今日のお題は『シチリア/クチーナ・ディ・カーザ・プラネタ』
です。
シチリア料理の本として、とても出来が良いお勧めの本です。
今月の「総合解説」2012年2月号にリチェッタの翻訳を載せています。
本の各章は、
メンフィとサンブーカ・ディ・シチリア
ヴィットリア
ノート
エトナ
カーポ・ミラッツォ
と、シチリアを代表するワイナリーで貴族の家系のプラネータ一族が、
創業の地メンフィから、島の各地へと拡大していったぶどう畑のある地を訪れながらシチリアを食べ歩いているような構成です。
豊かで個性的なシチリア各地の地方料理を、飾ることなく自然なプラネータ家の家庭料理として、世界中からの顧客をもてなすために出している料理です。
写真が豊富な本なので、南イタリアの太陽を感じさせる料理の素朴な盛り付けがよく分かります。
「総合解説」で訳した料理は、
カポナータ
ナスのコトレッタ
ズッキーニとミントのパスタ
パスタ・アッレ・ヴォンゴレ
アンチョビとパン粉のパスタ
イワシのベッカフィーコ
牛ステーキの赤ワインソース
ビアンコマンジャーレ
など。
スラスラ訳せて読みやすいのにびっくりしました。
ナスのコトレッタは、米ナスの輪切りに小麦粉、溶き卵、パン粉をつけて揚げたもの。
簡単なのに、写真がとても効果的で、ため息が出そうなくらい美味しそうです。
ズッキーニとミントのパスタも、アンチョビとパン粉のパスタも、超庶民的なのに、シチリアの香りがぷんぷんしそうです。
アサリのパスタは、訳していて見慣れないフランス語に惑ったリチェッタです。
アサリにシェリー・ブリュレをかけて熱するとありました。
何気なくさらっと“シェリー・ブリュレ”とフランス語で言うところに、シチリア貴族の血を感じますねー。
要はアルコールを煮切ったシェリー酒のことだったのですが、先日BSで観たヴィスコンティ監督の『山猫』を思い出しましたよー。
バート・ランカスター演じるシチリア貴族は、確かドンナフガータに領地がありました。
時代の流れにどれだけ翻弄されても、フランス系の由緒正しい貴族の家系だということに強烈なプライドを抱いていましたよね。
シェリー・ブリュレをかけたヴォンゴレのパスタ、食べてみたいなあ。
今回はドルチェは訳せなかったのですが、この本のレモンのグラニータの立体的な盛り付けや、カッサータの芸術品のような飾りは、素晴らしいの一言です。
来月号では、絶版になった南イタリア料理の本の傑作を訳しました。
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