今日から6月号の話です。
最初の話題は、ペッレグリーノ・アルトゥージ。
『サーレ&ペペ』の記事、「アルトゥージのチェーナ」は、彼のリチェッタをモダンに再現したもの。
今月配本号の「総合解説」に日本語訳を載せました。
(「総合解説」とは、クレアパッソで販売している雑誌に添付されている日本語解説のことです。)
ペッレグリーノ・アルトゥージは、イタリア料理史上、重要な人物。
それは彼が、「イタリア料理」という概念を初めて体系立ててまとめた本、『La scienza in cucina e l'arte di mangiar bene』の著者だから。
1891年に出版されて以来、今だに売れ続けているベストセラーで、同じ内容の本が各社から出版されています。
偶然にも、今月の「総合解説」には、アルトゥージの名前があと2回登場します。
一つは、『ア・ターヴォラ』のパルミジャーナの記事。
「・・・アルトゥージの本でなすが登場するのはわずか4品だ。・・・」
↑
これはつまり、アルトゥージの時代、北~中部イタリアではなすがポピュラーではなかったということで、当時のイタリア料理や食材を知る手掛かりとして、彼の本が引用されています。
もう一つは、『ラ・クチーナ・イタリアーナ』のスカロッピーネの記事。
「・・・アルトゥージがマルサラ風味のスカロッピーネを紹介して以来、この料理はイタリア中の家庭やレストランの得意メニューに加わるようになった。・・・」
↑
彼の本の影響力の大きさが分かりますねー。
日本人でも、イタリア料理を勉強している人ならみんな知っているペッレグリーノ・アルトゥージ。
彼はどういう人物なのでしょうか。
彼は、1820年8月4日に、フォルリンポポリというロマーニャ地方の町で、商人の家に生まれました。
イタリアは、1700年代末にはナポレオンに支配され、ナポレオン没落後はウイーン会議で細かく分割されました。
これらの時代を通して徐々に、外国の支配からの解放とイタリア統一運動の気運が満ちていきます。
アルトゥージの生きた時代の前半は、まさに、1861年のイタリア統一に向けて、革命や蜂起がイタリア各地で起こった時代でした。
イタリア統一後のイタリアは、近隣諸国の戦争に加わってヴェネチアやローマを獲得し、エチオピアに侵攻し(1889)、リビアを植民地化し(1911)、そして第一次世界大戦(1914)に突入します。
アルトゥージ自身は、1851年に大きな災難に見舞われました。
当時世間を騒がしていた、いわゆる義賊と呼ばれる盗賊団に町が襲われ、アルトゥージの家も襲撃されて、略奪にあったのです。
翌年、アルトゥージはフィレンツェに移ります。
本が出版されたのは、1891年。
そして1911年3月30日に、フィレンツェで亡くなりました。
90歳でした。
明日に続く・・・
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関連誌;『サーレ&ペペ』2006年6月号(クレアパッソで販売中)
“アルトゥージのチェーナ”は「総合解説」P.2に載っています。
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2008年6月23日月曜日
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