今回は、『ラ・クチーナ・イタリアーナ』2007年2月号から、ズッキーニの詰め物料理を選びました。
原文
ZUCCHINE RIPIENE AI PISTACCHI Ingredienti: per 4 Tempo: circa 30' ・4 zucchine ・4 amaretti secchi ・una cipolla ・pistacchi ・grana grattugiato ・burro ・sale ・pepe ■Spuntate, lessate le zucchine al dente, poi tagliate ognuna in 3 tronchetti e svuotateli. ■Insaporite la polpa ricavata con un soffritto di burro e cipolla tritata, poi amalgamatela con un cucchiaio di grana, uno di pistacchi pelati e tritati, un pizzico di sale, pepe e gli amaretti sbriciolati. ■Raccogliete il composto in una tasca da pasticciere con bocchetta liscia e riempite le zucchine. ■Passatele in forno solo per scaldarle (non devono gratinare), poi accomodatele nel piatto e sevitele. |
料理のイタリア語は、分からない単語を辞書で調べればそれなりに読めます。
最初は面倒でも、同じ単語が何度も出てくるので、慣れれば慣れるほど、辞書を引かずに読めるようになります。
最近は単語を翻訳してくれるサイトもあって、すごく便利ですよね。
まず最初に、
イタリア語の名詞には、男性形と女性形がある、
単数と複数では語尾が変わる、
ということを頭に入れておきましょう。
さらに、
それに伴う周囲の言葉、つまり形容詞や冠詞、動詞の現在分詞や過去分詞も同様に変化する
ということも覚えておきましょう。
では、まずは料理名。
ZUCCHINE RIPIENE AI PISTACCHI |
■zucchineはすぐに分かりますよね。
ズッキーニです。
質問:zucchineの単数形は?
答え(反転):zucchina
■zucchineが女性名詞の複数形なので、次のripieneも、女性形複数に変化しています。
質問:ripieneの元の形(男性形、単数)は?
答え:ripieno
原形が分かったら、その言葉の意味を調べればいいわけです。
質問:で、意味は?
答え:詰め物をした
■aiはa+i。
aは様々な意味がありますが、この場合は「・・・風味」という意味。
iは男性名詞の複数形につく冠詞ですね。
■pistacchiは簡単。
ピスタチオ。
そして料理名は、
「詰め物入りズッキーニ、ピスタチオ風味」
辞書で調べる必要があるのはripieneぐらいですね。
ripienoは頻繁に出てくる言葉です。
次の
Ingredienti: per 4 Tempo: circa 30' |
も、基本中の基本。
Ingredienti: per 6
「材料:6人分」
Tempo: circa 30'
「時間:約30分」
材料が6皿分とか6個分、という場合は、6の後にporzioniやpezziなどの言葉がつきます。
何もなければ、たいてい「・人分」という意味です。
30'は30分、30"だったら30秒。
材料も難しい単語はないですよね。
強いてあげるなら、
■amaretti secchi
でしょうか。
イタリアでは、amarettiと言えば、たいていはビスコッティのこと。
amaretti secchiも、辛口のアマレットリキュールという意味ではありません。
まあ、4 amaretti と書いてある時点で分かりますよね。
アマレッティは、アーモンドの粉、杏仁の粉、砂糖、卵白がベースのビスコッティ。
硬い“セッコ”と柔らかい“モルビド”、そしてパールシュガーを散らしたタイプの3種類があります。
アマレッティ・セッキ
その他の、
■una cipolla(玉ねぎ1個)
■grana grattugiato(おろしたグラナ・パダーノ)
■burro(バター)
■sale、pepe(塩、こしょう)
は基本中の基本。
次は調理方法です。
Spuntate, lessate le zucchine al dente, poi tagliate ognuna in 3 tronchetti e svuotateli. |
質問:上の文章に出てくる動詞はどれですか?
答え:Spuntate、lessate、tagliate、svuotate
これらは全部2人称複数形ですね。
「みなさん・・・をしてください」という訳です。
本によっては、原形でspuntare, lessare, tagliare・・・としているものもあります。
こちらは「・・・をします」で、少し硬い文語表現的ですね。
どちらも、意味は同じです。
「・・・をしてください」と訳すのは不自然なので、ここでは「・・・する」としましょうか。
■spuntate(spuntare)は「端を切り落とす」という意味。
ズッキーニの調理の場合には必ずと言ってよいほど登場する単語です。
■lessate(lessare)は「ゆでる」。
■tagliate(tagliare)は「切る」。
■svuotate(svuotare)は「くりぬく、中身を空ける」。
つまり、「端を切り落とし、ゆでて、切って、くりぬく」です。
質問:何を切ってゆでてくりぬくんですか?
答え:le zucchine
そもそも、これを間違えると料理が成り立ちませんねー。
spuntateの後にle zucchineがあれば分かりやすいのですが、省略されています。
lessateの後にはle zucchineがありますね。
■その後のal denteは説明要らないですね。
パスタだけでなく、野菜にもアルデンテという言葉は使います。
■poiは「次に、それから」。
つまり「ゆでた後に切る」ということですね。
短い単語でも、意外と重要。
■ognuna(ognuno)は「それぞれ」。
■tagliate in 3は「3つに切る」。
■tronchetti(tronchetto)は、troncoに「小さな」という意味のettoがついた言葉。
troncoは「幹、丸太、切り株」。
直訳すれば、「ズッキーニを3つの小さな幹状に切る」。
つまり「ズッキーニを3つに切る」ということですね。
細長いものをぶつ切りにする時、「トロンケッティに切る」という表現をします。
質問:結局ズッキーニは全部で何個?
答え:12個
おまけ
丸太切り競争(taglio tronchetto)
これでズッキーニの下ごしらえができました。
続きは次回に。
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関連誌;『ラ・クチーナ・イタリアーナ』2007年2月号
“ZUCCHINE RIPIENE AI PISTACCHI”はp.62に載っています。
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4 件のコメント:
今回も大変勉強になります。
Zucchineも最後に・ni・noになるのもあるのですが隣に男性の単語や複数があるから変化するのでしょうか?
リチェッタがほとんど理解出来ちゃっうこともありましたので冠詞なども飛ばしてました
でも細かく考えてしまうと気になってしまいます(笑)って言うかわかりません(笑)
冠詞では、フランス人のお客様が結構来ましたので、マジックで洋梨をLe poireと書いてしまったことがありました、もちろん私よりフランス語が当たり前のようにできるシニョリーナに「洋梨は女性だからLa poireだよ」と言われて、私もかなり疲れたせいか強引にLe poireだよと、恐れ多くも言ってしまったことがありました、そうしたらルイジに自信がなくなったらしく聞きに行ったんです(笑)、ルイジ「vittorioは何言ってんだょ…」と来て「これでいいんだよ」と…、
ルイジが来る前に冠詞と名詞にSを付けて「les Poires」の複数にしてしまいました(笑)。
そのシニョリーナ、やってくれたなぁ~と言う顔をして、それから「チャオ」と私が言ったら「ラ・ポアール」と、それがしばらく挨拶でした(笑)。
prezzemoloさんも水シャワー経験されていたんですね、私も20代でした、冬の寒い中、水シャワーを浴びていると日本で見た修行僧が滝にうたれるシーンを思い出しました(笑)、大声で気合いを入れいたので、同僚が誰かに襲われていると思ったみたいです(笑)
アルベロべッロの石の家ってとんがった屋根で世界遺産なんですね、いいなぁ(笑)でも水シャワーは大変でしたね。
Vittorioさん
コメントありがとうございます。
リチェッタの訳し方をどう説明したらいいか、感想を教えていただくとすごく参考になります!
名詞の語尾の変化は、日本人にはめんどくさいだけのことですよねえ。
私も、語尾が大切なんだということに気づくまでに何年もかかりました。
ただ、冠詞はいまだに邪魔ものとしか見れません(笑)。
laでもleでも、いいじゃないですかねえ。
と言うか、そもそも付ける必要が何故あるのかと。
zucchinaかzucchinoかという話は、イタリア人の間でも諸説あるみたいです。
辞書に登場したのはzucchinoのほうが早かったのですが、今は普通はzucchina。
それにしても、zucchinoなんて珍しい使い方、よく知ってますねー。
アルベロベッロの石の家で冷たいシャワーを浴びると、収容所にいる気分になります。
Zucchinoはそういうことだったんですね、ありがとうございます、Zucchinoは私が持っているどこかの本に書いてありました、日本語だと、なす.なすび アイナメ.アブラメ かぶ.かぶら、みたいなものかなぁ~って思ってました(笑)
冠詞はやっぱりそうだったんですね、
文章をパーツに分けて説明して頂くとわかりやすいです、私がよくひっかかる結合形まで説明して頂いて、()で原形を書いて頂くのもありがたいです、
私はprezzemoloさんのブログの:ここが原文:を先に拝見します、私は料理人ですから料理名とリチェッタをみたらだいたいわかってしまいます、これがいけない所かも知れません、そして料理の作り方をイメージします、そして原文の作り方を見ます、自分の分かる単語だけひろって理解します、私の思っている作り方と同じ何だろなぁ~と思いながらprezzemoloさんの正確な翻訳を拝見して私のわからない文章を見つけます、なるほど、このように翻訳なさっているんだと感動してます、
そして正確に翻訳された通りに料理が作りたくなりました、材料の入れる順序もです。
私の場合はalla.al.della.delle.alleなどの冠詞との 2080;合形が苦手です(笑)、最初からその名詞が男女かわからなかったらできないし複数になったらまたややこしいんです、複数になった名詞や形容詞は私の辞書にはのっていませんから調べようがありません(笑)、
本{95;よっては同じ意味の名詞も単語が違う場合があります、私が覚えてたのは、rosso d’uovo.bianco d’uovo.gelatinaなどフランス語を直訳したみたい単語で覚えやすかっんですが、tuorlo.albume.colla di pesceとなるとわからなかったです、多分日本語だったら、唐辛子と鷹の爪みたいなものかなぁ~って思ってました(笑)
colla di pesceを辞書で調べてみるとチョウザメの浮き袋から作ったゼラチンと書いてありました(笑)
水シャワーの話をしたら本当に給湯器が壊れてしまいました
水で洗い物です、ヒェー冷たい(笑)
Vittorioさん
よりによってこの寒い時に給湯器が壊れたんですか!
厨房はある意味灼熱地獄(笑)だと思うんですが、真冬に冷水で洗い物の方が辛そうだあ。
私が体験した一番寒い場所は-11度でした。
朝シャンして髪をざっと乾かしただけで外出したら、しばらくして、歩く度に頭の周りに何かがバタバタ当たるんです。
何だろうと思って触ってみたら、凍って塊になった自分の髪の毛でしたー!
寒いのは嫌です!
rosso d'uovoはフランス語風表現だったんですか。
面白い!
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