新着本です。
『メイド・イン・イタリー』
序文:ダヴィデ・オルターニ、となっていますが、序文にはイタリア料理とは、という大きな問題に対するオルダーニ・シェフの考え方が書かれています。
本の内容もこの考えに基づいているので、事実上、彼の本です。
長年イタリア料理の本を売ってきましたが、いよいよ時代が変わった、と強く感じさせる本が登場しました。
序文は、いきなり、「私の料理はクチーナ・ノン・レジョナーレ・イタリアーナだ」という発言から始まります。
これまでのイタリア料理は、地方色が強くて保守的で、故郷と家庭を強く感じさせる料理でした。
でも、21世紀になって、イタリアの地方料理が変わってきました。
先日のブログで紹介したナポリのストリートフード店も、それを象徴していました。
つけで買えた貧しい庶民の家庭の味が、今ではシャンパンを飲みながら立喰する料理になりました。
昔ながらの家庭の味でも、今の地方料理には貧しさがありません。
かつてはイタリアから世界に出ていった移民たちが広めたイタリア料理も、今や世界中からやってくる観光客によって世界中に広まり、世界中に広まらなかったイタリア料理や食材は、姿を消しつつあります。
ちょっと前のイタリア料理は、消えつつある料理や食材を救うのに情熱を注いでいました。
チーズの記事で最近度々話題になるのが、協同組合の現実的なチーズか、規定を厳格に守った限られた個人にしか作れないチーズか、といった問題でした。
朝ドラの話じゃないですよ。
今求められているのは、美味しくて、美しく、食べやすくて、お得で、ヘルシーな料理です。
今までのイタリア料理を現代的でグローバルな視点で見直すと、この『メイド・イン・イタリー』で取り上げているような料理と食材が、イタリア料理として21世紀に残るのかも知れません。
ダヴィデ・オルダーニという人は、いつも人と違う物の考え方をするなあ、と感じていましたが、過激な遊び心は今回は抑えたようで、とてもまじめな本になっています。
超前衛的なものは1mmもありません。
ノン・レジョナーレとは言っても、本では、章は地方ごとに別れています。
北から南まで、イタリアを代表するイタリア料理が、わかりやすいイタリア語で載っています。
地方料理が1冊にまとまった本て、ありそうでなかったんです。
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