今日の話は知られざるブッラータの世界。
ブッラータのことを書いていたら、初めてプーリアのアンドリアでブッラータを買った時のことが蘇ってきましたよ~。
(その時の話は昔のブログに書きました。こちらです。)
あの時は、ブッラータを1、2回食べたことがある程度で、どんなチーズかよくわかっていなかった。
だから、お店でも、ブッラータを指さしてこれを1個くださ~い。
と言えば、それですべて済むと無邪気に思ってました。
というか、何も考えてませんでした。
ところが、店のショーケースを見渡しても、ブッラータが見当たらないのです。
とにかくブッラータ1個くださいと言ったら、いきなり大きさは?と聞かれました。
うっ、この質問は想定外。
いろんな大きさのブッラータがあるのかと思っちゃいますよねえ。
でも、正解は、ブッラータの作り方を見るとわかります。
パスタ・フィラータのチーズで袋を作り、その中に、注文に応じた量のストラッチャテッラを詰めます。
その時は、なすすべもなく呆然と立ち尽くしていたら、店員さんが機転を利かせて何人で食べるのか、と問い直してくれました。
3人、と答えたら、店の奥に引っ込んで、すぐにとても小さなブッラータを持ってきました。
作り置きしないで、注文が入ってから、上の動画の作業をするんですね。
そして、さらに、今日中に食べろ、冷蔵庫には入れるな、と店員や他のお客さんからもきつーく念を押されまました。
店員さんはニコリともしないので、こちらはお説教されてる気分です。
アンドリアではブッラータを冷蔵庫に入れたら罪に問われるに違いない、くらいの気持ちで、小さなブッラータを抱えて、その日一日、プーリアを歩き回ったのでした。
でも、ようやくホテルに戻って味わったブッラータは、バターみたいに濃厚で、草原の草のようにフレッシュで、チーズってこんなに美味しいもんなんだーと、味覚の新しい世界を体験することができるくらいの衝撃でした。
それから8年後。
ブッラータの記事を訳していたら、ブッラータにまつわる驚きのエピソードを知りました。
なんと、イランのパーレビ国王が、ブッラータ大好きだった。
パーレビ国王って、今どきの若いもんは知ってるかなあ。
ホメイニ氏によって国外追放されたイランの最後の皇帝で、当時は大きく報道されていたので、普段馴染みのないイスラム圏の人でも、かなり注目されていました。
でも、その王様がブッラータが大好きで、有名なイラン建国2500年の祭典で、世界中から集まったVIPにブッラータを振舞ったと聞くと、なんだか親しみが持てるなあ。
イランの国威発揚の場の公式晩餐会で、唯一のイラン以外の国の産物がブッラータだったというのだから、王様がどれだけでブッラータが好きだったのか想像できるというものです。
しかも招待客は約600人。
アンドリアのチーズ業界も盛り上がったんだろうなあ。
イラン建国2500年祭典
↓
冷蔵庫には入れない、というのは、ブッラータとモッツァレッラ共通の、南イタリアの鉄の掟。
もし入れちゃたら、食べる前に湯煎にかけるんだそうです。
モッツァレッラクイ~ズ。
冷蔵保存するときの適温は?というひっかけ問題に、冷蔵庫に入れてはだめと答えたおじさんを大賞賛。
↓
その他の問題。
モッツァレッラ1㎏作るにはミルクが何リットル必要?
答えは4リットル。
なぜかみんな知っています。
モッツァレッラ1㎏と水1リットルはどっちが重い?
答えは、同じ。
みんな意外と冷静。
-------------------------------------------------------
“モッツァレッラとブッラータ”の記事の日本語訳は「総合解説」13/14年1月号に載っています。
[creapasso.comへ戻る]
=====================================
2015年8月24日月曜日
登録:
コメントの投稿 (Atom)
ジェラートはパンとの相性も良いデセール。シチリアとナポリの人のジェラートの食べ方は、ほんとに自由。
今日は、(CIR)7月号のリチェッタから、ジェラートの話(P.12)。 リチェッタのテーマは、シンプルにコーンやカップに入れるジェラートではなく、クロスタータやボンボローニ、はてはフォカッチャにのせるジェラート。 ジェラートのデセールの最高峰はトルタ・ジェラート。 パン・ジェラー...
-
グラナ・パダーノの話、その2です。 イタリアで流通しているハードチーズの50%近くを占めるグラナ・パダーノ(AC Nielsen調べ)。 2008年の生産量は、435万5347個でした。 平均的な販売価格は11.05ユーロ/㎏。 イタリアの硬質チーズの平均価格は12.70ユーロな...
-
今日はブラザートの話。 『ラ・クチーナ・イタリアーナ』の記事の解説です。 バローロのブラザート, photo by Silvio 記事によると、 ブラザート brasato は、イタリア語で「炭」という意味の“ブラーチェ brace ”の古い呼び方、“ブラーザ brasa ”が...
-
今日のお題はプリーモピアット。今月の「 総合解説 」P.5の料理です。 スパゲッティなんですが、料理名がやたらカッコイイ。 “アサシンのスパゲッティspaghetti all'asssassina”だって。 初めて聞きました。 聞いたこともない料理だったのに、逆にnetに...
4 件のコメント:
ありがとうございます。いろいろ謎が解けました。
以前ローマを視察したときスーパーで牛乳に賽の目状のチーズが漬けられたようなものがブッラータという名前で売られていて帰国して調べてみると生クリームを詰めた袋状のチーズという説明???
要するに生クリームでふやかしたチーズをその場で「袋」につめて売るフレッシュチーズがブッラータ・・という解釈でよいのでしょうか(汗)
なんとなく日本で言うところのおぼろ豆腐に似てる気がしますww
畠山さん お久しぶりです。
確かに、生クリームでふやかしたモッツァレッラを詰めた袋状のモッツァレッラといったところなんでしょうが、私が買った作り手のブッラータは相当濃厚でバター風味が強かったです。糸を引くモッツァレッラの性質が残っていて、フォークにくるくる巻き付けて食べることが出ました。
袋の部分はあまり印象に残っていないので、あくまでも容器という感じです。
でも、レストランで食べた一般的なブッラータは、モッツァレッラが少しクリーミーになった程度だったので、ここの作り手のブッラータはかなり特別だったと思います。
見かけはおぼろ豆腐ですが、味は大トロ、という印象で、コクがありすぎて毎日は食べれないチーズでしたよ。
なるほど「バターのような」というくらいですから一般の食事のようにパクパク食べるものではないのかも知れませんね。
ブッラータ自体はここ数年で知名度は上がってきていますが意外とどういう調理法、食べ方っていうのはあまり出てこないような気がします。動画にあったようにトマトやいろいろな食材をおでんの巾着みたいに詰めるのも面白いのかな・・なんて思いますww
畠山さん
発想がユニーク。おでんの巾着は思いつかなかったなー。
食べ方は、テーブルチーズとして食べるのが一般的だと思うんですが、これはもっと調べる余地がありそうですね。
コメントを投稿