2019年8月26日月曜日

パーネ・カラザウが造られた目的が壮絶すぎて羊飼いまじリスペクト

今日のお題はイタリアのパン。
総合解説」P.33を御覧ください。

今月のパン、その1は、“ネロ・ディ・セーガレ”nero di segale。
その2は“パーネ・カラザウ”pane carasau。

“ネロ・ディ・セーガレ”はライ麦の黒パン。
北イタリアで造られていますが、一番有名なのがアルト・アディジェのパンなので、アルト・アディジェのパンに分類しています。
ライ麦パンは、ドイツ語を話す人々が暮らす雪に覆われた山の森の中の黒パン。
アルト・アディジェのメルカートとライ麦パン↓

アルト・アディジェ、別名スッドティロルの人気のライ麦パン、シュテルブロット↓

“パーネ・カラザウ”は、サルデーニャの食文化を象徴する薄焼きパン。膨らませて半分に切る作り方が独特。

見るからに古そうな作り方。

今月のパンは、イタリアのパンの中でもアウトサイダーなものつながりです。
ドイツや中央ヨーロッパを感じさせるライ麦パンは、地中海のパンとは違うのはすぐに分かります。
では、サルデーニャのパーネ・カラザウは?
少なくとも、地中海は感じます。
でも、サルデーニャの食文化の最大の特徴、羊飼いの暮らしにどっぷり浸って生まれてきたパンなので、他のイタリアのパンと比べると、やはり異色です。

このパンは、サルデーニャ以外では別名カルタ・ダ・ムジカと呼ばれる、と言われていましたが、今回の記事にはカルタ・ムジカという別名が紹介されていました。
“ダ”がないだけで、意味が大幅に違うようです。
カルタ・ダ・ムジカは音楽用の紙=楽譜で、楽譜のように薄いという意味ですが、
カルタ・ムジカは音がする紙という意味で、割る時や齧った時に賑やかな音を立てるからだそうです。
そもそも、サルデーニャではカラザウと呼ばれているので、カルタだのムジカだのはよそ者がつけた名前。
カラザウとは、仕上げにオーブンで焼いてカリッとさせることを意味しています。
さて、このパンのどこが羊飼いなのかと言うと、移牧の時に馬の鞍で簡単に運べるようにと考え出されたパンなのでした。
1962年のサルデーニャの羊飼い

冬に出発して春に戻る長い移牧の間、唯一持ち運べた食料が、パリパリに乾いたパーネ・カラザウでした。

ライ麦パンもカラザウも、大昔から続く貧しくて厳しい暮らしの中から生み出された食べ物でした。
それにしてもサルデーニャの羊飼いの暮らしは厳しすぎる・・・。
サルデーニャの羊飼いの三男あたりに生まれていたら、グレてたかも。

サルデーニャの羊飼い文化の中心地、バルバージャ。
1969年の様子だけど、かなり不穏。

サルデーニャはアフリカ、ローマ、スペイン、アメリカと支配者の影響を強く受けてきましたが、バルバージャはそれらに抵抗し続けてきたため、独特の文化が保たれてきました。

パーネ・カラザウの変形版、パーネ・グッティアウpane guttiauは、パーネ・カラザウにオリーブオイルをかけてオーブンに通したもの。
パーネ・フラッタウpane frattauは代表的サルデーニャ料理の1つ。
ブロードや水に浸してトマトソースとペコリーノをかけてラザーニャのように使います。

グリバウドの地方料理シリーズの“サルデーニャ”には、

“にんにく風味のパーネ・グッテイアウ”のリチェッタがありました。

パーニ・グッティアウ・アッラーリオ/Pani guttiau all'aglio
・にんにくをフォークで潰し、塩、こしょうする。
・オリーブオイル大さじ8をかけて混ぜる。
・パーネ・カラザウを天板に広げてオイルを全体に均一にかける。
・180℃のオーブンで3分焼いてすぐにサーブする。

※パーネ・グッティアウはパーネ・スゴッチョラートsgocciolato(油を切った)という意味。
サラミとチーズの盛り合わせに添えたり、食事に添えたりする。

パーネ・フラッタウ/ Pane frattau


材料4人分
パーネ・カラザウ・・4枚
玉ねぎ・・1個
皮むきトマト・・600g
バジリコ・・4枚
サフラン・・1袋
ビネガー
卵・・4個
ブロード・ディ・カルネ(できれば羊の)
おろしたペコリーノ・サルド
EVオリーブオイル
塩、こしょう

・玉ねぎをみじん切りにして油でしんなり炒める。
・トマトとバジリコのみじん切り、水少々で溶いたサフラン、塩、こしょうを加えて蓋をし、弱火で20分煮る。
・鍋にたっぷりの湯を沸かしてビネガー大さじ1を加える。
・皿に卵を割り入れて1個ずつ湯に入れる。
・4分ゆでて穴開きレードルで取り出す。
・沸騰したブロードにパーネ・カラザウをさっと浸して取り出し、くし切りにして皿に敷く。
・トマトソースをかけてペコリーノを散らし、落とし卵をのせてサーブする。

※ブロードの代わりに湯でもよい。

パーネ・カラザウは、単にワインのつまみにしても美味しかったなあ。



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“イタリアのパン”の記事の日本語訳は「総合解説」2017年7/8月号P.33に載っています。
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