2010年2月5日金曜日

クロマグロの行方

今日はマグロの話。

もうすぐ配本の『ガンベロ・ロッソ』の記事、“マグロのオイル漬けベスト10”を訳していたら、マグロに関するニュースが入ってきました。

「フランスが、大西洋と地中海で捕獲されるクロマグロの国際取引禁止を支持する方針を発表」

ことの発端は、モナコが、クロマグロは絶滅の恐れがある、としてワシントン条約の対象とするように決議案を提出したこと。
禁漁にするかどうかは、3月のワシントン条約締結国会議で、投票によって決まります。
しかし、実際にマグロ漁を行っているフランスのこの決定は、影響力が大きそうですね。

イタリアもマグロ漁をしている国ですが、フランスより前に支持を発表しています。






このブログでも、イタリアのマグロの話をするたびに、水揚げされるマグロの大部分は日本に行く、という話をしてきました。
最近のクロマグロの激減は、日本人がマグロを捕り過ぎるせいだ、という声も相変わらずよく聞きます。
地中海や大西洋産のクロマグロは姿を消す、という覚悟がそろそろ必要なようですね。


普段はそれほど食べたいと思わないものでも、消えてしまうかもしれないとなると、最後に一口食べてその味を記憶しておきたい、などと思うもの。
イタリアには、クロマグロをオイル漬けにした缶詰やびん詰があります。
これなら、生のクロマグロが姿を消した後もしばらくは出回っているかも・・・と一瞬思ったのですが、よく考えてみれば、すでにオイル漬けも、生産量がごくわずかな貴重品でした!



イタリアのクロマグロのオイル漬けは、いわゆるツナ缶とは違うものです。
下の動画は、サルデーニャのカルロフォルテの伝統的なクロマグロのオイル漬け作り。
蒸したマグロを缶に詰めてオリーブオイルで覆い、塩を加えて密閉します。
これを殺菌後、3ヶ月寝かせます。






うーん、あまり美味しそうに見えないのですが、味はどうなんでしょうねえ。

『ガンベロ・ロッソ』の“マグロのオイル漬けベスト10”で1位に選ばれたのは、シチリアのアンティカ・トンナーラ・ディ・ファヴィニャーナというメーカー。
マッタンツァで有名なマグロ漁の島、ファヴィニャーナにあります。
hpはこちら

地中海産クロマグロのオイル漬けは、450gで14.50ユーロ(約2,000円)。

以前はマッタンツァのクロマグロという製品もあったのですが、今は無いようです。

イタリア語でクロマグロは“トンノ・ロッソ”。
クロマグロ製品を買う時は、Tonno rosso、または学名のThunnus thynnusという表示を要確認。
または、英語でクロマグロという意味のBluefinという表示のものもあります。

こちらのおバカなCMは、サルダネッリというカラプリアのメーカー。
このメーカーもクロマグロのオイル漬けを作っていて、ガンベロ・ロッソのランキングでは8位。
クロマグロがなくなるかもという危機感、まったくなしですねー。



-------------------------------------------------------

関連誌;『ガンベロ・ロッソ』2008年5月号

[creapasso.comへ戻る]

=====================================

0 件のコメント:

ナスのパルミジャーナはその形状が語源。パルマじゃなくてナポリ生まれ。

今月の(CIR/クチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)の地方料理は、パルミジャーナです。 人気のイタリアの地方料理の1品ですが、パルミジャーナと言う名前でも、パルマとは何の関係もない、というのはよく知られています。 というか、下の動画ではナポリ料理と言ってます。 パルミジャーナ。...