2009年3月12日木曜日

ペコリーノ・ロマーノとペコリーノ・サルド

先日、Foodexでサルデーニャの食材をつまみながら、ふと思ったことがあります。
ペコリーノ・サルドとペコリーノ・ロマーノの違いってなんだっけ。


ペコリーノ・ロマーノの表面に押される管理組合のスタンプ
photo by macsimil2000



ペコリーノ・サルド、パーネ・カラザウ、アルジョラスのワインでサルデーニャに浸る
photo by LiFFu



ペコリーノ・サルドはサルデーニャで作っていて、ペコリーノ・ロマーノはラツィオで作っている、と言えれば簡単ですが、そうでないからややこしい。

こちらはペコリーノ・ロマーノDOPの製造規定。

これによると、ペコリーノ・ロマーノDOPと名乗れるチーズは、ラツィオ州、サルデーニャ州、そしてトスカーナ州のグロッセート県で造られたもの。

たとえサルデーニャやトスカーナで作っても、名前はペコリーノ・ロマーノ。
しかもペコリーノ・ロマーノの大部分はサルデーニャ産なんですねー。
つまり、ペコリーノ・ロマーノはもはや、サルデーニャ名物の一つでもあるわけで・・・。

たとえばこちらのサルデーニャのチーズメーカーは、ペコリーノ・ロマーノもペコリーノ・サルドも作っています。

これはつまり、千葉だけど東京ディズニーランド、みたいなもの?


ペコリーノ・ロマーノ管理組合によると、2005年度のペコリーノ・ロマーノの総生産量のうち、サルデーニャ産は約23,414トン(98.15%)、ラツィオ産は441トン(1.85%)。
情報源はこちらのページ
ラツィオは前年よりぐんと生産量が減っています。

どうやら今やペコリーノ・ロマーノは、ほぼ全てサルデーニャ産なんですね。


それでは、ペコリーノ・ロマーノがどこで作られたものかを知るには、どうしたらいいのか。

それはペコリーノ・ロマーノのマークの下に記載されています。

ちょっと見にくいですが、これがペコリーノ・ロマーノDOPのマーク。
「AB 000」の所に生産者の県が記載されます。


今や幻となりつつあるラツィオ産のペコリーノ・ロマーノ。
下の動画はラツィオのペコリーノ・ロマーノを紹介しています。
「本物のペコリーノ・ロマーノ」としきりに言っていますねー。




製造過程は
・殺菌後38~40度に熱し、子羊のレンネットを加えて固める。
・ホエイを出す。
・マークをつける。
・約70日かけて塩漬け。
・そして最低5ヵ月熟成。5ヵ月のものはテーブルチーズ、8ヵ月のものはおろして使う。

出来上がりは高さ25~40㎝、直径25~35㎝、重さ25~30kg。
味は辛口で羊特有の塩気。


そしてペコリーノ・サルドが出来るまで。
ついでにリコッタも作っています。




基本はロマーノとほぼ同じ。

違いは
・サルデーニャでのみ作られている。
・ドルチェタイプは熟成は20~60日、重さ1~2.3kg、高さ6~10㎝、直径15~18㎝。
・マトゥーロタイプは熟成は2ヵ月以上、1年寝かせるものもある、重さ1.7~4kg、高さ10~13㎝、直径15~20㎝。
・味はドルチェはマイルドで、アロマと軽い酸味があり、マトゥーロはもっと味が強く、心地よい辛さ。


ペコリーノ・サルド管理組合によると、ペコリーノ・サルドの2005年の生産量は1,603トン。
うちドルチェは626トン、マトゥーロは977トン。
ペコリーノ・ロマーノの10分の1以下なんですね。


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6 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

えー、ロマーノも殆どサルデーニャ産なんだー。ひょえー。感覚をとぎすませて本物のペコリーノ食べ比べでもしないかぎりペコリーノの味の違いなんてわかりませんが、汐留のショップ兼バールみたいな店に行った時、ペコリーノサルドがいちばん好きなんて言ったら、俺もそうだと激しく同意してきたイタリア人、サルデーニャ出身者だった(^^;

prezzemolo さんのコメント...

ペコリーノ・サルドで意気投合するって、相当なイタリアおたくの領域だー(笑)。
そうなんです、ペコリーノ・ロマーノはほとんどサルデーニャで作ってるんだそうで。サルデーニャの人はこのことどう思ってるんでしょうね。

匿名 さんのコメント...

私はペコリーノロマーノもサルドも好きです、

私がイタリアでも今でも支流に使っているのはロマーノの方です、

サルデーニャで造っているのは知っていましたが、そんな%とは思いませんでした。

勉強になります

私がリミニにいた時、冷蔵庫に入って下の段の塩漬け類を探していたら、いきなりカメリエーレが入ってきて…

デザートの前のフォルマージョはパルミジャーノ·レジャーノを丸ごとお客さんの前で牡蠣ナイフでほじくって、固まりを提供してましたが、お客さんの一人かペコリーノが食べたいと言った為、カメリエーレが探しに来たんです、

その瞬間、後頭部から背中にかけてボカーンと凄い衝撃を感じ、同時に息が出来ませんでした、

なんとカメリエーレが手を滑らせて、私に丸のままのペコリーノを落としたんです

気が付いたら、急いでたらしくて、カメリエーレもペコリーノも消えていました、

私の大切な体を何なんだと思っているんだろうと思いながら上を見上げたら、その隣に来たばかりの大きさの王様級のパルミジャーノ·レジャーノが…

これじゃなくて良かったと思いました。
prezzemoloさんの記事はとても詳しくかかれていますね、食材辞典ですね。

prezzemolo さんのコメント...

Vittorioさん
な、なんと言うか、ペコリーノでよかったですね、と言っていいのか・・・。
くっくっく、あっすいません、笑い事じゃなかったですね。
カメリエーレさんもきっと、ペコリーノに殺傷能力があるとは思ってもいなかったんだろうなあ。ハハハ・・・、あっ、すいません。

畠山 さんのコメント...

はじめまして。
秋田で牛飼いをしています。

9割がサルディーニャとは驚きました。
我が家でジェノベーゼを作る時はいつもペコリーノ・ロマーノを使うのですが納得です。

これからもいろいろ参考にさせていただきます。

prezzemolo さんのコメント...

畠山さん
コメントありがとうございます!
牛飼いって、味がある言葉ですねえ。
イメージが勝手に膨らんでます(笑)

そうなんですよ、ほとんどサルデーニャ産なんだそうですよ。
ペースト・ジェノヴェーゼとペコリーノ・ロマーノからサルデーニャつながりを感じるとは、相当な通ですね~。

秋田でペコリーノを作ったら、ペコリーノ秋田?
失礼しましたあ。

ジェラートはパンとの相性も良いデセール。シチリアとナポリの人のジェラートの食べ方は、ほんとに自由。

今日は、(CIR)7月号のリチェッタから、ジェラートの話(P.12)。 リチェッタのテーマは、シンプルにコーンやカップに入れるジェラートではなく、クロスタータやボンボローニ、はてはフォカッチャにのせるジェラート。 ジェラートのデセールの最高峰はトルタ・ジェラート。 パン・ジェラー...