フォカッチャの話の続きです。
「総合解説」のフォカッチャの記事を読み返して、フォカッチャには大きく分けて3つのタイプがあることに気が付きました。
元々は料理をのせる皿のような役割のパンから、
フォカッチャ・ジェノヴェーゼのように皿に特化して皿だけを味わうもの、
ピッツァ・シーマのように具を挟むタイプのもの、
スフィンチョーネのように具をトッピングするタイプのもの、の3つです。
この記事はタイプの違うフォカッチャをちゃんと選んで取り上げていたんですね。
フォカッチャは朝から夜中まで、一日中どんな機会に食べても合う食べ物です。
フォカッチャ・ジェノヴェーゼは朝食にぴったりのタイプに進化しました。
そう言えば私も、フォカッチャ・ジェノヴェーゼをジェノヴァのホテルの朝食で初めて食べた時、日本で何度も食べたことのあるフォカッチャとまったく違う、想像を超えた美味しさにびっくりしました。
食べる直前に軽く温めたフォカッチャは、カリッと香ばしいのに中はふんわり。軽い塩気とオリーブオイルの風味だけで十分にコーヒーに合います。
トッピングも具も排除して、生地だけで完結する美味しさを目指して造られている味でした。
これとは逆に、具を取り込んでナポリの特産品の数々を一緒に味わえるように進化したのがナポリのピッツァ。
姿も食べ方も全く違う両者ですが、食べた時の驚きには共通点がありました。
ちなみに、私が食べて衝撃を受けたパンは、あともう1品、プーリアのパーネ・ディ・アルタムーラです。
イタリアのパンの奥深さは素晴らしい。
ストリートフードのお勧め本『ストリートフード・アッラ・イタリアーナ』には、
フォカッチャ・・ジェノヴェーゼは、
「16世紀にサン・ロレンツォ大聖堂で結婚式や祭りがあるときにフォカッチャの香りが充満したので、大司教が禁止令を出したほど。ストリートフードというより教会の食べ物だった。各パン屋に秘密のリチェッタがあるが、重要なのは生地への愛だ」
と書かれています。
(諸説あり)
サン・ロレンツォ大聖堂
↓
具をトッピングするタイプのフォカッチャとして「総合解説」でリチェッタを紹介しているフォカッチャは、パレルモのスフィンチョーネです。
クリスマスに食べる名物で、ラテン語のspongiaが語源。
スポンジャ?というくらいだからスポンジのように高く発酵させたふわふわした柔らかい生地のフォカッチャです。
前述の『ストリートフード』によると、
スフィンチョーネを考え出したのはサン・ヴィート修道院の修道女だそうです。
この他に、生地に食材を練り込むタイプのフォカッチャもあります。
ぶどうのスキアッチャータ。
下の動画はボンチバージョン。
↓
ぶどうのスキアッチャータは、生地に練り込むタイプで、さらにもう1つのタイプのフォカッチャでもあります。
フォカッチャ・ドルチェです。
フォカッチャ・ドルチェについては2012年9月号の「総合解説」でリチェッタを訳しています。
ぶどうのスキアッチャータはキアンティとフィレンツェ地区で9、10月のぶどうの収穫期に作るフォカッチャ。
残ったパン生地、砂糖、フルーツが材料の質素な農民料理がルーツです。
いちじくもフォカッチャと相性がよいそうです。
生地は00タイプの軟質小麦粉が一般的ですが、発酵させやすいマニトバ粉を加えてもOK。
田舎風ならそば粉、とうもろこし粉、ファッロの粉など数種類の粉を混ぜます。
結局5つのタイプがありました。
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“フォカッチャ”の生地の日本語訳は、「総合解説」2016年4月号に載っています。
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