北イタリアで、庭にオリーブの木を植えたいと思ったら、まあだいたいこうなるなーという話。
まず、そのオリーブが生食用かオイル用かなんという品種かもは知らずに適当に買って植えたらしい。
でも一応は地中海性気候。15年かけてすくすく育った。
しかも数年前から実もつけた。
この地方特有の霧にも、幾多のトラブルにも耐えて実ったものだから、まるで戦友のような強い絆もできていました。
そしてここから先がイタリア人。
実を収穫しようと思い立ち、幹の周囲に布を張って、そこに落ちた実を集め、近所の搾油所に持ち込めばオイルにしてくれるだろう、なんて軽ーい気持ちで。毎年準備だけはしていたそうです。
オリーブの収穫
普段からこういう様子は見慣れていたんだろうなあ。
でも問題はこの先だった。
そう言えば、この先どうするのか見たことなかった。
ところが、すっかり忘れていたのが、オリーブは生では食べられない、ということ。フェノールという成分が苦味の元で、これを取り除く必要があったのです。
オリーブの苦味抜き
オリーブ1kgにつき水1Lにと苛性ソーダ20gを溶く。容器は金属ではなくプラスティックを使用する。溶けると熱が出るので冷めるまで待ち、オリーブを入れる。品種ごとにネットに入れると便利。オリーブが溶液に完全に浸るようにする。2、3時間ごととにかき混ぜながら約10~12時間浸す。水を換えて真水でよくすすぐ。日に3回水を換えながら3日間水に浸す。この下処理が終わったら塩水漬けなどにして瓶詰めにする。
この動画を見たイタリア人のコメントが、苛性ソーダってどこで売ってるの、とか、おじいちゃんも今までこんな面倒なこととやってたの、とかで、みんな知らなかったみたい。
もうこの段階でくたくただけど、頑張って瓶詰めにするか。オイルなんて夢のまた夢。
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“編集長のエッセイは”「総合解説」2017年11/12月号に載っています。
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