最初の料理1品だけでも、高尚すぎて、着いていくのがやっとでしたが、実は、料理の名前があまりにも昭和で(100年前のイタリア料理が昭和の概念で説明できちゃう)、びっくりしました。
例えば、“Intingolo di lesso alla buona moglie”なんて名前の料理があるんです。buona moglie、グッド・ワイフですよ。コンプラ的に、昭和のパパでさえ言わないよ、というか、言えないよ。グッド・ワイフを日本語にすると良妻かなあ・・・。つまり良妻の煮込み肉ってなんだよ。
良妻ガイド。常に身ぎれいにして夫に尽くすんだって。
日本人にも理解できる。これは昭和のおやじの妻ですよ。コメディア・デッラルテの、各地を象徴するキャラクターといい、良妻の概念といい、イタリアと日本は共通点多いなあ。ちなみに、buona moglieというカルロ・ゴルドーニが書いたヴェネチアの喜劇があるんだって。すんごいおどろおどろしい愛憎劇。傲慢で無一文で腐敗している貴族階級の弱さと大衆出身の活動的な女性の夫婦の話。大成功をおさめた作品だそうです。世間知らずのお坊ちゃんな息子をまっとうにしようとして失敗する父親像もあって、多分ヒットするだろうなあ100年後でも受け入れられる人間関係の面白さ。
そして良妻の時代の次は好景気を支えた孤独な老人たち。もう忘れ去られた料理たち。
イタリアも好景気の時代があり、時代を支えてがむしゃらに働いたお父さんたちがいて、豊かな暮らししか知らなくて不満が募る子供たちがいて、力を得て自由になった女性たちがいたんですね。
このブログは(CIR)2024年1月号の記事、“100年前のイタリア料理”、“良妻の煮込み肉”の解説です。リチェッタの日本語訳と写真はP.34
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