今日のお題はバローロのリゾット。
この料理に欠かせないのは、
バローロとカルナローリ米。
そのどちらにも、イタリアの初代首相、カヴール伯爵が深く関わっていました。
イタリア料理史、特にピエモンテの料理史上、というか、イタリアの歴史でも欠かせない重要人物だけあって、彼がやったことはスケールが違います。
まず、米に関しては、農業大臣時代に運河を作ってヴェルチェッリとノヴァーラの水田を灌漑し、最新の稲作技術を導入して、米作発展の基礎を築きました。
米は飢饉のときに小麦に変わる作物として、栽培が広まりました。
米を作るために欠かせないのは水です。
水路を張り巡らすという大事業は、貴族など大地主の協力が欠かせないことでした。
ヨーロッパを代表する米どころ、ヴェルチェッリ~ノヴァーラの風景は、どこか懐かしい水田地方。
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そういえば、ヴェネト地方の米、ヴィアローネ・ナノは、ヴェローナの貴族の所有地の干拓によって広まり、その後は地元の修道院の修道女たちが米作を広めたのでした。
イタリアの貴族と教会には、こういう影響力もありました。
カヴール伯爵はイタリア統一の立役者でもあります。
そっくりさんが演じるドラマもありました。
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彼はバローロ造りにも取り組んでいました。
イギリス、フランス、オーストリアと通商協定を結んで近代化を推し進めたり、
イタリア統一のためにイギリス、フランスと手を組んでオーストリアと戦ったりと、
凄腕の外交能力があったカヴール伯爵が、
フランスに負けない上質の赤ワインを造るために取った策とは、
優秀なエノロゴだった将軍を自分の城、グリンザーネ城に招集するという力技。
そしてジュリア・ファッレッティ・ディ・バローロ公爵夫人と一緒に
ネッビオーロの醸造と熟成ステムを手直しして新技術を導入します。
こうしてバローロは、イタリアを代表する上質赤ワインとして生まれ変わっていったのでした。
ただし、残念ながら、バローロのリゾットはカヴール伯爵が考えだしたという説に根拠は何もありません。
それにしても、ランゲ地方の料理人のバローロのリゾットにかける情熱はすごいです。
この料理に使うバローロは、あらかじめデカンターレして澱を取り除き、
香りを開かせておくんだそうです。
さらにワインの加え方によって、リゾットの味も変わってしまうのだそうで。
詳しくは「総合解説」をご覧ください。
ちなみに、来月号の「総合解説」には、リゾットの魔術師と呼ばれている兄弟シェフのリチェッタが登場します。
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“バローロのリゾット”の記事の日本語訳は「総合解説」2018年2月号に載っています。
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