱して、50%ほどに煮詰めます。
エンマ荘の話で紹介したファットリーエ・ジャコバッツィではこんな感じで行っています。
こうして糖分を凝縮したぶどうの果汁は「モスト・コット」と呼ばれます。
これをデカンターレしたら樽に移し、屋根裏部屋で何年も寝かせるわけですね。
1年目のモスト・コットは一番大きな樽に入れ、一回り小さな樽へとモストを足しながら寝かせます。
その間に、糖分がアルコール発酵してアルコールが生成され、それに酢酸菌が作用して酢酸発酵が行われ、酢になります。
スターターなどは一切加えません。
ひたすら時間をかけて、酢になるのをじっと待ちます。
そして熟成させます。
だから最低でも12年かかるんですねえ。
製造過程のイラスト
バルサミコ酢は、シェリー酒のように、古い樽の減った分を新しい樽から足していく、という製法ですが、ワインと違うのは、樽のおなかに四角い穴があいているということ。
ここからモストが蒸発していくわけです。
屋根裏部屋で寝かせるのも、風通しがよくて、夏は暑く冬は寒いという環境が、水分の蒸発に最適だから。
樽の穴にはガーゼなどの白い布をかぶせ、さらに重石をのせます。
『ラ・クチーナ・イタリアーナ』の記事で紹介されていたエンマ荘の場合、手編みのレースをかぶせていましたね。
この穴があるために、部屋に入る人は、白衣と帽子とシューズカバーで完全防塵です。
こういう具合。
↓
http://www.flickr.com/photos/suzannegrider/2316179039/
記事にも登場したエンマ荘のファットリーエ・ジャコバッツィの母娘です。
最低12年寝かせたバルサミコ酢は、厳格な品質検査の後、法律で定められた100ml入りの容器に詰めて出荷されます。
管理組合のhpには、製造過程の詳しい動画もあります。
hpからADSLを選び、VIDEO/PHOTO→VIDEO ISTITUZIONALEをクリック。
こちらはレッジョ・エミリアのアチェート・バルサミコ・トラディツィオナーレの熟成部屋。
サン・ジャコモという作り手です。
hpはこちら。
一方で、トラディツィオナーレでないバルサミコ酢の場合は、熟成期間は数年か、まったくなし。
そのため、ワインビネガーなどを加えて発酵を促したり、カラメルなどの着色剤を加えて濃い色をつけます。
次回はバルサミコ酢のびんの話です。
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関連誌;「モデナのバルサミコ酢を巡る旅」は、『ラ・クチーナ・イタリアーナ』2006年3月号(2008年3月現在、クレアパッソで販売中)の記事を解説しています。
記事の日本語訳は「総合解説」に載っています。
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2008年3月19日水曜日
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