2018年3月16日金曜日

春のイタリア料理、その2

春のイタリア料理の話、もう少し続けます。
今回取り上げる本は、季節ごとの料理が載っている

カルロ・カンビの『ミリオーリ・リチェッテ・デッラ・クチーナ・レジョナーレ・イタリアーナ


イタリア料理は農業とキリスト教のしきたりと深く結びついています。
春分の日を迎えて昼と夜の長さが等しくなり、復活祭を迎えて再生の喜びに沸く季節、春。
食卓に野菜が戻り、果物は年間で一番少なくなる代わりに、野菜が豊富になる季節です。
いけにえの子羊は再生の象徴。
最初のグリーンピースが登場するのは4月、5月と6月はソラマメの季節。
野草が豊富なイタリア料理のこの時期の象徴はアスパラガス。
草原に花が咲き乱れるこの時期は、羊たちが草原に戻る時期で、羊や山羊のフレッシュチーズが美味しくなる季節。
牛も放牧地に戻るので、モッツァレッラやリコッタの味がよくなります。
卵も、放し飼いだと鶏の餌の栄養価が上がって、一年で一番リッチになる季節。
ブルスカンドリやチーメ・ディ・ラパなど若芽の野菜が出回り、ズッキーニは一年で一番柔らかくなり、ズッキーニの花も登場します。
花を食べる季節でもありますねー。

ブルスカンドリ(ホップの芽)
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チーメ・ディ・ラパ
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海では、甲殻類、イカやタコ、小魚が大きくなります。
肉はグリルの季節。
エクストラヴェルジネのオリーブオイルは辛さが抜けるころです。
植物性たんぱく質ならチェーチの季節。
春の終わりは生のいんげん豆。
グアンチャーレも食べごろになるので、アマトリチャーナが美味しくなります。

ブルスカンドリ、グアンャーレのスパゲッティ
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チーメ・ディ・ラパのオレッキエッテ
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チェーチは大昔は、一番簡単に手に入るタンパク質でした。
イタリアにいんげん豆がなかった時代からありました。
船乗りに取っては、乾燥して長期保存ができる貴重なビタミン源でもあったのです。
古代ローマ人や、ティレニア海沿岸地域ではチェーチをたくさん食べていたことが知られています。
チェーチのトルタは春の前菜の代表的な1品でした。
ポイントは、上質のチェーチの粉を使うこと。

“チェーチのトルタTORTA DI CECI”
材料;
チェーチの粉・・200g
ぬるま湯・・500ml
生イースト・・1キューブ
小玉ねぎ
EVオリーブオイル、塩

・ぬるま湯にイーストと塩一つまみを溶く。
・チェーチの粉をぬるま湯で溶いて柔らかい生地にする。
・数分こね、覆いをして2時間発酵させる。
・直径30㎝の型に油を塗ってチェーチの生地を広げる。小玉ねぎの輪切り2~3つかみをのせて油をかける。
・190℃のオーブンで30分焼く。


チェーチの粉の料理といえば、リグーリア、トスカーナのファリナータ。
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そしてシチリアのパネッレ
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野菜のフリットも美味しい季節。
日本の天ぷらとも比較されるイタリアのフリット。
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